204 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/01/04(土) 20:14:39.46 ID:Y1UECYAQ
小早川隆景が金吾殿(秀秋)をその養子としたことを、安国寺恵瓊は聞きつけると隆景の元へと行き、
このように言った
「御養子の事が、貴公の御依頼のまま相済んだとの事、千秋萬歳、めでたく思います。
ですが、これは貴公御一代の誤りであります。
何故なら、御養子を取るのなら多く有る毛利の御一族の中から何れでも、国を治められる器量の人を
お見立てになって、これを養子とすれば、世の末まで筑前は中国と同じく毛利家の御分国となったのに、
他人である金吾殿を養子とし御国を譲るというのは、筑前国を人に差上げたのと同じことです。
貴公のことを、上様(秀吉)は別して御愛敬なされていますから、今新たに1ヶ国取るということも、
出来ない話ではないと思うのです。そのようにしてこそ、毛利家の勢力もいよいよ広くなるではありませんか。
だからこそ、私はこれは、大いなる思案違いだと考えるのです。」
隆景はこれを聞くと
「西堂(恵瓊)はそのように思われるか。それは私の考えとは間逆である。
私が普段から気遣っているのは、毛利家の分国は8ヶ国であり、その上私が筑前を拝領し、
おおよそ9ヶ国となった。毛利家には、国が甚だしく多すぎると言うことだ。これは却って、毛利家の禍と
なるのではないか?私はこのことだけは、大変心もとなく思っているのだ。
であるからこそ、我が国を毛利の子孫に譲らず、金吾に譲るのだ。
国を取るにも、種がなければ取れぬものだ。
私には今、その種は見つけられない。であれば、何を種として国を望むべきであろうか?
種無くして欲が深ければ身の災いとなるだろう。
私はもはや年寄りであるから、間もなくこの身も終わるだろう。私が死んだ後の毛利家が目に見えるようだ。
元清(穂井田元清:元就四男)が長命であれば、長久の謀もあるのだが、彼も病身であればあまり
頼ることは出来ない。相かまえて、種もなく国を望む野心を持ってはならない。」
恵瓊はこの道理に屈し
「短才なることを申しだしてしまい、面目を失いました。ですが後学のため、良きことを承りました。」
そう言って帰った。
しかしその後、恵瓊は隆景の戒めを忘れ、石田三成の乱に与し、輝元にこれを進めたため終には
その身を滅ぼし、輝元の分国を多く失う結果となったのである。
(黒田家譜)
「種」とは根拠や名分の事であろう。小早川隆景が、筑前を秀秋に譲る理由、である。
205 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/01/05(日) 00:17:35.54 ID:2DDxJeIU
黒田家譜の隆景信仰は突き抜けてるなー
小早川隆景が金吾殿(秀秋)をその養子としたことを、安国寺恵瓊は聞きつけると隆景の元へと行き、
このように言った
「御養子の事が、貴公の御依頼のまま相済んだとの事、千秋萬歳、めでたく思います。
ですが、これは貴公御一代の誤りであります。
何故なら、御養子を取るのなら多く有る毛利の御一族の中から何れでも、国を治められる器量の人を
お見立てになって、これを養子とすれば、世の末まで筑前は中国と同じく毛利家の御分国となったのに、
他人である金吾殿を養子とし御国を譲るというのは、筑前国を人に差上げたのと同じことです。
貴公のことを、上様(秀吉)は別して御愛敬なされていますから、今新たに1ヶ国取るということも、
出来ない話ではないと思うのです。そのようにしてこそ、毛利家の勢力もいよいよ広くなるではありませんか。
だからこそ、私はこれは、大いなる思案違いだと考えるのです。」
隆景はこれを聞くと
「西堂(恵瓊)はそのように思われるか。それは私の考えとは間逆である。
私が普段から気遣っているのは、毛利家の分国は8ヶ国であり、その上私が筑前を拝領し、
おおよそ9ヶ国となった。毛利家には、国が甚だしく多すぎると言うことだ。これは却って、毛利家の禍と
なるのではないか?私はこのことだけは、大変心もとなく思っているのだ。
であるからこそ、我が国を毛利の子孫に譲らず、金吾に譲るのだ。
国を取るにも、種がなければ取れぬものだ。
私には今、その種は見つけられない。であれば、何を種として国を望むべきであろうか?
種無くして欲が深ければ身の災いとなるだろう。
私はもはや年寄りであるから、間もなくこの身も終わるだろう。私が死んだ後の毛利家が目に見えるようだ。
元清(穂井田元清:元就四男)が長命であれば、長久の謀もあるのだが、彼も病身であればあまり
頼ることは出来ない。相かまえて、種もなく国を望む野心を持ってはならない。」
恵瓊はこの道理に屈し
「短才なることを申しだしてしまい、面目を失いました。ですが後学のため、良きことを承りました。」
そう言って帰った。
しかしその後、恵瓊は隆景の戒めを忘れ、石田三成の乱に与し、輝元にこれを進めたため終には
その身を滅ぼし、輝元の分国を多く失う結果となったのである。
(黒田家譜)
「種」とは根拠や名分の事であろう。小早川隆景が、筑前を秀秋に譲る理由、である。
205 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/01/05(日) 00:17:35.54 ID:2DDxJeIU
黒田家譜の隆景信仰は突き抜けてるなー
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コメント
人間七七四年 | URL | -
いやまあそうなんだろうけどさ、
秀秋自身に対しては愛情も、期待さえもないじゃん。
堂々と聞きたいセリフじゃないなあ。
( 2014年01月05日 19:36 )
人間七七四年 | URL | -
最初から金吾がポカやって改易にでもなること前提の話だね。どうせ長く持たない、と。それが粗相なのか寿命なのか…隆景ならどっちも予測してそうで恐い。
( 2014年01月05日 19:57 )
人間七七四年 | URL | -
※1
言った相手はAKだからいいじゃないか
( 2014年01月05日 22:29 )
人間七七四年 | URL | -
大きすぎるとちょっとした過失で潰されかねんからいい判断だったんだろうね
徳川のやり口をみると先が見える人には見えるもんなんだなあと思う
( 2014年01月05日 23:07 )
人間七七四年 | URL | -
小早川隆景「輝元の時は、正直殴りすぎたからああなったのかも・・・そう思ったので、金吾殿の時は放置したら・・・」
小早川秀秋「このザマだよ!」
( 2014年01月05日 23:31 )
人間七七四年 | URL | -
種=胤 ってことじゃないの…
( 2014年01月06日 09:10 )
人間七七四年 | URL | -
秀吉「タネがないってどういう意味じゃ」
( 2014年01月06日 17:10 )
人間七七四年 | URL | -
※2
いや、恵瓊の「なんで毛利家から養子とらんの?」に対する答えだから、
毛利の血族から切り離すってことだろう。
豊臣に過分に取り立てられた分を豊臣に返す、みたいな。
( 2014年01月06日 19:41 )
人間七七四年 | URL | -
※6
文脈からすると
種=一任できる親族の後継者
( 2014年01月06日 21:13 )
人間七七四年 | URL | -
金吾って朝鮮では活躍してるし
関ヶ原ではうまいとこ陣取って天下分け目のキーマンになってるし
統治は無難にこなしてるし
あの若さでたいしたもんじゃないの
早死にしてなければ今頃英雄扱いだったかもしれないくらい
( 2014年01月07日 04:11 )
人間七七四年 | URL | -
恵瓊さんは人物眼の持ち主的な書かれ方する時有るけど、果たしてそうなのか?
※10
確かに悪い評価の逸話もあるけど、本当に未知数の人ですよね。
実際若死にしているから悪口書き放題だったろうし。
関ヶ原の件も手伝って、物語上その手のポジにし易かったのだろうしね。
( 2014年01月08日 11:09 )
人間七七四年 | URL | -
折檻する相手を間違えたかもな。
( 2014年01月08日 15:08 )
人間七七四年 | URL | -
※10
16歳くらいの秀秋に恵瓊がアドバイスの手紙送ってるんだけど、
養子入りするにあたって当然のこと(目下の言うことも馬鹿にせず聞けとか)
いろいろ書いてある。
見ようによっては秀秋の凡庸さととれるけど、16歳だしなぁ…
身分の高さのわりに、草書が読めなかったらしいのは凡愚説に有利かもしれない。
( 2014年01月08日 19:10 )
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