700 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/02/22(金) 23:51:03.10 ID:3T3cUQBH
大阪冬の陣が始まらんとしていた時の事である。
大阪城中では関東勢(幕府軍)が軍勢を発進させた、との報を受け、諸方の砦。そのほか外構え等の
軍事施設の普請を急いでいた。
この時に豊臣秀頼は譜代新参の諸将を集めて評定を行ったが、そこで秀頼は
『先に達って申し付けた各々の持ち口(担当場所)であるが、その配置に善悪が有り不満が出ている。
よって改めて、籤によって持ち口を決め直す。』
と仰せになった。これを聞いた各持ち口の頭分の者たちは
「最前、既に仰せ出された持ち口であるのだから、それに善悪があるといっても今になって又
変えるべきではない。それに武士が籤を用いる時は、その故実に従うべきものであるので、
ともかくもそのままに差し置かれるべきだ。」
と思い、敢えてその沙汰に同調する雰囲気は無かった。
この時、大野治長と渡辺糺は籤奉行であり、両人は座の中央に居たのだが、治長が進み出て
申し上げることには
「黒門口は平野口に近く、これも又大手の要害ですので、かの口の30間は、私治長が
これを固めます!」
渡辺糺はこれを聞くやいなや怒鳴った
「治長のやり方は全く理解できない!今、持ち口の善悪があるからと籤を用いようとしているのだ!
そんな所に黒門口は治長自らがこれを固めると言い出す。
然らばこの籤は無いのと同じではないか!
そもそも修理亮はいつもそうだ!何でも己のほしいままに行い、諸将を軽んずる。
甚だ奇怪なことである!今後そのような態度は謹むべきだ!」
治長もこれに怒鳴り返した
「黒門口は内側が広く、そのため小勢ではここを守るのは難しい。それ故配下の多いこの私が、
籤を引く前にここを固めると申したので、これは全く我意を挟んだものではない!
だいたいそのように言う貴殿こそ、秀頼公の思し召しが良いのをいいことに、諸士に対して
無礼に振るまい、人々もこれを憎んでおるぞ!
この治長の事を言う前に、先ず自分の身を謹まれよ!」
糺はこれに激怒し
「日々の事はともかく、黒門口の担当も籤で決めるべきで、特別に治長に任せるような事は
出来ない!それでも強いて要求するのなら、余人には渡さぬ、この糺が自らここを請け負う事とする!
未だ言いたい事があるなら、申されよ!」
渡辺糺は目を怒らし居丈高となり肘を張って言葉を投げつけた。
これに治長も膝を立て、今にも斬りかかろうとしたのを、座中の人々が慌てて両人の中にはいり
「御両人はこの大阪城をまとめる老臣ではありませんか!それがこのような論争をするのは
ただでさえ似合わぬことであり、しかも今のような大事を控えた状況で、朋輩同士の
口論などしている場合ですか!
第一これは、君のためになりません!」
そう言って二人を制した。ここでようやく渡辺糺が鎮まり、治長も「ついカッとして言い過ぎた」
と謝罪し、各々その座に戻った。
しかしこの騒ぎのために、籤の件は沙汰止みとなったそうである。
(慶元記)
702 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/02/23(土) 07:28:04.71 ID:7nKpJU6+
>>700
諸将が不満に思う籤をやめさせるために二人で芝居した……ってことはないだろうな
703 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/02/23(土) 09:02:31.22 ID:R+0y1Ibw
どっちなんだろうなw
先に籤は間違いであることが述べられて、最後に結果として
籤は取りやめとなかったとあると解釈に悩んじゃうなw
大阪冬の陣が始まらんとしていた時の事である。
大阪城中では関東勢(幕府軍)が軍勢を発進させた、との報を受け、諸方の砦。そのほか外構え等の
軍事施設の普請を急いでいた。
この時に豊臣秀頼は譜代新参の諸将を集めて評定を行ったが、そこで秀頼は
『先に達って申し付けた各々の持ち口(担当場所)であるが、その配置に善悪が有り不満が出ている。
よって改めて、籤によって持ち口を決め直す。』
と仰せになった。これを聞いた各持ち口の頭分の者たちは
「最前、既に仰せ出された持ち口であるのだから、それに善悪があるといっても今になって又
変えるべきではない。それに武士が籤を用いる時は、その故実に従うべきものであるので、
ともかくもそのままに差し置かれるべきだ。」
と思い、敢えてその沙汰に同調する雰囲気は無かった。
この時、大野治長と渡辺糺は籤奉行であり、両人は座の中央に居たのだが、治長が進み出て
申し上げることには
「黒門口は平野口に近く、これも又大手の要害ですので、かの口の30間は、私治長が
これを固めます!」
渡辺糺はこれを聞くやいなや怒鳴った
「治長のやり方は全く理解できない!今、持ち口の善悪があるからと籤を用いようとしているのだ!
そんな所に黒門口は治長自らがこれを固めると言い出す。
然らばこの籤は無いのと同じではないか!
そもそも修理亮はいつもそうだ!何でも己のほしいままに行い、諸将を軽んずる。
甚だ奇怪なことである!今後そのような態度は謹むべきだ!」
治長もこれに怒鳴り返した
「黒門口は内側が広く、そのため小勢ではここを守るのは難しい。それ故配下の多いこの私が、
籤を引く前にここを固めると申したので、これは全く我意を挟んだものではない!
だいたいそのように言う貴殿こそ、秀頼公の思し召しが良いのをいいことに、諸士に対して
無礼に振るまい、人々もこれを憎んでおるぞ!
この治長の事を言う前に、先ず自分の身を謹まれよ!」
糺はこれに激怒し
「日々の事はともかく、黒門口の担当も籤で決めるべきで、特別に治長に任せるような事は
出来ない!それでも強いて要求するのなら、余人には渡さぬ、この糺が自らここを請け負う事とする!
未だ言いたい事があるなら、申されよ!」
渡辺糺は目を怒らし居丈高となり肘を張って言葉を投げつけた。
これに治長も膝を立て、今にも斬りかかろうとしたのを、座中の人々が慌てて両人の中にはいり
「御両人はこの大阪城をまとめる老臣ではありませんか!それがこのような論争をするのは
ただでさえ似合わぬことであり、しかも今のような大事を控えた状況で、朋輩同士の
口論などしている場合ですか!
第一これは、君のためになりません!」
そう言って二人を制した。ここでようやく渡辺糺が鎮まり、治長も「ついカッとして言い過ぎた」
と謝罪し、各々その座に戻った。
しかしこの騒ぎのために、籤の件は沙汰止みとなったそうである。
(慶元記)
702 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/02/23(土) 07:28:04.71 ID:7nKpJU6+
>>700
諸将が不満に思う籤をやめさせるために二人で芝居した……ってことはないだろうな
703 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/02/23(土) 09:02:31.22 ID:R+0y1Ibw
どっちなんだろうなw
先に籤は間違いであることが述べられて、最後に結果として
籤は取りやめとなかったとあると解釈に悩んじゃうなw
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コメント
人間七七四年 | URL | sSHoJftA
城内の諸将がもつ不満のガス抜きと
意地の張り合いの悪い見本を見せて
協調を図ろうと一芝居うったのだ。
っていうオチかと思った
( 2013年02月23日 22:03 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
喧嘩も仲裁も全部仕込みに見えるw
面と向かって秀頼に止めましょうって言えなかったんだろうなぁ。
( 2013年02月24日 00:06 )
人間七七四年 | URL | -
又兵衛<双方とも死ねばよい
ww
( 2013年02月24日 07:28 )
人間七七四年 | URL | -
攻め手ならともかく籠城側がこんな小芝居打った所で城兵の士気減退しか招かない気がするのだが。まあ秀頼の評定での籤引き発言の時点で守将共は士気急落だったかもしれないが。
( 2013年02月24日 08:00 )
人間七七四年 | URL | -
籤で持ち場を決めようとするあたりまったく現場をわかってないよなあ
これでは萎える
( 2013年02月24日 10:59 )
人間七七四年 | URL | -
冬の陣って事は、又兵衛さんが「双方○ね」言ったのはこの場面かな?
幾ら吉兆を占う意味もある籤とは言え、これは時期を逸している。
持場も混乱するだけだろうし。
千石級の糺さんは大名の治長さんに随分と大きく出たな。
( 2013年02月24日 15:53 )
SHIN | URL | B4ff.1Vc
まあ治長と糺のやりとりは籤をなしにするための小芝居っぽい感じはあるけど、
ただ老臣の治長、旗本の糺がともに知らないところでいきなり籤の話が出てくるあたり、
大坂の陣前夜の豊臣家が統制取れてないことがわかるなぁ…
( 2013年02月25日 02:55 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
援軍がない以上、落城は避けえないんだから、各自勝手に戦えばいいんじゃね?
( 2013年02月26日 16:16 )
人間七七四年 | URL | -
ぼんぼんが馬鹿なことを言い出す
→そのままだとまずいので軌道修正を計る
→根回し不足でへそを曲げる奴が出てくる
( 2013年02月26日 19:56 )
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