850 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/09/21(日) 19:30:32.98 ID:Lpg/YPD5
北条三四郎は酒井忠勝の祐筆であり、常にその居間へも立ち入ることを許されていた。
ある時、伊達政宗より自筆の書状が届いた。その内容は、
『今朝そちらから遣わされた書状についてだが、宛名は私になっているが、その文面は、
他の人に遣わされるものであった。これは書いた者の誤りだと推察したので、この書状は
返信いたす。』
これを読んで忠勝は激怒し、家司を呼ぶとこの事を話し
「この書状を書いた者に切腹を申し付ける!」
そう大声で言いつけ、そのまま江戸城に登城した。
その後、家司衆は評議した上で、先ず祐筆頭である北条三四郎を呼び、今度の事態を聞かせ、
これを書いた者を糾明するようにと伝えた。
三四郎はこれを聞くと
「御存知の通り我々祐筆の者達は毎日数十通の書状を分担して書いています。ですので、伊達殿への書状を
誰が書いたのかは解りません。筆跡を引きあわせて、その上で判断したいと思います。」
そう申して退出した。この時、三四郎はこう思ったのだ
『今朝、主人である忠勝様が声高に切腹のことを言われたのは、深慮せねばならないことだ。
だいたい人を罰するのに、どうして声高に申し渡すのだ。』
そのようなことを考えつつ密かに忠勝の居間に入って見ると、政宗から返されてきた書状が
床の上にあった。「これか」と取って見たところ、紛れも無く同役の某の筆跡であった。
そこで三四郎は、すぐさまこの書状を引き破り、更に焼き捨てて、そのまま知らぬ顔をしていた。
程なく酒井忠勝が帰宅し、家司衆に「今朝申した書状の事はどうした」と尋ねた。
「その件についてですが。北条三四郎に尋ねた所、数十通を数人で書いているため、
誰の書いたものだとすぐには解りかね、そのため筆跡を引きあわせて書いた者を認定したい、
と申していました。」
「それは尤もの事である。ならば、あの書状をここに持ってくるように。」
そう命じたが、どれほど探しても書状は見つからなかった。そのことを申し上げると
「詮議があるのを知って紛失させたか!不埒者め。」と言ったが、この事はそれで相済んだ。
伊達政宗には、忠勝が自筆で返答をした。
「人の志も立て、また人命を失うこと無く事済んだのは、北条三四郎の仁義忠信の為す所である。
君臣合体とはああ言う事を言うのだ。」
これは酒井忠勝が死去した後、ある人が語った言葉である。
(明良洪範)
参考
この吟味を三四郎に仰せつけられたのは
854 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/09/21(日) 21:02:58.32 ID:qjRlHk5I
>>850
切腹が軽すぎてもやっとする話
855 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/09/21(日) 23:13:03.90 ID:kGGh35yq
>>850
誰かが見ていたか、三四郎が喋ったんか
北条三四郎は酒井忠勝の祐筆であり、常にその居間へも立ち入ることを許されていた。
ある時、伊達政宗より自筆の書状が届いた。その内容は、
『今朝そちらから遣わされた書状についてだが、宛名は私になっているが、その文面は、
他の人に遣わされるものであった。これは書いた者の誤りだと推察したので、この書状は
返信いたす。』
これを読んで忠勝は激怒し、家司を呼ぶとこの事を話し
「この書状を書いた者に切腹を申し付ける!」
そう大声で言いつけ、そのまま江戸城に登城した。
その後、家司衆は評議した上で、先ず祐筆頭である北条三四郎を呼び、今度の事態を聞かせ、
これを書いた者を糾明するようにと伝えた。
三四郎はこれを聞くと
「御存知の通り我々祐筆の者達は毎日数十通の書状を分担して書いています。ですので、伊達殿への書状を
誰が書いたのかは解りません。筆跡を引きあわせて、その上で判断したいと思います。」
そう申して退出した。この時、三四郎はこう思ったのだ
『今朝、主人である忠勝様が声高に切腹のことを言われたのは、深慮せねばならないことだ。
だいたい人を罰するのに、どうして声高に申し渡すのだ。』
そのようなことを考えつつ密かに忠勝の居間に入って見ると、政宗から返されてきた書状が
床の上にあった。「これか」と取って見たところ、紛れも無く同役の某の筆跡であった。
そこで三四郎は、すぐさまこの書状を引き破り、更に焼き捨てて、そのまま知らぬ顔をしていた。
程なく酒井忠勝が帰宅し、家司衆に「今朝申した書状の事はどうした」と尋ねた。
「その件についてですが。北条三四郎に尋ねた所、数十通を数人で書いているため、
誰の書いたものだとすぐには解りかね、そのため筆跡を引きあわせて書いた者を認定したい、
と申していました。」
「それは尤もの事である。ならば、あの書状をここに持ってくるように。」
そう命じたが、どれほど探しても書状は見つからなかった。そのことを申し上げると
「詮議があるのを知って紛失させたか!不埒者め。」と言ったが、この事はそれで相済んだ。
伊達政宗には、忠勝が自筆で返答をした。
「人の志も立て、また人命を失うこと無く事済んだのは、北条三四郎の仁義忠信の為す所である。
君臣合体とはああ言う事を言うのだ。」
これは酒井忠勝が死去した後、ある人が語った言葉である。
(明良洪範)
参考
この吟味を三四郎に仰せつけられたのは
854 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/09/21(日) 21:02:58.32 ID:qjRlHk5I
>>850
切腹が軽すぎてもやっとする話
855 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/09/21(日) 23:13:03.90 ID:kGGh35yq
>>850
誰かが見ていたか、三四郎が喋ったんか
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コメント
人間七七四年 | URL | -
自筆に対する返書で蒸し返される可能性もあったんだから、運が良かったとしか
( 2014年09月22日 22:17 )
人間七七四年 | URL | -
どっちの酒井忠勝?
( 2014年09月23日 04:18 )
人間七七四年 | URL | -
雅楽頭酒井
( 2014年09月23日 04:26 )
人間七七四年 | URL | 3/VKSDZ2
これは三四郎が伝えとくべきでしょ
杓子定規になんでも切腹で済ますのは危険だから教訓として次代に残しとかないと
( 2014年09月23日 09:48 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
外相手にミスしたのを処罰の仕方が悪いと思ったから
証拠隠滅して無かったことにする奴とか正直ドン引き
( 2014年09月24日 23:49 )
人間七七四年 | URL | -
>5
>『今朝、主人である忠勝様が声高に切腹のことを言われたのは、深慮せねばならないことだ。
>だいたい人を罰するのに、どうして声高に申し渡すのだ。』
って部分を読めてないのかね
( 2019年07月10日 20:15 )
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