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フロイス「日本史」より、立花道雪の話

2013年11月26日 19:01

710 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/11/26(火) 16:14:42.98 ID:/L3nXWsc
立花道雪の話

二万近い兵士を擁する豊後勢は、先に筑後国で叛旗したクロギ(黒木)という城を包囲するために出動した。
(豊後勢は)優れた指揮官を欠き、隊列も整わず、十分な協議もせずに襲撃したところ、
城中の兵士は猛烈果敢に応戦して、豊後勢に三百名の死者と七百名ほどの負傷者を出さしめたので、
残りの者は意気阻喪し、怖気づいて、我先に豊後へと敗走し始めた。
だが豊後にいた他の諸城の指揮官たちは、退却してくる彼らを襲って全滅させるように打ち合わせていたので、
彼らは前進することも後方へ退くこともできなくなった。(※)

この事態はタチバナ城の城主に伝えられた。
七十歳をいくつか越えたこの老いた城主は、人々が語るところによれば、
ただちに豊後随一の優れた槍の鞘を払い、
「(某の)鎧に封印をせよ。かの城、および他の城を占領するまで、某はこの鎧を体から外さぬ」と言ったということである。
そして六、七千名の有能な兵を率い、筑後の国内を通過し、途中、通行を妨げる幾人かの敵と戦い、
難なく彼らを制圧し、四、五日の旅の末、ついに不安におののいている豊後勢がいる場所に着いた。
豊後の軍勢は、差し迫ったこの危機から自分たちの救出に駆けつけてくれた彼を見て、この上もなく喜んだ。
老人は、ただちに軍勢の指揮官たちを招集し、一同を厳しく叱責した後、激怒しながら言った。
「お前たちは。
 もし女なら、なぜ逃げぬのか。
 またもし男なら、卑しくも兵士と言われながら、なぜ戦わぬのか。
 よいか、合戦において卑怯な態度を見せたり、『豊後へ帰りたい』などと言いだす輩は、
 某が自ら殺してしまうから、よく覚えておくがよい」と。

(彼は)時を移さず、幾日もの旅の疲れを物ともせず、自ら先頭に立って、
地の利といい籠城している兵士の勇敢さといい難攻不落と思われた城に対し、果敢な襲撃を試みた。
最初の攻撃で彼らは城内に突入し、城内にいた敵の大部分を殺害した。
この間、味方が被った損失はごくわずかに留まった。
彼はこの勝利を得ると、気力を失い臆病風にとりつかれていた豊後の兵士たちを感奮させようと、
さらに他の二城を彼らと一緒に攻撃した。
それらの城はいずれも彼の武威に屈した。

711 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/11/26(火) 16:15:48.91 ID:/L3nXWsc
この老人は深い思慮を備え、戦においては著名な指揮官であったが、異教に凝り固まっていたのでデウスのことを嫌悪していた。
その頃、豊後の殿の一人を父に持つ若者が(キリシタンの)説教を聴いていたが、突如出陣することになったので、
さしあたっては洗礼を受けることができなかった。
彼は自らの慰めとして、コンタツを首にかけて出陣した。
陣営では、朽網殿と称する異教徒である彼の父が、老いた総指揮官を訪問しようと思って息子を同伴した。
その際、父親は息子に、
「そなたも知るように、タチバナドノはキリシタンをあまり好まれぬので、そのコンタツを目に触れないように隠しておけ」と注意した。
若者はそのように見せかけたが、父と一緒に総指揮官のいるところに入ると、これ見よがしにわざとコンタツを表にとりだした。
父親は息子の仕業に赤面して言った。
「この倅は馬鹿者です。
 ここに罷り出るに先立って、貴殿はコンタツをお好み遊ばされぬゆえ、取り外すよう注意しておきましたが、
 このように出して見せる始末です」と。
老人が答えて言うには、
「貴殿、御懸念には及ばぬ。
 なぜならば、優れた兵士は初志を貫徹すべきで、後退してはなりますまい」と。

このことから言い得るのは、日本人がいかに理性的で、答弁にあたっていかに分別があるか、ということである。

(フロイス日本史より)
※の行の内容については、なぜ豊後の城主たちが豊後勢を攻撃しようとするのか、訳者いわく「事情を理解しがたい」とのことですが
 そのまま書きました。




712 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/11/26(火) 17:37:25.05 ID:gYfr5t4H
異教だってだけでクソミソなフロイスさんが武勇や思慮を称えるとか道雪さんとこは色々ぶれねぇなぁ・・・

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    文面そのままだと道雪が褒めてるように受け取れるけど
    遠まわしに「アンタの倅は兵隊向きで、将の器量はないね」って言ってるような

    俵藤太が平将門に、大将たる重み無しって言ったの思い出した

  2. 人間七七四年 | URL | -

    道雪さんはリアル軍神
    フロイスが異教徒でありながらここまで特筆するってことは、人柄も含め桁外れだったんだろうな

  3. 人間七七四年 | URL | -

    いろんな場所でいろんな方々が発言してるが、そんな雷神様や紹運さん、シンジ君達がいながら本当何故大友家はああも衰退したのか......

  4. 人間@7年 | URL | HLrqDUJ6

    ※3

    トップが凡人でも周りが守り立てていけば家は栄える。
    トップが多少愚劣でも家臣が優秀なら現状維持が出来る。

    しかしトップが人間のクズだった場合は家臣がどんなに頑張っても、それとは別の次元で致命的失敗をやらかすからなぁ……
    どうしようもない気がする。

  5. 人間七七四年 | URL | EhpjhAvU

    疑われて前進も後退も出来なくなったのは寝返りを疑われていた南郡衆だったんじゃないのかなと
    筑後攻めに関しては島津から突き上げ食らってる豊後勢にやる気が無いのはしょうがない
    攻める暇があったら豊後本領の防備を固めたかっただろうに

    立花の方は筑後を攻めている間は攻撃される心配はないから積極的になれる
    というか攻撃を止めたら筑前まで攻め込まれるから攻めざるを得なかった

  6. 人間七七四年 | URL | -

    すげえな
    キリシタンに好意的じゃ無いのにここまで絶賛されるなんて

  7. 人間七七四年 | URL | -

    調べてみたら、このすぐ後に死んじゃったんだな・・・

  8. 人間七七四年 | URL | -

    大友のシンジ君って誰?

  9. 人間七七四年 | URL | -

    志賀親次のことじゃないかな

  10. 人間七七四年 | URL | -

    末期の大友家の惨状はマジで目を覆いたくなるな
    三国志演義の蜀や銀英伝の自由惑星同盟みたいな
    フィクションの滅亡直前国家を見てる気分だ

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※3
    トップが余計な事しすぎた。
    道雪たちも毛利とかに負けてる戦が多いから優秀すぎるってほどでもない。

  12. 人間七七四年 | URL | JalddpaA

    ※11
    大友家vs毛利家で見ると合戦では毛利家が圧勝だったけど、
    道雪が毛利と直接戦って負けた局地戦ってあったっけ?

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ※4
    天庵「まったくその通りじゃな」

  14. 人間七七四年 | URL | -

    ソーリンは能力自体は有能なのにメンタルが極めてピーキーという一番厄介なタイプだからなあ

  15. 人間七七四年 | URL | -

    >14
    伊達某「有能でも性格がアレではねえ」
    細川某「狐がついてちゃねえ」
    島津某「家族は仲良くしないと」
    森某「そんな性格の奴はやっちまえ!」

    福島正則「そ、その辺でやめといた方が・・・」

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ※14&15
    太閤「はて、儂にも当てはまる部分がいくつかあるのだが...おぬしら、儂に何か意見があるなら申してみよ。怒らぬから(ニッコリ)」

  17. 人間七七四年 | URL | -

    ※16
    豊臣家臣団(自分がアレだって自覚あったんだ……)

  18. 人間七七四年 | URL | -

    ※15(の市松さんへ)
    っ 銘酒一斗

  19. 名無しのプロデューサー | URL | -

    当主が宗教に狂ったら部下がどれだけ優秀でも無駄

  20. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    サンクス

  21. 人間七七四年 | URL | -

    本当に道雪さんはぶれないなあ
    大河やってくれないかな

  22. 人間七七四年 | URL | -

    ※12
    北九州争奪戦は通して見ても基本的に道雪が指揮とった戦は勝ってるけど、別の大友よりの豊前国人が城代に入るたびに攻め落とされたり調略で寝返るって流れだねえ
    序盤から中盤はマジで一人で戦線支えてた印象

  23. 人間七七四年 | URL | -

    この逸話の道雪の行動って、山本五十六の「やってみせ~」の言葉通りだよね

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