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黒田長政、母里太兵衛に高取城を守らせる・いい話

2008年12月08日 00:32

106 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 10:50:58 ID:qoGXckat
>>91の高取城を建てた時のこと。
高取山は国境の要地で、隣国は黒田の仮想敵国細川領。
(その仮想敵ぶりは端城の配置を見るとわかるので見たことない人は
一度検索してみてくれ。あれは噴く)
そこに城を築いて家老の母里太兵衛(但馬)に守らせることになり、
家中の士を大動員して出向いた長政一行。縄張は長政自ら行う。
しかし太兵衛がもっと石垣高く!だの相変わらず好きなことを言って
なかなか決まらない。
長政も慣れたもので、あーあまたかよと怒りもせずあしらっていたが、
ついに「但馬はわかってねーな。長いこと籠城する用の城じゃないから
そんなに堅固にしなくていいんだよ」と終了宣言を出した。
すると太兵衛の顔色が変わった。

「城を預けるって言うからいざという時はここが墓になるくらいのつもりで
いたのに、籠城しないってことは、敵が来たら明け渡すための城ですか!
敵を見て逃げたがるような奴を探してやらせればいい!俺は嫌ですから!」
(敵を見て逃げ候城には、此但馬は居るまじく候。
御家廣き事に候へば、敵を見て、逃げたくと存ずる者も之あるべく候。
左様の者を召置かれ然るべく候。某はいやにて候)

言い捨てると、そのまま自分の木屋に引き籠ってしまう。
長政は憤慨し、同じ年寄りで若いころは太兵衛の兄分だった栗山備後に訴えた。
「今の見た!?まあ聞け備後、あれはな、敵が来たらむしろこっちから押して
前線はこの城より先になるだろ、そしたら太兵衛は最前線で先手の右備にして
働かせて、この城には年取って遠征はつらいけどしっかりしてる奴を入れ直すに
決まってる!そういう意味で言ったのにあの態度!嫌だっつうならいいよもう!」
そこで栗山は長政をなだめてこう言うと但馬が立て篭もる木屋に向かった。
「怒るのはよくわかります。でもほら、いつものこと、いつものことですからね!
私が呼んできますから縄張は今日中に終わらせちゃいましょう。
バカの言うことは本気にしない、ね!」
そして、殿はこういう意味で言ったんだってよ、お前はいい年して我儘ばっかり
言うんじゃないと母里を叱りつける。
すると母里はけろりとして
「なんだ、そういう意味なら腹立たん。
ややこしい言い方しなくてもはっきり言えばいいのに変な奴だな」
(なぞだての様にいはずとも、思ふ様に打さらしいひたき事なり。いな曲の男なり)
と、木屋を出て栗山に先立ってとっとこ長政に近づくと
「敵を見て逃げろって言われたのかと思って腹が立ったけど、さっき備後に
聞いたような意味なら承ります。
石垣を高く塀を長くしたがったのは、できるだけ長い間敵を受け止めて大勢を
討取るのが忠節で、死んでしまっては決して御奉公にならないと思ったからです。
(石垣を高く立て、塀を永く望み候事、三日を五日、五日を七日なりとも
攻崩されず。百人殺すべき敵を、二百も討取り、大敵を此城にて請留め、
日數を送らせ候こそ、忠節たるべけれ。何方にても死し候へば、御奉公とは、
曾て存ぜず候。)
臆病で言ったんじゃないですからね!」
すると長政も母里の神妙な覚悟を褒め、二人は機嫌よく縄張を済ませた。

母里が自分の考えをはばかることなく申し上げると、長政公も殊勝に頼もしく
思われて、涙ぐまれたということです。
いやー非常によい話ですね。よかったよかった。


…ところでこの出典の古郷物語の作者、いつもフォローがわざとらしいの
どうにかならんのか。絶対変な話書いてる時の方が筆運び快調だろこいつ。
母里太兵衛の言動が趣深いと思ったので一部は引用してみた。




107 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/12/07(日) 10:55:49 ID:WEBcZuCH
>>106
逆に、わざとらしくフォローさえ入れておけば、何書いても良かったと考える事もできるなw



参考
母里太兵衛の(かわ)いい話
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