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伝湖和尚の敵討

2014年02月22日 19:08

433 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 12:52:47.65 ID:xGyPtrxp
多久生まれの伝湖和尚には、兄の次郎兵衛と弟の某と母がいた。
九月に、母が次郎兵衛の子を連れて寺の説法を聞きに行った。
その帰り際、子が草履を取ろうとしたとき誤って横にいた男の足を踏んだ。
男は母と次郎兵衛の子を咎め立て、因縁をつけた末に脇差を抜き、子を突き殺した。
母が次郎兵衛の子を守ろうと男にしがみつくと、男は母をも突き殺し、帰って行った。
この男は、中島茂庵という浪人者の子で五郎右衛門、その弟に山伏の中蔵坊という者がいた。
茂庵は美作殿と交流があったので、息子の五郎右衛門は美作殿から知行を与えられていた。
やがて事件が次郎兵衛の家に伝わると、次郎兵衛の弟某は五郎右衛門へ仕返しに向かった。
五郎右衛門は内から戸を閉め出てくる気配がないので、訪問客のふりで柔らかい声をかけた。
すると戸が開いたので、すかさず名乗りをあげ斬り合い、ごみために落ちながら、五郎右衛門を突き殺した。
すると中蔵坊が駆け出してきて、次郎兵衛の弟某を斬り殺してしまった。
事の次第を聞いた伝湖和尚は兄の次郎兵衛のところへ行き、
「中島方は一人死んだだけなのに、こちらは女子供含む三人も斬り殺された。
無念千万この上ない。兄上、どうか中蔵坊を討ち果たしてください」
と仕返しをすすめたが、兄の次郎兵衛が首を縦にふることはなかった。
伝湖和尚は口惜しく思い、出家の身ながら母、弟、甥の敵討ちを決心した。(1/2)

434 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 12:57:31.30 ID:xGyPtrxp
しかし、相手の後ろ楯を考えれば、こちらが平僧の身の程では美作殿から酷い仕打ちを受けると思い、
それから一心に仏道修行に励み、やがて竜雲寺の住職にまで出世をした。
そして佐賀の境伊予掾という刀鍛治のところへ、手習の弟子に与えると言い大小を注文し、
差料としてのこしらえまでして準備をととのえた。
翌年九月二十三日、寺に客が来ていたので、馳走を出すよう言いつけると、自らは方丈から忍び出で、
俗人の身ごしらえをして、大小を差し多久へと出かけた。
中蔵坊のところへ着いてみると、月待ちの行事で大勢の人が集まっていた。
その人数では手に負えそうもなかったが、もう延引することも出来ないので、
中蔵坊の親、茂庵を討つことで本望を遂げようと思い、茂庵の家に討ち入り、
寝間へ駆け込み名乗りをあげ、相手が起き上がったところを突きに突いて突き殺した。
近所の者たちが何事かと駆けつけ囲んだので、和尚はわけを話し、大小をその場に投げ捨て帰った。
そして事が佐賀にまで伝わり、伝湖の寺の檀家どもはすぐに駆けつけ、伝湖を守り寺へと引き上げた。
事件を知った美作殿はとてもお怒りになられたが、殿が御建立なさった寺の住職にどうにも手が出せない。
そこで鍋島舎人普周を通じて、高伝寺の湛然和尚に、
「あの者は人を殺した出家だから死罪にしてほしい」
と申し入れられると、湛然和尚は、
「宗門内の処置は高伝寺のやり方で行うから、お口出しはしないでいただきたい」
と返事をした。美作殿はますますお怒りになられ、
「ならば、どんな処置をなさると言うのか、お聞かせ願いたい」
とお尋ねになると、湛然和尚は、
「お聞きになっても無益であるが、どうしてもとお尋ねになるならお聞かせします。
出家の破戒は法衣を奪い追放するのが宗門の定めである」
と返事をした。
そして、伝湖は高伝寺で法衣を脱ぎ、追放されることとなったが、
追放の日には弟子たちみなが大小を差し集まり、数十人の檀家たちも同じく集まった。
そして、みなで伝湖を守りながら、轟木まで送った。
途中、猟師風の男たちがあらわれ、
「多久から来たのか?」
と問いかけてきたが、なんの手出しも出来なかった。
伝湖はその後、筑前に住んだが、町人たちが世話をし、侍たちとも友好な関係だった。
それは敵討ちの次第が伝わっていたので、武家も町人もみな親切に伝湖を世話したのである 【葉隠】(2/2)




435 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 14:46:46.21 ID:QbYwAeyQ
美作殿って誰だよw

436 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 14:57:17.73 ID:46enqYsO
美作の殿・・・あとは分かるな?

437 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 16:13:06.59 ID:FB03ychG
相手が大勢でなければ何人殺して釣り合いとるつもりだったんだろうか

438 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 18:57:46.65 ID:9RK3raC2
ヒャッハー

439 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/02/22(土) 19:21:08.51 ID:pZr0eyF6
| ∧∧
|(´・ω・`) これでも飲んで落ち着かれよ
|o   ヾ
|―u' 旦 <コトッ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    多久美作

  2. 人間七七四年 | URL | -

    仇討ちという現代では後ろ向きな情熱なのに藩主建立寺の住職にまでなれるのが凄い
    しかも仏門でそれなりの地位を得たのに、仇討ちの思いを忘れなかったのも凄い
    どちらも賞賛の対象ではあるが素直に褒めたくはならないよなw

    しかしまあ、現代人とは別人種のようだ

  3. 人間七七四年 | URL | -

    自助が当たり前の戦国の気風を感じるな

  4. 人間七七四年 | URL | -

    戦隊物の悪役並みの回りくどさだな

  5. 人間七七四年 | URL | -

    説法の後に殺生すか。なんともやるせない。
    しかし、次郎兵衛。腰抜けすぎ。お前こそ腰の物を降ろして出家すべき

  6. 人間七七四年 | URL | TQl5Jic2

    これだけやったのに弟を斬った中蔵坊は討てずに女子供含む3対2か
    まだ無念が晴らしきれてないな

  7. 人間七七四年 | URL | -

    これは江戸時代なら、ものすごい美談(しかもまだ戦国の遺風があるころ)。
    坊さんの上役、坊さんを守るためにやってきた弟子や檀家はノリノリだったと思われる。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    米2
    やっぱり憎悪って一番強い執念だと思うよ
    だからこそ今の世の中で否定される

  9. 人間七七四年 | URL | /5lgbLzc

    >仇討ちという現代では後ろ向きな
    昨今よく聞く「復讐は何も生まない」って薄っぺらい言葉は、
    「復讐できなかった弱者が自己正当化するため」「復讐を推奨すると周囲から叩かれるため」
    生まれた如何にも漫画的でネガティブな言葉であって、怨念もまた人を突き動かす立派なエネルギーのひとつだし、
    復讐するために莫大なエネルギーを使って立派に成長する人は少なからずいる。
    (復讐する工程で色々な人に出会うんで、色々学んで人格的に成長する事が多い)
    むしろ成長しないのは復讐するために何もしなかった人間達なのよね。

    あと「復讐した後に燃え尽きる」ってのも作り話だから。
    押し付けられたマイナスが清算される事はないけど、プラスがあるだけまだマシ。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    女子供と成年男子の命ははどちらがお高いのかしら?

  11. 人間七七四年 | URL | -

    そりゃあ基本的には女子供のほうだろ
    子孫が増える可能性を選択するのは動物の本能だからな

  12. 人間七七四年 | URL | -

    コメントの中で仇討がやたらと正当化されてるんだけど、
    ならば「仇討に対する仇討」はどうなるの。
    この場合で言えば、「美作殿」や茂庵の縁者たちが
    伝湖和尚を討たなかったことは
    恥になってしまわないか。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    この話の重要なところは、伝湖和尚に呼応する者がどんどん現れたところでしょ。世間の声が味方したから仇討ちしながら、筑前に無事移り住めたと読むべきかと思う。
    まあ生きる死ぬのは誰にとっても重大事だから仇討ちの是非に目が行くのも仕方ない

  14. 名前無い | URL | -

    米12、収集つかなくなって合戦になったケースがちらほら。
    徳川幕府が仇討ちに対する仇討ちを禁止したはずだから、逆に言えば禁止される程度に発生していたと、考えるべきかと。

  15. 人間七七四年 | URL | -

    ※12
    制度化されてルールがあったんや
    正式な仇討は御上の許可が必要やった。

  16. 人間七七四年 | URL | -

    実はこの仇討ちというのは法的な権利として存在していた。
    復仇権(フェーデ)という。
    私的刑事手続きといわれる分野で、ある共同体(家族、氏族、村落、家中、同業者組合など)の構成員が他の共同体の構成員に害された場合、被害者側が敵討ちをする権利。
    これが大規模になると内戦の様相を呈することがあったので、大名はこれを抑制するため(ほかの紛争を抑制するためという理由もあるが)喧嘩両成敗を定めた。
    が、江戸時代になっても敵討ちという制度があったり、イマイチこれからはずれているんだけど(吉良何もしてないので喧嘩ではない)拍手喝采を浴びた赤穂浪士の討ち入りなどもあり、結局明治まで残る。
    なお、世界的にこの制度は存在し、漫画ベルセルクのガッツのモデルは鉄腕ゲッツという人で、フェーデと称して喧嘩をふっかけまくって、身の代金をふんだくって、一財産つくった。
    やっぱり中世こわいわあと思われるかもしれないが、現役で私的刑事手続きが残っている国もある。
    アメリカの懲罰的損害賠償はフェーデの一種とされており、現役バリバリの法制度である。
    まあ、英米法は数百年前の判例が生きてたりするんだけど。
    歴史は連続していて、存外かわってないところがある。

  17. 人間七七四年 | URL | -

    米9
    君は何を言ってるんだ?自分で他人に復讐してやると言ってるようなものだぞ。
    正直何様のつもりなんだろう?と本気で思うわ。てか危ない人の領域だな。

  18. 人間七七四年 | URL | -

    まあ何を言おうが今でも世の中に復讐心があるのは変わらないと思うけどなあ
    法の精神や言論なる物がすべてに行き渡って平和になるのならそれに越したことはない

  19. 人間七七四年 | URL | -

    >>12
    一人しか討ててないし世論は和尚に味方してるし
    やり返した方がやりすぎでみっともないって事になりそう

  20. 人間七七四年 | URL | -

    >>439
    「ペロッ、これは青酸カリ!!」

  21. 人間七七四年 | URL | -

    >>9
    気色悪い文章だな。

    復讐を否定する考えを「復讐できなかった弱者が自己正当化するため」とか、一体どうしたらそんな考えになるんだ。

    復讐される方がいつでも完全無欠の悪党だとでも思ってるのか?

    しかも「立派に成長している人もいる」とか、何様なんだよコイツ。

  22. 人間七七四年 | URL | -

    集団に暴行されたときの記憶は忘れられないから>9の言ってること個人的にはわかる部分あるな

  23. 人間七七四年 | URL | LOLorWpQ

    中世の時代において仇討ちが社会的にも機能し、おこなわれていたという事柄をもって、近代の倫理観や創作において復讐行為が否定されがちなことを弱者の自己正当化とまで言い切るからには、その人は中世、近代の社会倫理の違いを認めず、中世の優れた精神性を保ったまま今を生きているのでしょうね。
    昨今の軟弱な風潮に流されない立派な方ですね。

  24. 人間七七四年 | URL | -

    つか敵討ちというより被害の釣り合いが取れてないことが我慢できなかった(やらないとなめられるのもある)んだろうな(´・ω・`)

  25. 人間七七四年 | URL | -

    相互確証破壊戦略による平和を享受してきた国の人間にしたら「復讐は何も生まない」とは言いにくいな

  26. 人間七七四年 | URL | -

    難しいことはあまりわからんが、>9の言う事がそれほどおかしいとは思わないな
    この逸話で語られてるテーマとあわせれば尚更そう思う

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