879 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 01:59:57.59 ID:0e3+1740
三村紀伊守(親成)は備中半国を保って成岩(成羽)に在城した。物事のついでに
紀伊守は容色艶麗な富民の娘をひとたび見て、その姿が目の前にあるかのようで、少しも
忘れられず「文を通わせる伝手でもあればなあ、この心を知らせたいものだ」と思い煩った。
そんなところに、どのような手引きであろうか、人が静まった深夜に前述の女が初めて
参り、それからの紀伊守は日暮れを待ち、夜が明けるのを恨んで、稀に逢瀬が途絶える
ことも無かった。
そんな中、紀伊守の精神は気が抜けてぼんやりした状態となり、この頃気鬱している
ということで城外に出て遊んだ。日暮れ過ぎになって、遥か山上を見ると、鞠の大きさの
光物が飛んで来て、城中に入り、家屋の間に隠れた。
家老は怪しんで近侍の士に詰問した。近侍の士は密通のことを告げて「あの女の来る所も、
帰る所もわかりません」と言った。家老は(紀伊守のいる部屋に)入って諌めようとしたが、
近侍の士は、
「この事は深く秘密になされましたが、相談のために申し上げました。まずは小臣が
諌め申し上げます。それでも御承諾なされなくば、その時はよろしく御計らいください」
と言ったので、家老は「もっともだ」と同意した。
近侍の士が紀伊守の前に出て、「昨暮、山上の光物が飛んで来て、御城に入りましたのを
御覧になられましたか? この頃の御病苦は魑魅の祟りがあるのか、色々と訝しい諸事が
ございます。古えにもそのような例が無いわけではありません。御気をつけてくださいませ」
と申し上げると、紀伊守は「心得た」と言った。
880 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 02:01:42.65 ID:0e3+1740
その夜、紀伊守ははさみを使って、こっそりと女の髪を少しばかり切って懐中に入れておき、
次の日、取り出して見ると、髪は銀針のようであった。紀伊守はたいへん驚いて近侍の士を
呼び、その髪を示した。近侍の士は「これは猶予してはなりません。小臣が今夜、寝室の外で
待ち、女を捕らえて刺し殺します」と言ったが、紀伊守は、
「それはよくない。あの女は寝床に就く前に気が緩んだりはしないだろう。万一仕損じれば、
悔いてもどうにもならない。前夜に髪を切られたことについて女に覚えがあるなら、必ず
疑う心があるはずだ。私がものやわらかな言葉でその感情を解き、その後でお前にも知らせ
ようぞ。お前は早まってはならない」と、制止した。
夜半を過ぎた頃、寝室で俄に騒動があった。近侍や宿衛の者たちは同時に起きて、
戸を押し破って入り見れば、紀伊守は気絶していた。しばらくして紀伊守は目を見開き、
「私が気絶したことは無念である。しかしながら、あの女はよもや生きてはいまい。
女が戸外に立って『今宵は心が普通ではないので、これから帰ります』と言ったのを、
私はなだめて呼び入れた。
いつもより懇意に語らい、女が少し眠るのを待って直ちに胸に乗り掛かり、三刀まで刺した。
すると、あの女は私を脇に挟んで天井に飛び上がった。私は固く捉えて手を離さなかった。
天井から落ちてしまったが、(どうして落ちたのかは)夢のようで記憶していない」
と、語った。天井は破れ、そこから血が流れて避ける所が無かった。夜が明けて光物の
来た所の山に人を遣わし、血を印しに女を捜索させたところ、三里余りの深山に入り、
血痕が巌穴の入り口に到り止まっているのを発見した。恐れて中に入る者はいなかったが、
一人の壮力の士が腰に縄を付けて二、三十間這い入ると、中が暗いために何なのかは
わからないが、死んだ様子のものがあった。その足に縄を付け、出てからこれを引き出した。
それを見ると、身長六尺余りの老女だった。白髪の長さは一丈ほどで、面背(表側と裏側)
を覆っていた。胸には大きな傷が三つあって死んでいた。その後、紀伊守の病気は癒えた。
――『武将感状記』
881 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 02:50:12.89 ID:Ls+TpjCi
六尺もの長身な上に美しい娘に化けられる老女か…
882 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 03:05:04.24 ID:yxi26cir
山姥だろ
883 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 03:28:30.46 ID:lDwTBDoc
お前のようなデカいババアがいるか
884 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 15:26:42.66 ID:6GG21SAs
>>879
>三村紀伊守(親成)は備中半国を保って成岩(成羽)に在城した。物事のついでに
>紀伊守は容色艶麗な富民の娘をひとたび見て、その姿が目の前にあるかのようで、少しも
出だしの段階だと宇喜多さんの娘かと思った
885 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 17:49:04.31 ID:5RLxnS35
(中略)…女が生んだ娘は、後年水野勝成の妻となったのである
というオチになるのかと思ったぜ
887 名前:人間七七四年[] 投稿日:2014/08/07(木) 20:10:35.52 ID:+S/R0Uo0
お茶飲んで幻覚見ただけ。
備中ではよくあること。
888 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 23:10:19.42 ID:yxi26cir
だ、誰が淹れたんだろう
889 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 23:23:25.09 ID:iT1TS5YI
きっと島村は貫阿弥ですぞ
890 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 15:49:47.43 ID:XM906JXL
うっきーの茶は飲みたくないぞw
三村紀伊守(親成)は備中半国を保って成岩(成羽)に在城した。物事のついでに
紀伊守は容色艶麗な富民の娘をひとたび見て、その姿が目の前にあるかのようで、少しも
忘れられず「文を通わせる伝手でもあればなあ、この心を知らせたいものだ」と思い煩った。
そんなところに、どのような手引きであろうか、人が静まった深夜に前述の女が初めて
参り、それからの紀伊守は日暮れを待ち、夜が明けるのを恨んで、稀に逢瀬が途絶える
ことも無かった。
そんな中、紀伊守の精神は気が抜けてぼんやりした状態となり、この頃気鬱している
ということで城外に出て遊んだ。日暮れ過ぎになって、遥か山上を見ると、鞠の大きさの
光物が飛んで来て、城中に入り、家屋の間に隠れた。
家老は怪しんで近侍の士に詰問した。近侍の士は密通のことを告げて「あの女の来る所も、
帰る所もわかりません」と言った。家老は(紀伊守のいる部屋に)入って諌めようとしたが、
近侍の士は、
「この事は深く秘密になされましたが、相談のために申し上げました。まずは小臣が
諌め申し上げます。それでも御承諾なされなくば、その時はよろしく御計らいください」
と言ったので、家老は「もっともだ」と同意した。
近侍の士が紀伊守の前に出て、「昨暮、山上の光物が飛んで来て、御城に入りましたのを
御覧になられましたか? この頃の御病苦は魑魅の祟りがあるのか、色々と訝しい諸事が
ございます。古えにもそのような例が無いわけではありません。御気をつけてくださいませ」
と申し上げると、紀伊守は「心得た」と言った。
880 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 02:01:42.65 ID:0e3+1740
その夜、紀伊守ははさみを使って、こっそりと女の髪を少しばかり切って懐中に入れておき、
次の日、取り出して見ると、髪は銀針のようであった。紀伊守はたいへん驚いて近侍の士を
呼び、その髪を示した。近侍の士は「これは猶予してはなりません。小臣が今夜、寝室の外で
待ち、女を捕らえて刺し殺します」と言ったが、紀伊守は、
「それはよくない。あの女は寝床に就く前に気が緩んだりはしないだろう。万一仕損じれば、
悔いてもどうにもならない。前夜に髪を切られたことについて女に覚えがあるなら、必ず
疑う心があるはずだ。私がものやわらかな言葉でその感情を解き、その後でお前にも知らせ
ようぞ。お前は早まってはならない」と、制止した。
夜半を過ぎた頃、寝室で俄に騒動があった。近侍や宿衛の者たちは同時に起きて、
戸を押し破って入り見れば、紀伊守は気絶していた。しばらくして紀伊守は目を見開き、
「私が気絶したことは無念である。しかしながら、あの女はよもや生きてはいまい。
女が戸外に立って『今宵は心が普通ではないので、これから帰ります』と言ったのを、
私はなだめて呼び入れた。
いつもより懇意に語らい、女が少し眠るのを待って直ちに胸に乗り掛かり、三刀まで刺した。
すると、あの女は私を脇に挟んで天井に飛び上がった。私は固く捉えて手を離さなかった。
天井から落ちてしまったが、(どうして落ちたのかは)夢のようで記憶していない」
と、語った。天井は破れ、そこから血が流れて避ける所が無かった。夜が明けて光物の
来た所の山に人を遣わし、血を印しに女を捜索させたところ、三里余りの深山に入り、
血痕が巌穴の入り口に到り止まっているのを発見した。恐れて中に入る者はいなかったが、
一人の壮力の士が腰に縄を付けて二、三十間這い入ると、中が暗いために何なのかは
わからないが、死んだ様子のものがあった。その足に縄を付け、出てからこれを引き出した。
それを見ると、身長六尺余りの老女だった。白髪の長さは一丈ほどで、面背(表側と裏側)
を覆っていた。胸には大きな傷が三つあって死んでいた。その後、紀伊守の病気は癒えた。
――『武将感状記』
881 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 02:50:12.89 ID:Ls+TpjCi
六尺もの長身な上に美しい娘に化けられる老女か…
882 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 03:05:04.24 ID:yxi26cir
山姥だろ
883 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 03:28:30.46 ID:lDwTBDoc
お前のようなデカいババアがいるか
884 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 15:26:42.66 ID:6GG21SAs
>>879
>三村紀伊守(親成)は備中半国を保って成岩(成羽)に在城した。物事のついでに
>紀伊守は容色艶麗な富民の娘をひとたび見て、その姿が目の前にあるかのようで、少しも
出だしの段階だと宇喜多さんの娘かと思った
885 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 17:49:04.31 ID:5RLxnS35
(中略)…女が生んだ娘は、後年水野勝成の妻となったのである
というオチになるのかと思ったぜ
887 名前:人間七七四年[] 投稿日:2014/08/07(木) 20:10:35.52 ID:+S/R0Uo0
お茶飲んで幻覚見ただけ。
備中ではよくあること。
888 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 23:10:19.42 ID:yxi26cir
だ、誰が淹れたんだろう
889 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/07(木) 23:23:25.09 ID:iT1TS5YI
きっと島村は貫阿弥ですぞ
890 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 15:49:47.43 ID:XM906JXL
うっきーの茶は飲みたくないぞw
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コメント
人間七七四年 | URL | -
この場合、お前の様なデカい娘が居るか?
じゃなかろうか
( 2014年08月07日 19:44 )
人間七七四年 | URL | -
狐かと思ったら山姥の方か
( 2014年08月07日 19:58 )
人間七七四年 | URL | -
山姥とも言うし山姫とも言うらしい。
( 2014年08月07日 20:12 )
人間七七四年 | URL | -
胸に大きな傷が七つだったら、きっとオレ笑い転げてたわ
( 2014年08月07日 20:57 )
人間七七四年 | URL | aUAPFwoo
尺八八尺様に比べればまだ小さいだろw( 2014年08月08日 17:23 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
※4
オレの名を言ってみろ!
( 2014年08月08日 19:35 )
人間七七四年 | URL | -
>私がものやわらかな言葉でその感情を解き、その後でお前にも知らせようぞ
見た目はやっぱりいい女なので殺る前にもう一度だけヤリたい、という想いを
殿の言い回しから勝手に察してしまいました。ええそんな感じの書を読み過ぎなんです。
( 2014年08月08日 20:28 )
人間七七四年 | URL | -
つまり娘に化けた婆に生気を吸われ続けてた殿様のお話って事かな?
婆と逢瀬を重ねてた事を知った殿様のその後を知りたいね。
きっと病身だった頃よりも気が参ってるに違いないからw
( 2014年08月09日 11:49 )
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