705 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 21:36:00.72 ID:ozCl1eoC
天正13年(1585)の秋、北条氏直の軍と佐竹義宣の軍とが、下野国の大和田と藤岡という所にて
対陣をしたが、大合戦にはならず、200騎ばかりでの小競り合いが起こった。
この中に北条方の岡部権太夫と言う者、黒糸縅の鎧に、同じ毛の兜を付け、猪の指物をして一陣に
進み出、あまたの敵と戦ったが、ある敵と引き組んで馬から落ち、上になり下になって
転がったが。終に岡部が上になって敵の首を取り、これを拾って味方の陣に帰ろうとした。
と、その時、彼は自分の指物を落としたことに気がついた。敵にこれを拾われるのも無念の事と
思い、自分の討った首を引っさげて、再び敵陣の方へと向かったのだ。
この岡部権太夫の動きに敵も見方も怪しみ訝しんだ。このよ行動は、心変わりをして
敵に降参するようにしか見えなかったためである。
岡部は敵陣近くまで来ると馬を停め、大音を上げて言った
「ここに在るは下総国の住人、岡部の権太夫と云うものである!
先陣の駆け引きにおいて敵と組み、首をひとつ取ったのであるが、我が指物を落としてしまった!
紋は猪である!
されば、この首は未だ大将の実検に供していない!
我が指物を拾われた御方、どうかこれと取り替えて頂きたい!」
敵はこれを見て、なんとけなげな侍の心ばせだろう。ならば彼に返してやるべきだ、
などと話していた所に、河中喜平次と云うもの、岡部の指物を持って出てきて
「あなたの御心ばせに、やさしくも感じ入りました。これは、お返しいたします。」
と言って差し出した。
これに岡部は
「武士としてその情を深く感じ入っています。出来ればもうひとつご芳志に、指物を指し筒(背中で
指物を固定する筒)に指していただけないでしょうか?」
と言って馬の口を引き返し、後ろ向きになって敵に指物を指してもらい、それから
首を河中喜平次に渡して、味方の陣に静かに帰っていった。
これには敵も味方も、稀代の剛の者かと、岡部を褒めぬ者は居なかったという。
(軍人頓智叢談)
706 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 22:58:28.39 ID:1vD1W6ZD
猪の紋ってどんなのだろうw
707 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 23:13:51.74 ID:j0aLHUcX
~にしか見えなかった、って・・・
味方の首持って来た奴の降参を受け入れるの?
708 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/11(月) 07:40:00.46 ID:MN3iRA3L
>>706
真壁氏の旗指物がちょうど猪。
ttp://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/topics/news/photo/h22/07/7-12.html

珍しい旗指物だとは思うけど佐竹、北条の境界で珍しいかと言われたら
真壁さんが泣いてしまうと思う。
709 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/11(月) 13:03:44.36 ID:65W20Li6
>>708
おお、乙事主様的かっこよさ
712 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:18:03.83 ID:Xx6Ke432
>>705
既出だな
iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-785.html
当時のランキングで2位になるほどの話(一位は出世の白餅)
iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-821.html
もう4年も前のレスだが
713 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/13(水) 07:56:50.81 ID:K8khZqNi
俺はもう四年もスレに張り付いてたのか…(絶句
714 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/13(水) 12:31:07.32 ID:e6sbVAIy
>>713
いい話だ
天正13年(1585)の秋、北条氏直の軍と佐竹義宣の軍とが、下野国の大和田と藤岡という所にて
対陣をしたが、大合戦にはならず、200騎ばかりでの小競り合いが起こった。
この中に北条方の岡部権太夫と言う者、黒糸縅の鎧に、同じ毛の兜を付け、猪の指物をして一陣に
進み出、あまたの敵と戦ったが、ある敵と引き組んで馬から落ち、上になり下になって
転がったが。終に岡部が上になって敵の首を取り、これを拾って味方の陣に帰ろうとした。
と、その時、彼は自分の指物を落としたことに気がついた。敵にこれを拾われるのも無念の事と
思い、自分の討った首を引っさげて、再び敵陣の方へと向かったのだ。
この岡部権太夫の動きに敵も見方も怪しみ訝しんだ。このよ行動は、心変わりをして
敵に降参するようにしか見えなかったためである。
岡部は敵陣近くまで来ると馬を停め、大音を上げて言った
「ここに在るは下総国の住人、岡部の権太夫と云うものである!
先陣の駆け引きにおいて敵と組み、首をひとつ取ったのであるが、我が指物を落としてしまった!
紋は猪である!
されば、この首は未だ大将の実検に供していない!
我が指物を拾われた御方、どうかこれと取り替えて頂きたい!」
敵はこれを見て、なんとけなげな侍の心ばせだろう。ならば彼に返してやるべきだ、
などと話していた所に、河中喜平次と云うもの、岡部の指物を持って出てきて
「あなたの御心ばせに、やさしくも感じ入りました。これは、お返しいたします。」
と言って差し出した。
これに岡部は
「武士としてその情を深く感じ入っています。出来ればもうひとつご芳志に、指物を指し筒(背中で
指物を固定する筒)に指していただけないでしょうか?」
と言って馬の口を引き返し、後ろ向きになって敵に指物を指してもらい、それから
首を河中喜平次に渡して、味方の陣に静かに帰っていった。
これには敵も味方も、稀代の剛の者かと、岡部を褒めぬ者は居なかったという。
(軍人頓智叢談)
706 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 22:58:28.39 ID:1vD1W6ZD
猪の紋ってどんなのだろうw
707 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 23:13:51.74 ID:j0aLHUcX
~にしか見えなかった、って・・・
味方の首持って来た奴の降参を受け入れるの?
708 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/11(月) 07:40:00.46 ID:MN3iRA3L
>>706
真壁氏の旗指物がちょうど猪。
ttp://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/topics/news/photo/h22/07/7-12.html

珍しい旗指物だとは思うけど佐竹、北条の境界で珍しいかと言われたら
真壁さんが泣いてしまうと思う。
709 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/11(月) 13:03:44.36 ID:65W20Li6
>>708
おお、乙事主様的かっこよさ
712 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/12(火) 20:18:03.83 ID:Xx6Ke432
>>705
既出だな
iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-785.html
当時のランキングで2位になるほどの話(一位は出世の白餅)
iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-821.html
もう4年も前のレスだが
713 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/13(水) 07:56:50.81 ID:K8khZqNi
俺はもう四年もスレに張り付いてたのか…(絶句
714 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/03/13(水) 12:31:07.32 ID:e6sbVAIy
>>713
いい話だ
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コメント
人間七七四年 | URL | -
>後ろ向きになって敵に指物を指してもらい
敵味方の間柄であれど、筋を通せば分かり合ってくれるのがいいね
( 2013年03月11日 21:08 )
人間七七四年 | URL | -
猪突猛進は今はあまりいい意味は無いけど、戦場で前に進めるのは武士としての誇りに通じるのかね。それにしてもあんな指物してて邪魔だと思うのは現代人の軟弱さか。
( 2013年03月11日 22:00 )
人間七七四年 | URL | -
前にしか進めないムカデも勇将の誉れとして扱われてたしね
旗指物は……無いと戦場で誰がどこにおるか分からんようになるしなぁ
それにこのクラスの武士になると旗ぐらいじゃあんま変わらないんじゃない?森さんちの各務さんとか
( 2013年03月12日 00:02 )
人間七七四年 | URL | sSHoJftA
こりゃまた爽やかな逸話だな
ついさっきまで命の奪い合いしてたというのに
いや面白いわ
( 2013年03月12日 00:03 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
味方の首と引き換えだから、
騙して討ったら、その味方の
不名誉になるという感覚なのかも。
( 2013年03月12日 00:43 )
人間七七四年 | URL | -
命のやり取りをしている筈なのに、何処か清々しさすら感じる
お話でしたね。
やはりこう言う「敵ながら天晴」的な逸話は何時読んでも心に
来る物が有りますね。
( 2013年03月12日 16:08 )
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