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将軍・足利義尚の歌について

2014年07月02日 18:51

239 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/07/02(水) 12:26:43.79 ID:8AGAwg9Y
ある日、飛鳥井老翁(雅親)がこのように語られた。

「常徳院内大臣義尚公(将軍・足利義尚)は天性歌のお好きな方で、武芸の暇には和歌を心がけ、
その才能も年齢以上に大きなものでした。

高官昵近の公家が参った時は、仮初にも雑談などはせず、歌についての方法論のみを談じていたと
いうことです。その頃の歌の達者として有名だった某大納言は、始めは歌の形についてなど
心やすくご指南申し上げていましたが、御年二十歳を過ぎられてからは、かの卿はかえって、歌の
風情について義尚公にお尋ねになるほどでした。

このように義尚公はいみじき国主でありましたが、ただただ、ご年齢が壮年に満たず亡くなられた事は
口惜しいことだと、当時も皆口々に言っていました。

義尚公がかつて、近江に久しく滞陣されていた時、ある日お遊びとして湖水のほとりに出御され、
多くの船を飾り饗膳も珍しやかに調えて、諸道の達人を数人供奉しました。

公方は湖水の水際を眺めながら、童子二人が小舟に乗って遊んでいるのに気が付き、「あれは何者か?」と
尋ねると「梅ケ原の者です」との答えが帰ってきた。これを聞いて心にふと浮かんだ句があった

『湖辺自異山林興 童子尋梅棹小船』

この二句が心に浮かび、その対句についてしばし思案されましたが、ついによろしき句も浮かばず
還御され、その夜、夢の中に男装した人が現れて、先の句に足して七言四句とし、義尚公は
夢の中に喜び、程なく目が覚められた。その句は近習の人に仰せになり書き留めさせたということですが、
その後人々はみな、その二句を失念し、詮無き事になったそうです。大変残念なことです。

これだけではなく、かつて、また逆敵が近隣に侵入した時に、いそぎ出陣されたことがありました。
その時は炎天の時期で、五万ばかりの軍兵を召しつれられましたが、士卒はこの暑さに耐えかね、
滝のように汗をかき、馬もこらえかねて多くは跪き、人々はこのことに大いに混乱しました。

この時軍勢は鑑山の麓にありましたが、義尚公はここで

『けふばかり くもれあふみのかがみ山 たびのやつれの影のみゆるに』
(近江の鏡山よ、今日くらいは曇ってほしい。皆に旅の疲れの様子が見えるではないか)

と詠まれ、暫く木陰で休むように命じた。そこで少しすると天曇り、涼風おもむろに吹き始め、
軍勢はまるで中秋の夕暮れの中に居るようにように感じ、たちまち元気を蘇らせた、と言われます。
これなど歌における、上古末代までの高名の誉れでしょう。

まことに一句の力で数万の軍兵の苦しみを止めるなど、天感不測の君であったと言うべきです。

(塵塚物語)

歌人・飛鳥井雅親による、将軍・足利義尚の歌についての思い出である。




241 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/07/03(木) 06:42:18.40 ID:R/nXxM+J
料理漫画が料理で全てを解決するように
歌で全てを解決する将軍か

242 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/07/03(木) 08:42:54.41 ID:RsSJEXGt
たしか近江で陣歿したんだったか
六角退治に躍起になったのは親へ反動か?

244 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/07/03(木) 23:29:09.25 ID:GQBIVGxe
辞世の句が複数あるのは歌を愛しすぎた故か

245 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/07/04(金) 08:54:48.75 ID:OvpIbfGP
織田信孝

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    ニンジャに殺された人だっけ?

  2. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    それは鈎の陣だな。実際の死因はグレて酒浸りになって昼夜逆転生活続けて、体壊したみたいだけど。
    で、それじゃロマンがないんで義尚がグレた理由なんだけど、義尚が後土御門天皇とあんまりにも親密過ぎるんで、義尚は天皇と日野富子との不義の子だ、なんて噂が立って、義尚それを真に受けてグレちゃった、て話。まあ、ロマンというか下世話な話だけど。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    氏真「まろも、政務の暇には和歌や蹴鞠を心がけ、その没頭ぶりは年齢以上に大きなものでおじゃるよ」
    兼定「まことでおじゃりまするなあ」

    義元「二の句を継げぬほどにな。いまさら詮無きことではあるが」

  4. 人間七七四年 | URL | -

    義尚NINJAにやられた説やアサシン清秀説はロマンがある

  5. 人間七七四年 | URL | -

    全部の出来事を一々詩にしてたら、最初は風流に感じるかもしれないけど、
    それはそれでウザそうな気がする。
    某沈黙提督の副官や参謀長みたいな人が必要だなw

  6. 人間七七四年 | URL | -

    上代の天皇のような逸話だ

    武士である将軍が呪的カリスマになってどうするってツッコミは置いといて

  7. ※2 | URL | -

    ※6
    ま~、人の生き死に予言したり雨乞いやったりした源実朝という前例もありますので。

    >武士である将軍が呪的カリスマ

    卓越した歌人とか詩人てのには、なにかしらの天賦の才というのが必要だから、神秘的なエピソードが語られたりするのかもねぇ。

  8. 人間七七四年 | URL | ORyjlEF2

    幕府を立て直そうと頑張っても、そもそも幕府衰退の原因が自分の存在なんだからグレるのも無理はない気がする

  9. 人間七七四年 | URL | -

    一方、足利義尚と聞いて誰もが真っ先に思い浮かぶ肖像が、将軍としては珍しい馬上の肖像画。
    武士の棟梁らしい姿なんだから皮肉なもんだ。

  10. 人間七七四年 | URL | eqP7eH0Y

    初代将軍の尊氏もめっちゃ和歌が好きだったし、文化を愛するのは血筋だねえ

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