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青山忠俊と知恵伊豆、記憶力について

2012年11月26日 19:58

498 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 18:41:29.94 ID:VSIyx/om
聞いたこと見たこと、何であってもよく覚えて忘れないというのは、その身の徳であり、第一の宝である。
見ても覚えず、学問・講習の筋を習っても、忘れ果てては何の役に立つだろうか?
人と近付きになっても、一度ばかりではその名前も顔も覚えられない、という例は多い。
記憶力が強いというのは、人の羨むことである。

青山伯耆守忠俊は記憶力に非常に優れ、旗本・小身の輩まで、一度その名を聞きその顔を見れば
能く覚えて、再び会った時には、必ずその名を呼んで挨拶をした。
その様であったので青山も自分の物覚えの良さを自慢していたが、ある会合において、
一座のものから青山に
「真似ようとしても出来ないことだ。有り体に言って中々及ばないことです。」
と声をかけられると、青山これに対し

「だいたい物覚えなどというものは、努力次第でどうにか成る事ですよ。」
と言い出した。これを聞いて同席・末座の人々、口をそろえて
「稽古によって出来る事なら、是非習いたい!」と、その答えを所望すると、青山は笑いながら

「意地がキレイか、意地が汚いかという事です。」
という。一座の人々困惑し、「そう言われても、全く理解できない。」と言えば青山

「されば、である。あなた達も、御三家・国持大名などの顔名前はきっと覚えているでしょう?
しかし小身の者たちに対しては侮っているから、その名も知りません。
私は末々まで、人であることに替わりはないと、平等に考えているので、能く覚えるのです。」

この言葉に一座のもの、皆感じ入った様子であった。

と、この場の遙か末座に、未だ無官の、若き日の知恵伊豆、松平伊豆守信綱があった。
彼は一人、青山の答えに感心した様子も見せずに嘯いていた。

青山はこの信綱の様子をいち早く見て取り、彼の方を見て声をかけた
「どうした!そこに居る小癪仁はどう思うのか!?」

これに信綱、冷然と
「…私の考えとは違う了見です。感じ入る所までは行きませんね。」と言う。
青山「では、お主の考えを聞きたい!」と、信綱の話を聞く姿勢を見せる。
すると信綱、少し進み出て

「太陽・月の事はきっと知っておられるでしょう。では、その他の星の名、星座の名など、
それをすべて覚えていらっしゃいますか?」

青山はこれを聞くと「どうやってすべての星の名を究め知ることが出来るだろうか?
天文の家であっても、細かな星は粟三斗分の数ほどもあると言っているが、それでも尚
具体的な数はわからないのだ。そうであるものを、どうしてその名を知ることが出来るだろうか?

この答えに信綱

「さて、あなたもそうお考えになりますね。
例えば、私のような愚かなものであっても、御三家は勿論、国取り大名も数が少ないので、
日月・五星・二十八宿と同じように、覚えるのが楽です。

しかし小身の衆は天の星の数よりも多いほどですので、どうして覚えられるでしょうか?
伯耆守殿のように、生まれつき記憶力の良い人には、そういったものも覚えられるのでしょう。
あなたがどう申されても、自分の意地の清濁とは関係ないことです。」

これには流石の青山伯耆守忠俊も閉口してしまったそうである。

ちなみに、物覚えには少しはコツがあるらしいよ!(物を覚ゆるは少しは傅も有る事とか)
(武野燭談)

青山忠俊と知恵伊豆の、記憶力についてのお話。





499 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 20:55:34.56 ID:luN+5ubm
伊豆守に聞いた青山が悪かったなw

500 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:16:46.67 ID:A9QZagF9
>私は末々まで、人であることに替わりはないと、平等に考えているので

江戸時代にこんな奴いる訳ないだろうが

501 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:21:01.19 ID:VSIyx/om
>>500
ちなみに原文

『我等は末々までも人に替りなき處を考へて、平等に存ずる故に能く覚え候』

武野燭談は宝永6年(1709)成立

502 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:25:32.97 ID:T7w6fXkL
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/772575/21
の53p見たらそのまんま書いてある

503 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:33:57.24 ID:Z47zLL3B
人類皆平等的なのは実際にはともかく宗教ではよくある表現だし
表現としてはそうおかしくないんでないの

504 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:54:09.00 ID:luN+5ubm
平等とか公平観は江戸時代にあった。最近読んだ東遊雑記にも出てきてた

505 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 21:59:08.26 ID:MtgoaPV4
差別は許さん 大名、小名、旗本を、俺は見下さん!すべて…平等に価値がない!
口で焼き味噌垂れる前と後に権現様と言え!

こうですか?

506 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 22:34:59.64 ID:fv8Yc8Y/
家光乙

507 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 23:33:23.45 ID:/sxQ+pTx
※但しイケメンはのぞく

508 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/27(火) 00:54:18.38 ID:/cGhAlBG
本音と建前を忘れちゃいかんよ
人類平等という思想と社会秩序のための階級格差は別なのだ
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    青山さんの発言は人類みな平等とも取れるが、この時代にこの考えは良かったんだろうか。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    >ちなみに、物覚えには少しはコツがあるらしいよ!
    >(物を覚ゆるは少しは傅も有る事とか)
    >(武野燭談)

    ……肝心の、そのコツをこそ書き残してくれればいいものを!

  3. 人間七七四年 | URL | YqzQT8Bs

    ※1
    安藤昌益みたいな人もいたからねえ。
    この人なんかマルクスより100年前に共産主義思想に目覚めちゃったし

  4.   | URL | -

    おかしいな、近代デジタルライブラリーの該当箇所には記憶方法も一応あるよ!
    が載っていない。
    原文書いてあるようだから、版によって異同でもあるのかもしれないが

  5. 人間七七四年 | URL | -

    青山さんのは
    大身だろうが小身だろうが、心臓刺して首を跳ねりゃ皆死ぬよ
    ぐらいの戦闘民族武士的平等かもしれん

  6. 人間七七四年 | URL | -

    逸話に出てくる知恵伊豆さんは、鼻持ちならんなぁ

  7. 人間七七四年 | URL | -

    逸話の知恵伊豆はちょっとアレな人だけど、今回は青山のツッコミ役だな

  8. 人間七七四年 | URL | -

    結果的にここから知恵伊豆の知恵自慢が始まった…とも。

    で、年長の土井利勝や年少の阿部忠秋に突っ込まれて青山忠俊同様閉口する、という流れになるのかな。

  9. 人間七七四年 | URL | wZ.hFnaU

    ※4
    ここだね
    ttp://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3441754

  10. 人間七七四年 | URL | -

    身分の高低に関わらず等しく接するのは昔から美徳なんじゃないかな

  11. 人間七七四年 | URL | -

    なんかこの知恵伊豆さんは鼻に付く事言いだしたな。
    別に誰々さんの事を覚えているって事なら、「それは凄い」って
    事で流せば良いだけなのに。

    ちなみにこのスキルは営業さんには必要なことでもあるよね。
    名刺と顔を一致させて覚えているって人、結構多いよ。
    こう言う人は大抵若くして出世してる。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    二十八宿の正式導入って1685年で、それまではインド式の二十七宿じゃないかな。細かいことだけど

  13. 人間七七四年 | URL | -

    平等というとどうしてもヒューマニズム的な部分ばかりが目につくけど、
    「雑兵を粗雑に扱う将」と「雑兵も家族同然に扱う将」だと後者のほうが
    部下が忠実に従って勝率が高くなる、みたいな実益もあるわけで、
    戦国の価値観で言っても平等であることのプラスはあったんじゃないかな

  14. 人間七七四年 | URL | -

    単純に、
    相手との利を考えると軽重のバランスが崩れ
    記憶にムラが出る。
    一々利を考えなければ公平に覚えられるだろ?
    って意味だと思うけど。

    記憶力悪い人は公平に誰も覚えられなくなるだけなんだけどね。

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