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これに利勝は返書して

2013年12月20日 18:55

914 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/12/20(金) 18:14:48.12 ID:P2cxD71R
山口重政は大久保忠隣の事に連座して改易され蟄居していたのだが、
大坂冬の役の前に、土井利勝へ書を贈り、

「日頃、御厚恩を受けてはいますが、現在は御勘当の身なので報い奉る期がありません。
いま罪を蒙っていることは天下の人の知る所ですから、偽って大坂へ籠もったとしても、
城中に疑う者はおりますまい。

されば間隙を窺って秀頼公を刺殺し、日頃の御厚恩を報い奉れば、兵を労さずして
天下は平穏となるでしょう。そこで妻子を留めて人質にするつもりです」と言いよこした。

これに利勝は返書して「私は以前から貴所が精忠にして私のないことを知っています。
しかりといえども、貴所が初めより将軍家の親愛を得られていたことを知らない者はいません。

今、わずかな罪を蒙られているとしても、余程の事があるわけではないのですから、
人がどうして疑わないことでしょうか。その時には貴所の志は成し遂げられません。

もしまた、城中が信用して貴所の志が遂げられたとすれば、世間は必ず将軍家がさせなさったと
みなすでしょう。その時には万世に婿を害したとの謗りを受けなさることでしょう。
絶対に人臣の為すべきことではありません」と言いよこした。

重政は書を受け、涙を流してこの事を止めたという。

――『名将言行録』




915 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/12/20(金) 18:23:29.29 ID:o3xsw6+T
士は己を知る者の為に死す的な良い話

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    あまりに分かりやすい二重スパイも困るだろう。

    むしろ普通に考えればバレバレの策を、斜め向こうまで勘繰れるだけの知恵者が大阪方にいるかどうかさえ不安だが。

    秀頼1人葬ったところで戦局変わるだろうか。むしろおっかさんを城内でなます斬りにすれば開戦前に降伏するかも知れないが。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    利勝の本音はそんなことされたら豊臣方は強く出られなくなって、
    国松を後継に立てつつ、豊臣家存続だけに尽力されたら困る、じゃないかな。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    一応夏の陣では井伊家の部隊に属して戦った後に牛久藩立藩出来たんだから
    十分でしょ。嫡男と二男戦死してるけど。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    なんつーか、下策も下策だな

    天下人は誰か、どの家がこれからの天下を統べるのかを明らかにするための戦いであって、開戦して相手の主力を撃破して城を落とさなきゃ意味が無い。戦う前に暗殺して降伏させたら、結局不穏分子を取り除ききれないままになってしまう。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    ※4
    >天下を統べる戦い
    そうかな?あの戦が始まる前、具体的に言えば徳川家が征夷大将軍に任命された時点で
    終わってるでしょう。秀頼関白就任も事実上消滅してたし。
    籠城した連中を見ても、元からの家臣達と食い扶持求めた浪人と、関ヶ原で落ちぶれた
    元大名・武将達だし。戦が始まる最初から豊臣の威光云々なんて無かったのだし。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    貧ずれば鈍する
    山口重政ほどの武士でも流浪の年月は応えた模様で。天下人の勘気を被る。って大変だろうなー。公然の奉行構え だからなー。

  7. 人間七七四年 | URL | LLTdOq/s

    さすが安定の土井利勝。
    完璧な答えを出して、重政の軽挙を諌める良い話だわ。

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