469 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 15:41:10.42 ID:jqaERPuC
勝茂さまが御参覲へ向かう少し前のこと、長崎にはじめてビードロの屏風がもたらされた。
勝茂さまは珍しい物だからと将軍さまに御献上なさろうとお買い求めになった。
壊れやすい物なので、家中の者どもには、よく注意するようにと、何度も仰せになられた。
さて、屏風を納めるための箱が出来上がったので、
御進物役の鍋島采女が屏風を箱に納めるため受け取り、家屋へと持ち帰った。
そこへ、友人の枝吉利左衛門が訪ねてきて、
「ビードロの屏風なる物を、話の種に是非見たい」
と言い出した。采女は、
「もう箱に納めたので、悪いが見せることは出来ない」
と断ったが、利左衛門は是非見たいと言い張って箱から取り出した。
と、そのとき、誤って取り落とし、ビードロの屏風を破いてしまった(おそらくは割れた)。」
利左衛門は屏風をそのままに、
「人の運命とは、さてさて分からぬものぞ」
と言い捨て立ち去った(1/2)
471 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 15:56:36.78 ID:jqaERPuC
立ち去る様子が心配であったので、采女は利左衛門を呼び戻し、
「御心配されるな。わざとなされたことではないのだから、御前へは申し上げようがある。
なにも気にかけられることはない。
もっともこのことは他言無用ですぞ」
と慰めた。利左衛門は、
「殿の大切な道具を破ったことには変わりない。腹を切る覚悟です」
と言い出した。采女は、
「さてさて武士が気の小さいことを言われる。どんな宝でも、人の命に代えられるものか」
と言って、ひとり勝茂さまの御前へ出向き、
「御献上品のビードロの屏風、とりわけ大事の品と心得お預りしましたので、
家にて箱にしっかりと納まっているか調べていましたところ、取り落とし破ってしまいました。
このこと、わざわざ人を通して申し上げる必要もございませぬゆえ、
勝茂さまへ直に申し上げに参りました」
と言い捨て、御前を退った。
勝茂さまは采女の様子を見て御心配になられ、すぐにお呼び戻しになり、
「少しもかまわぬ。気にするな」
と仰せになり、それですんだ (2/2) 【葉隠】
472 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 16:05:33.68 ID:jqaERPuC
追記
その後、利左衛門と采女はこのことをいっさい口外しなかった。
利左衛門はいつか恩返しをしようと思っていたところ、
勝茂さまがお亡くなりになり、采女は追腹を切ることを決めた。
そこで利左衛門は、浴衣一枚と大きな敷物一枚を采女に贈った。
采女はたいそう喜んで、その浴衣を着て追腹を切った。
介錯は三谷千左衛門。
この話につけても、大切な道具は軽々しく取り扱わないようすべきであろう
474 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 21:43:44.64 ID:QNYEbE6G
いい話のようなそうでもないような…w
勝茂さまが御参覲へ向かう少し前のこと、長崎にはじめてビードロの屏風がもたらされた。
勝茂さまは珍しい物だからと将軍さまに御献上なさろうとお買い求めになった。
壊れやすい物なので、家中の者どもには、よく注意するようにと、何度も仰せになられた。
さて、屏風を納めるための箱が出来上がったので、
御進物役の鍋島采女が屏風を箱に納めるため受け取り、家屋へと持ち帰った。
そこへ、友人の枝吉利左衛門が訪ねてきて、
「ビードロの屏風なる物を、話の種に是非見たい」
と言い出した。采女は、
「もう箱に納めたので、悪いが見せることは出来ない」
と断ったが、利左衛門は是非見たいと言い張って箱から取り出した。
と、そのとき、誤って取り落とし、ビードロの屏風を破いてしまった(おそらくは割れた)。」
利左衛門は屏風をそのままに、
「人の運命とは、さてさて分からぬものぞ」
と言い捨て立ち去った(1/2)
471 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 15:56:36.78 ID:jqaERPuC
立ち去る様子が心配であったので、采女は利左衛門を呼び戻し、
「御心配されるな。わざとなされたことではないのだから、御前へは申し上げようがある。
なにも気にかけられることはない。
もっともこのことは他言無用ですぞ」
と慰めた。利左衛門は、
「殿の大切な道具を破ったことには変わりない。腹を切る覚悟です」
と言い出した。采女は、
「さてさて武士が気の小さいことを言われる。どんな宝でも、人の命に代えられるものか」
と言って、ひとり勝茂さまの御前へ出向き、
「御献上品のビードロの屏風、とりわけ大事の品と心得お預りしましたので、
家にて箱にしっかりと納まっているか調べていましたところ、取り落とし破ってしまいました。
このこと、わざわざ人を通して申し上げる必要もございませぬゆえ、
勝茂さまへ直に申し上げに参りました」
と言い捨て、御前を退った。
勝茂さまは采女の様子を見て御心配になられ、すぐにお呼び戻しになり、
「少しもかまわぬ。気にするな」
と仰せになり、それですんだ (2/2) 【葉隠】
472 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 16:05:33.68 ID:jqaERPuC
追記
その後、利左衛門と采女はこのことをいっさい口外しなかった。
利左衛門はいつか恩返しをしようと思っていたところ、
勝茂さまがお亡くなりになり、采女は追腹を切ることを決めた。
そこで利左衛門は、浴衣一枚と大きな敷物一枚を采女に贈った。
采女はたいそう喜んで、その浴衣を着て追腹を切った。
介錯は三谷千左衛門。
この話につけても、大切な道具は軽々しく取り扱わないようすべきであろう
474 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/08/08(金) 21:43:44.64 ID:QNYEbE6G
いい話のようなそうでもないような…w
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コメント
人間七七四年 | URL | -
「ビードロの屏風なる物を、話の種に是非見たい」
死亡フラグ頂きましたー。
( 2014年08月08日 19:57 )
人間七七四年 | URL | -
ここまでくると、鍋島家中は「何が何でも死にたい」連中しかいないのでは、とさえ思ってしまう。とりあえず理由さえあれば腹を切りたい…
( 2014年08月08日 20:32 )
人間七七四年 | URL | -
>この話につけても、大切な道具は軽々しく取り扱わないようすべきであろう
まーくん「いちいちオレ達の方を見るんじゃねぇ。」
三歳様「三枚に下ろすのと、千六本に刻むのと、どっちがいい?」
( 2014年08月08日 22:18 )
名無しさん@ニュース2ch | URL | -
意図的に壊していた数寄ものもいたそうだから死ぬのはバカらしいな
( 2014年08月09日 02:04 )
人間七七四年 | URL | -
< ガッシャーン
Σ(・ω・;)すわ、なんぞ!?く、くせ者かあ??
( 2014年08月09日 04:18 )
人間七七四年 | URL | -
なんかこの家の人達って死自体を道具にしている感じがする。
今回も、思わせぶりな態度取れば「それほどの事じゃないだろ?気にすんなよ」
って言われるのを待ってる感がしてしまった。
>ビードロ屏風
ガラス屏風って凄いデザインの物が多いのですね!?
この逸話の物が一枚板の仕切り屏風だったのか、それとも如何にも
豪華絢爛な折りたたみ式の物だったのか、現物を是非見てみたかった。
( 2014年08月09日 11:59 )
人間七七四年 | URL | -
「武功」が無い時代の武士の苦しさだな。
もちろん文官として功績上げて出世もできるんだけど、
あくまで武士の枠を破れてない。意識改革ができてない。
平和な時代に「武功」に似たものを探さざるを得ない。
( 2014年08月09日 13:34 )
人間七七四年 | URL | -
ビロードの間違いかと思ったらほんとにガラスの屏風なんてあるのか…当時の日本ではものすごい高級品だったろうな
しかし無事に将軍家に献上された後、将軍家の誰かが屏風を割ってたらもっと大変なことになってたね
( 2014年08月10日 09:26 )
人間七七四年 | URL | -
死自体を道具にしていない。切りたがっていない。曲解。武士でも文官仕事はできる。枠内だろ。意識改革(笑)とか必要ない。
その考えを変えろ。
( 2014年08月19日 13:52 )
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