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小早川秀包と上方の相撲取り達

2013年05月01日 19:50

469 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 06:33:01.25 ID:4dboLDCB
ある時、上方より優れた相撲取り達15人ばかりが、許状を取った上で西国を廻り筑後へと来た。
この事を小早川秀包が聞き、元より相撲を好まれ、それまでも、相撲に名のあるものを20人ばかり召し抱えていたため、
彼らと相撲を取らせようと、相撲取りたちに宿を取らせ、4、5日休息させ、その後白洲に召されて手の者達と相撲を取らせた。

ところが、さすがに上方から許状を取って下って来た程の者達であり、何れも手練にて、秀包の20人ばかりの相撲取りを、
尽く打ち負かした。

秀包は顔色が変わり機嫌もすっかり悪くなり、御前の人々もすっかり盛り下がっていた所、行事が言った
「御相撲はもはや尽きたのでしょうか?取り組みのお望みがもはや無いのであれば、撤収したいと思います。」

これを聞いて秀包は
「私の抱えた連中は何れも脛の立たぬとは、なんという浅ましさか!野津の仁兵衛はそこにおらぬか!?」

仁兵衛、承って御前に出ると、秀包これを見て
「私の相撲取り共は尽く負けた!汝出て責任をとれ!」(汝いでてせきをとれ)

仁兵衛驚き、『これは何とも思いもよらぬお言葉だろう。私は侍の役儀に関しては調練してきたが、相撲の取り方など
調練しておらぬ。しかし御命令である以上、出るより他ない』と、裸になり下帯をよく締め、9寸5分の鎧通しをしっかりと挿して
出てきた

『例え彼らと相撲をとっても、10回やっても100回やっても負けるであろう。どうしても彼らに下されるくらいなら、あの腹を背中まで
突き通して打ち捨てよう。それにどれほど難しいことが有るだろうか。』

上方の相撲取りたちは仁兵衛の姿を見て当然ながら抗議した
「その脇差はいかがなものでしょうか?どうかそれを取って頂きたい。」
しかし仁兵衛これを聞いて
「お前たちのような相撲取りはそう思うだろうが、それがしは産まれてから刃物を片時も離す事が無かった。これは侍の身の道具であるから
こう挿しているのだ。お前たちは少しも気遣いすることはない!さあさあ、そんな事より立ち会いを合わせよう!」

行事はこれに「仰ることはご尤もではあるのですが、相撲をとる上は、同じようにお取り下さい。」
しかし仁兵衛「お前たちは要らぬ所に気遣いをするものだな。さあさあ、そんなことより早く取ろうではないか!」と怒って言い放った。

これには仕方なく、立ち会いを始めたが、立ち会った相撲取りが心に思ったのは
『この相撲にもし勝ったら、私の腹を刺し付かれる事は疑いない。命を失っては何にもならない。』と、引き組んで程良いところで、
土俵の真ん中で負けた。

この取組に、秀包を始めとして御前の人々、一度にどっと笑った。このようにして仁兵衛は二番打ち勝つ。その次の”かんせき”という相撲取りも、
もし勝ったら脇差で突かれると恐れて、様子よく相撲を見せて土俵の真ん中で負けた。

仁兵衛が都合三番打ち勝った事で、座中は大いに笑い、秀包も機嫌よく、相撲取りたちはそのまま退散した。

後に野津仁兵衛が語ったことには
「彼らはさすが上方の者達だけあって、心きいていた。無才覚の奴らだったら、2,3人は腹を突き通すことになっていただろう。」
と、大笑いしたそうである。

それから秀包は、それまで召抱えた相撲取りたちを尽く召し放ちにしたそうである。
(義殘後覺)




470 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 06:55:40.34 ID:FzF2uBvz
八百長相撲ならぬ仁兵衛相撲と呼ばれたそうである
なんちて

471 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 09:11:27.84 ID:eYbbqQTy
なにこのシグルイの世界こわい

472 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 09:37:31.32 ID:ZEPS/1lc
これ現代のスポーツマンシップや平等観からみたら?だが、
仁兵衛さんの対処はこうするしかないだろ。
一度は主君の無理難題を諌めてるし、、、
相手の土俵で正々堂々やって負けて理不尽に悔しいのは仁兵衛さん一人。
相撲取りは刀がなければ…と後から理屈はつくしね。
秀包もこの展開を読んで小早川家の面目晴らしたならさすがだが、
それでも無茶だよなあ、と思うオレも現代人だな(笑)

473 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 10:59:36.65 ID:OYTBu6sV
イイハナシダナー

474 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 11:38:37.35 ID:mu3gU2Le
観客を楽しませつつ程よいところでわざとらしくなく負けるって難しいよね。

475 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 12:05:11.31 ID:nn1ElgKs
立ち合いは強く行って、あとは流れでお願いします。

476 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 17:26:18.36 ID:4/41+WON
これって…北の将軍様と大して変わらんな

483 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 21:50:20.17 ID:DE1+Hoq+
>>469
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-6599.html
>395 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/14(土) 06:41:24.95 ID:u1g3oh1k
>>どの辺が相手を斬っていいラインなのかね
>これ時期にもよるし藩主の考えにもよる
>戦国期なら百姓町人を切っても事情があれば許されたし褒められもした
>江戸期に入ると、刀を抜いただけで処分もありえた
>(更に刀を抜いて相手を殺せなかった場合は武家の対面という意味でも処分された)
>
>たしか商人に呼ばれて、相撲取りと相撲しろと強要された侍が相撲取りを切り捨てた話があったはず
>この人は処分されておらず、切ったのはもっともな話ってオチだったはず

斬られなくてよかった

487 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/05/01(水) 22:40:27.27 ID:QeAhPR5A
>>469
仁兵衛のとった行動は武士らしくていいんだけど、秀包は酷いな

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    さすが上方の相撲取り、少なくとも笑いは十分に取ったのだから大満足だろう。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    「土俵の真ん中で負けた」とわざわざ書かれているのは相撲取りの意地かな?それとも観客へのサービス?

  3. 人間七七四年 | URL | sSHoJftA

    他人の土俵で相撲をとらせられるところを
    無理やりにでも自分の土俵へかえたんだな
    これは意外に、ためになる話…かも?

  4. 人間七七四年 | URL | -

    プロレス団体の地方遠征みたいなもんなんだろう
    地元レスラーと遠征レスラーそれぞれ見せ場を作らせあいつつ勝敗も全体でそれなりの配分にしたり
    地元に花を持たせるために遠征側が普段やらないヒールをやったり
    そういう配慮を用意しなかった上方力士がまず悪い……
    とは言っても、手加減したらしたで怒る大名も居そうだなぁ、大変だね

  5. 人間七七四年 | URL | -

    本場所以外の今の大相撲の地方巡業でもやってるでしょ。
    地元力士が強いの。まあ、本当にホーム・アウェイ効果で強いのかもしれんが。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    昌信「腹貫かれてこそ、相撲の醍醐味であろう」
    蘭丸「ですよね〜///」
    晴信「…」
    信長「…」

  7. 人間七七四年 | URL | -

    あぁ、秀包さんの頃の上方って大坂か
    ガチで強いなら名前残ると思ったけど、
    相撲番付が生まれる前だから調べようがないか…

  8. 人間七七四年 | URL | -

    大阪力士衆と言えば新撰組との喧嘩のイメージ。このときは勿論、力士も武器使用している

  9. 人間七七四年 | URL | -

    今だったら「八百長」と「金返せ」コールがおきそう

  10. 人間七七四年 | URL | -

    プロレスネタすまぬ

    米9
    現代なら『我々は殺しあいをしているのではないっ!』のドラゴンストップ炸裂

  11. 人間七七四年 | URL | -

    後の『初っ切り』である

  12. 人間七七四年 | URL | -

    完全にエキシビションマッチだから笑えるんだろうな

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ???「つべこべ言う奴は我が主宰の相撲大会に参加するように。
    余興で地元有志による火縄銃の実弾演習もあるのでご期待あれ」

  14. 人間七七四年 | URL | -

    ※10
    ふと、今日は一日『プロレス・格闘技テーマ曲』三昧でマッチョドラゴンが
    ドラゴンストップになったのを思い出した

  15. 人間七七四年 | URL | 3/VKSDZ2

    村上春樹のイスラエルでの講演を思い出した

    システム様に人間が右往左往させられる話ってのは
    たまにドン引きしてしまうなあ・・・

  16. 人間七七四年 | URL | -

    当時の掟を知らずに書くけど、
    仁兵衛さんには相撲取りに対して後ろめたい気持ちを持っていてほしかったな。
    「無才覚の奴らだったら、2,3人は腹を突き通すことになっていただろう。」
    って、ズルをして勝った本人が言っていいセリフではないよ。

  17. 人間七七四年 | URL | -

    武士が、相手が暗黙の了解を守ってくれる前提の考え方をすると、本業の戦で失敗するからなんとも。。。

  18. 人間七七四年 | URL | -

    現代の感覚しか持てない現代人から見れば、確かに物騒で理不尽に感じるよなぁ。
    これ相手が察してくれて良かった部分もある。相手が逆に本気になって居たら、
    当時の相撲取り相手なら仁兵衛さんも只では済まなかったろうから。

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