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永井直勝、井伊直政に異見す

2012年11月21日 19:52

432 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/20(火) 20:17:32.31 ID:fEpD3TWQ
関ヶ原戦後のこと
徳川家康より軍功のあった諸将への加増が発表されたが、井伊直政、本多忠勝にも
加増により所替えを仰せ付けられ、御書付を与えられた。

しかし井伊・本多はその加増の少ないのを不足に思い、新領地を拝領しない旨を申して
折紙を返上し、そのまま退出してしまった。そしてその事に不満を言っているのを
永井右近太夫直勝が聞きかね、直政に直接に異見した
「貴殿は徳川家の功臣であり、家臣団の中でも1,2に数えられる身であるというのに、
そのように禄を貪られるのは心得かねることである。御加増の折紙を御拝領すべきである。」

直政はこれを聞くやいなや
「永井!其の方などが存ずるようなことではない!
さほど功もない、一度与力したにすぎない大名共には大国・大領を与えられているのに、
これでは我らが、三河以来粉骨をしてきた甲斐もないではないか!無念の奉公を、恨まずにいられようか!」
そう、未だ蟠りを持っているように申し立てた。

これに永井直勝重ねて異見する
「これは直政の言うこととも思えぬ。貴殿や私のような譜代の輩は、今度の合戦の報奨について、
どのように扱われても、どうして御恨み申し上げることが出来るだろうか?
そもそも今度お味方された諸大名は、徳川家意外の恩録によって一家を立てた人々である。
そんな彼らの加勢がなかったら、どうしてこの度の一戦、御旗本の人数だけで、例え鬼神の働きを
したとしても、勝利することが出来ただろうか?

言わば、国々の大名は世間の存在である。我々は御身内である。貴殿は特に御人数も多く預かられている。
そうであれば、昔を思い返せば御恩が浅いなどと申すことは出来ない。
貴殿は上様から付けられている御人数がなければ、例え樊カイを欺くほどの武勇があったとしても、
どれほどの働きが出来ただろうか?」
直政はこの言葉に大いに腹を立て
「右近などと比較されるような、この兵部だと思うのか!?」と言い放った。これを永井はあざ笑う

「愚かなり直政!この右近にも、お主ほどの人数を預けさせて頂ければ、どうして貴殿に劣るだろうか!
小身であるから、働きも思ったようには行かないのだ。貴殿がそれほど道理に暗かったとは知らなかった。
そんな貴殿と年来交友を重ねたことが口惜しい!今後は絶交いたす!」
そう言い捨て立ち去った。

その後、直政はつくづくと考え、永井の言ったことこそ道理だと思った。
そして自分の非を悔やみ、「功に誇るのは義士の成すべきことではない。私は愚かにして、
上より下された所領を受けないというのは、畏れ多いことである。」
そう、誤りを正すことに決心し、本多忠勝にもこの道理を言い聞かせ、両人で家康の御前に出て

「以前、不足を申し上げた所領を、拝領仕るべし!」と申し上げた。
これに家康も
「尤もなり。良き了見なり」と、お咎めもなく折紙を与えた。

ここより直政は直に永井の所に向かい、彼と対面して
「以前の過言、面目のないことだった。貴殿は真実の友である。たった今私は、あなたに降参する。
どうか以前と変わらぬ、交友を続けていただきたい。」そういって文殊の茶入を差し出し

「この茶入は、あなたもご存知のように我が家第一の秘蔵の品であり、命にも代えがたいもである。
だが、今度の貴殿の厚情への感謝を、言葉で表すことはできない。せめて私の心ばせとして、これを。」

これに永井は直政の心の丁重さに感じ入り
「さてさて、以前に変わらぬ交友は、こちらからもお願いする。
しかしこの文殊は天下の重器ではないか。このようなものを受け取る事は出来ない。」
そう再三辞退したが、直政の
「この兵部の、拠ん所無い心底を見せる印である!」
との言葉に遂に受け取り、それは今も、永井の家に伝わっているそうである。
(武野燭談)

永井直勝、井伊直政に異見す、というお話




433 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/20(火) 20:56:46.19 ID:egQyUtaH
本多には言わなかったのかな

434 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/20(火) 21:09:04.71 ID:UpdhM8cs
この話は『茶道美談』にも紹介されているいい話ではないか
徳川家第一の重臣である直政に、臆せずにその非を直言する永井直勝もカッコよければ、
「功に誇りて、賞を貪るは、忠臣にあらず、義士にあらず、我れ過てり」
そうすぐに反省し「貴殿は眞實の友だ」と
命にも代え難い秘蔵の茶入を惜し気もなく渡す爽やかさを持つ直政もカッコいい

ちなみに茶道美談では最後はこう締めくくられている
「益友の一言(いちごん)は、萬鎰の黄金より貴し、井伊文林の宝器も物かは。」

435 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/20(火) 21:50:29.44 ID:45EqPW6/
永井と井伊で仲いい話

436 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/20(火) 22:31:20.21 ID:IEvQZ50K
お後がよろしいようで

440 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/11/21(水) 11:45:25.97 ID:yuZ2AsFA
>>433
忠勝「わしの手勢は500だが?」

441 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 13:08:54.92 ID:6pAeQzF3
兵500で100の首挙げられちゃ何も言えませんがな
兵5,000で前線でバリバリやってた主力の細川隊ですら首200なのに。
おかしいですよ本多さん・・・

447 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 20:47:20.26 ID:i3NIztTK
井伊直政は関ヶ原前に伏見城で在番期間の三倍も滞在して働き詰めで
とても疲弊しているという手紙を黒田官兵衛に送っているんだよな。
その後に足の付け根に腫れものが出来て痙攣を起こしたり
原因不明の高熱が出て生死の境を彷徨う病に倒れたために
急遽、本多忠勝が外様を率いる東海道組に加わったので小姓など500という少数部隊だったという。

450 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 21:46:12.23 ID:FYTIsNnw
>>447
ちょっと働かせすぎだよなぁ
そりゃ過労死もしますって
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    永井からしたら年上過ぎ&チートすぎる本多より直政の方が説得しやすかったんだろうか。

    しかし直政、年の近い友達いたんだね…

  2. 人間七七四年 | URL | -

    年関係なく康政と親友だったり安藤直次も目をかけたりしているし
    なんでも出来ちゃう直政と友達になりてー
    というような連中は多かったんだよぅw

  3. 人間七七四年 | URL | -

    万千代仲間。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    年上とばかり連んで同年代の中では浮いてるイメージだった。
    同級生にそうゆう奴いたもんで、なんとなく。

  5. あ | URL | -

    永井直勝て池田恒興を討ち取ってるし子孫にも有名人がいるんだよな

    既出だろけど言ってみた

  6. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | -

    井伊直弼は直勝の子孫永井尚志(大給松平からの養子だけど)を失脚させた。
    尚志のひ孫が三島由紀夫(尚志の息子は養子だけど)。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    永井荷風も子孫だよな
    ここには関係ないけど夏目吉信は漱石や房之介の先祖だし何気にスゴいw

    しかし余程一時の直政らしくない感情から
    目を醒まさしてくれたのが有難かったのだね
    それが家臣に託した遺言に繋がるんだと思った

    「井伊家は徳川殿のお取り立てによって今日があることを忘れてはならぬ。
    徳川家へのご 奉公第一につとめること、忠節一筋を心掛けよ。
    これは代々家を継ぐものに申し送って、 違反の内容にさせよ。」

  8. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | -

    三島の父方の祖父平岡定太郎と夏目漱石は東大予備門で同期で、漱石の小説のモデルって説もあるらしい。

    定太郎の妻が旧姓永井なつで、なつの母方の祖父は常陸宍戸藩主・松平頼位だから、三島は徳川家康や頼房の子孫でもある。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    あくまでも個人的には「仲直りする最後だけ良い話」だと感じました。
    どうして永井さんが直政さんへ言わなければならなかったのか?
    と言うのが引っ掛かったからです。

    主たる家康さんが何かしらの言を持って説得するならともかく、永井
    さんが行き成りやってきて他人の領地や武勲に口出したのが、何と無
    く余計な御世話に感じてしまいました。ともかく仲直り出来て良かった。

  10. 人間七七四年 | URL | m.2.LkcQ

    直政「と言う訳で、不服言わずに一緒に所領をお受けしましょうよ」
    平八「わかんない。俺、家臣に『オマエには十万石あげる』とか約束しちゃってるし」
    直政「部下なんだから説得してください」
    平八「わかんにゃい。まず私を説得して下さい」
    直政「違うでしょ?アンタそんな馬鹿キャラじゃないでしょ?」
    平八「え?張飛キャラじゃないの?今張飛じゃないの?」
    直政「張飛さんは魏延や黄忠に出世を先越されても文句言いませんでした」
    平八「あい」
    家康「オマエはタダ勝つことだけを考えよ」
    平八「あい」
    稲姫「と言うワケで前田家の荷物を襲います」
    信之「わかんにゃい」

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    家康は直政と忠勝ならその内すぐに理解してくれるだろうと思って敢えて何も言わなかったんでは?
    直勝だって直政ならちょっと言えばわかってくれると思っていたからこその行動だろうし

  12. 人間七七四年 | URL | -

    >11さん
    9です。いやね、そこん所は深く突っ込まんでくれ。
    あくまでも「個人的に感じた」程度なんで。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    >434の最後の一文が全てだな
    黄金の宝よりも貴重な一言をもらい、らしくない過ちを正せた
    そのお返しなので命にも代えがたい第一の秘蔵の品を贈るという

  14. 人間七七四年 | URL | -

    というか加増少ないうんぬんよか佐和山ってあんまりもらいたくない…

  15. 人間七七四年 | URL | -

    ※13
    そう考えると永井さんより、ぱぱにゃんが主な逸話だね

    >>447
    >とても疲弊しているという手紙を黒田官兵衛に送っている

    前の小牧長久手のこの逸話でもそうだけどttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-6970.html
    権現様の前では決して弱音を吐かずに
    常に完璧であろうとしたのかな、ぱぱにゃん
    いじらしいぞ

  16. 人間七七四年 | URL | -

    権現様「直政のそーゆーとこがたまらんのだよ。わかるだろ?」

  17. 人間七七四年 | URL | -

    忠吉(だからって息子の前でいちゃつくなよ)

  18. 人間七七四年 | URL | -

    忠吉さんったら慣れっこのくせにw

  19. 人間七七四年 | URL | -

    親父の元彼(になるのか?)の娘が嫁って書くとすごいな忠吉さんは
    といっても昔はこんなケースも一杯あったんだろうが

  20. 人間七七四年 | URL | -

    クロカンに手紙で愚痴ってのは知らなかった。

    パパにゃんは知れば知るほど働き過ぎ。そりゃ一番の出世頭になるわいな。

  21. 人間七七四年 | URL | -

    家康の代理で黒田家などの交渉実務に携わっていたからね
    特に如水とは書状のやり取りも多く
    心を許している所があったらしい

  22. 人間七七四年 | URL | -

    ※20
    あと、家康暗殺疑惑事件などで
    家康がいろいろと大変な時期だったから気も休まらなかったのもある

  23. 人間七七四年 | URL | -

    喧嘩した後に読んで泣いた
    こうやって話をしようといってくれる友人を相手にしなかったから、直勝と直政のように仲直りできないままになってしまった

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