208 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/11/16(日) 15:27:01.02 ID:9qNWEAcA
土井大炊頭利勝殿へ、蒲生下野守殿(忠郷)より子細あって安達内匠という者が
使いに遣わされた。大炊頭殿がお会いになって用事を申されたところ、
内匠は暫く黙して手を突いていたので、大炊頭殿は「腹痛などではないだろうか」
と案じなさった。すると、内匠は「口上を忘却いたしましので、恐れ入りますが、
御次の間で思案いたして申し上げたいのです」との旨を述べたため、
大炊頭殿は「それならばゆるゆると思案しなさい」と申された。やや暫くして、
内匠は御目にかかり、口上の首尾を案じ出して申し上げたということである。
大炊頭殿は「人多しといえども内匠の如き使いはおるまい。ひたすら当座の首尾に
合わせてしまって、忘れたことも押し隠すものである。嘘偽りの無いことだ」と、
甚だ感心なさり、
下野侯に「褒美なさいませ」と申されたということである。大炊頭殿の寛仁により、
使いの不首尾もよく取り成して申されたことは、有り難きことである。
――『責而者草(三河の物語)』
土井大炊頭利勝殿へ、蒲生下野守殿(忠郷)より子細あって安達内匠という者が
使いに遣わされた。大炊頭殿がお会いになって用事を申されたところ、
内匠は暫く黙して手を突いていたので、大炊頭殿は「腹痛などではないだろうか」
と案じなさった。すると、内匠は「口上を忘却いたしましので、恐れ入りますが、
御次の間で思案いたして申し上げたいのです」との旨を述べたため、
大炊頭殿は「それならばゆるゆると思案しなさい」と申された。やや暫くして、
内匠は御目にかかり、口上の首尾を案じ出して申し上げたということである。
大炊頭殿は「人多しといえども内匠の如き使いはおるまい。ひたすら当座の首尾に
合わせてしまって、忘れたことも押し隠すものである。嘘偽りの無いことだ」と、
甚だ感心なさり、
下野侯に「褒美なさいませ」と申されたということである。大炊頭殿の寛仁により、
使いの不首尾もよく取り成して申されたことは、有り難きことである。
――『責而者草(三河の物語)』
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コメント
人間七七四年 | URL | -
お偉いさんに会って頭まっしろにのぼせたんか
安藤「ド忘れしたら褒められた!」
忠郷「?!?!」
( 2014年11月17日 10:10 )
人間七七四年 | URL | -
以前同じのがあったような?
( 2014年11月17日 14:16 )
人間七七四年 | URL | -
同じのが前にもありましたよ。
けど、どのカテゴリになっているのかわかりません。
( 2014年11月17日 14:28 )
人間七七四年 | URL | -
粗忽の使者みたいな話ですね…尻つねったりはしないけど
( 2014年11月17日 16:55 )
人間七七四年 | URL | -
正直なら許される・・か。
明日締めのこの白い書類も・・。
( 2014年11月18日 18:00 )
人間七七四年 | URL | tKQf3S82
叱られたくなくてテキトーな虚偽の報告する輩もいるからね
まだ忘れましたって正直に言ってくれた方がましだわな
( 2014年11月19日 20:49 [Edit] )
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