フロイス書簡から、柴田勝家の最期

2015年01月20日 18:43

278 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/01/20(火) 15:42:47.78 ID:0TlXsLFW
もうすぐセンゴクの勝家が死にそうなのでフロイス書簡から勝家の最期

六月三日、羽柴は勝利を保ちつつ全軍をもって越前国に侵入し、
柴田がわずかな手勢と共に逃げ込んだ北庄の城を包囲するに至った。

彼はすでに六十歳になるが、はなはだ勇猛な武将であり、また一生を軍事に費やした人である故、
広間に現れると彼に侍していた武士たちに向かって、
「予がここに入るまで逃れてきたのは武運によるものであって、予が臆病なためではないが、もし予の首が敵に斬られ、
 予と汝らの妻子や親戚が侮辱を受けるならば、我が柴田の名と家を永久に汚すことになる故、
 予はただちに切腹し、この身は敵に発見されぬよう焼かせるであろう。
 もし汝らに敵の赦しを得る術があるならば、その生命を永らえさせることを予は喜ぶであろう」
と簡明に語った。

一同、
「武士のみならず、その妻子までがことごとく必ずや彼に倣い、来世まで随従するであろう」
と答え、柴田はこれに対し、
「汝らが速やかに決心し、予と同じ意志であることを大いに喜ぶが、
 ただ心苦しく思うのは汝ら一同の予に対する愛情に報いる術がもはや今生においては得られぬことである」
と言った。

そして彼は数多くの馳走を運ばせて彼らに振る舞い、酒を飲んでは楽器を奏して歌い、
大いに笑い楽しむ様はあたかも戦勝祝いか、夜を徹しての宴のようであった。
城の各部屋と広間にはすでにたくさんの藁を積み、戸も窓もことごとく堅く閉じ、
城を包囲する敵に向けて城内から銃を一発も撃たなかった。
城外の兵士らは内からまったく武器の音がせず、陽気な歌声が盛んに聞こえてくることに驚いた。
事ここに至って柴田は藁に火薬を撒き、家屋が燃え始めると誰よりも早く、信長の姉妹で数ヵ月前にめとった妻と
その他一族の婦人たちを殺し、続いて短刀で己の腹を十字に切り、その場で息絶えた。
他の武士および彼と共に内にいた残る人々も皆、同様にまず己の愛する妻子を殺した。
すぐさま前述の歌に代わって、はなはだ大きな悲鳴と鳴き声が聞こえ、燃え広がる炎が生ずる音よりも高く恐ろしげであった。
彼らは幼い子供たちの年齢や涙を少しも顧みず、全員を殺した後、ある者は自らの手で、またある者は互いに差し違えた。
そして、この痕跡を消すべくただちに火の手が回り、同署にあった憐れむべき亡骸を焼き尽くした。
羽柴やその他の敵に城内で起こったことを完全に知らせるため、柴田は死ぬ前に諸人から意見を徴した上で、
話術に長けた身分ある老女を選び、右の出来事の一切を目撃させた後、城の裏門から出して敵に事の次第を詳しく語らせた。
こうして、信長の時代の日本でもっとも勇猛な武将であり果敢な人がこの地で滅び灰に帰した。




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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    鬼柴田

  2. 人間七七四年 | URL | -

    センゴクで既にじわっときてたところにフロイス投下というこの仕打ち。いい意味で泣きそう。

  3. 人間七七四年 | URL | /c2.ISBc

    >こうして、信長の時代の日本でもっとも勇猛な武将であり果敢な人がこの地で滅び灰に帰した。

    フロイスにはいろいろ言いたいことがあるが、
    ともあれ、これは名文であると思う。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    「鳴き声」はないだろう…

  5. 人間七七四年 | URL | -

    個人的に今まで勝家の最後の行動に関するこの記述を見て、「誰が最後の出来事を知らせたの
    だろうか?」と疑問だったけど、ちゃんと見聞きした老女を城外へ逃がしてたのですね。
    ずっとこの光景を見聞きし続けるなんて、辛いな婆さんも。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    自分も一族滅亡した家の最期ってどうやって語り継ぐんだろ?って思ってたがこういう事やってたんだね。多分、当時の日本じゃ当たり前すぎて書き留められていなかったんだろうがフロイスのお陰でやっと理解できた。
    やっぱ武士ってどんなこと有っても名前を残そうとするんだな

  7. 人間七七四年 | URL | -

    教養ある老女とかお坊さんとかは
    こういうときの語り部になるために、いるんだな。

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