戸次道雪、大友義鎮を諌める

2015年03月07日 16:52

697 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/07(土) 16:47:23.10 ID:5liutiCy
当屋形である大友義鎮公は、幼少の頃より政道正しき大将であり、儒学の達者にて堯舜湯武の古き跡を
御尋ねになり、何事も、廃れた道を改め、古式の例に任せて御仕置をされた。
かねてより怪力乱神といった徒な事を聞くことはなかった。

所が、このような大将であったのに、いつの間にか性格が変わってしまった。
ある時、御簾の間に移って御酒宴の御慰があったが、その後踊りを見物したいと、国中から二十歳前後の女を
すべて踊り子にするため召し出した。義鎮公が行ったこのような事は限りなかった。

義鎮公は相手がいかなる野人であっても、色良き女をさえ差し出せば、機嫌よく御前に召し、財宝を与えた。
都より楽の役者を召し、酒宴、乱舞、詩歌、管弦に日を送り、偏に好色に傾いた。
美女に対する潰えは万民の苦しみであり、侍の権威は女に掠め取られた。これこそ傾城傾国の基であり、
次第に、日々猥らとなり、いつしか礼儀を忘れ、偏に好色に傾けば、国家滅亡となるであろうと、
これに眉をひそめぬ者はなかった。

戸次伯耆守(道雪)はこれを悔やみ、どうにかして制止したいと日々登城するも、御簾の内に入るのは
許されなかったため、どうにも出来なかった。
そこで戸次は踊り子を用意し、御簾の間にで日々夜々に踊りをした。

これを義鎮公が聞き及び、「伯耆守は月見、花見、酒宴、乱舞といったものを大いに嫌っていたのに、
今踊りを好むとは不審なことだ。きっと私への馳走のつもりなのだろう。見物したい。」と言い出し、
戸次の元へと出向いた。戸次伯耆守は大いに喜び、踊り子たちに三拍子という踊りを三度踊らせ、
それが首尾よく済むと、義鎮に向かって申し上げた

「恐れ多きことですが、請い願わくばその御不行儀を止めて頂きたい。
かつて、御父君である義鑑公の時代は、ご領内六カ国においてさえ、猥らがましきことばかりでしたが、
御屋形様がご若年で家督を継がれてからは、程なくその風潮も収まりました。これも偏に、御屋形様の
ご威光が浅からぬ故でしょう。

さりながら、近年は何事も御政道を投げ打たれ、御簾の間に移られ、家臣たちの言うことは何も聞きたくないと
仰せられました。これでは悪しき事も良き事も申し上げる方法がございません。

毛利陸奥守(元就)は立石合戦で利を失い、御屋形様を恨み、様々な武略を巡らせ、当家を滅ぼす時節を
待っております。
只今の大友家の御様態、御幕下は内より御屋形様を疎んでおります。
義鑑公の時代のように、世間で再び兵乱が始まってしまっては、なんと御勿体なき儀ではありませんか。」

そう、涙を流し申し上げると、義鎮も「ありがたし」と改心した。
翌日は七夕の御礼の儀があったが、諸士が登城すると、義鎮は例年通りの儀式において、
家臣たちと対面し御礼を請けた。このことに、豊後の国中喜悦の思いをなしたのである。

(大友記)



698 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/07(土) 20:46:37.55 ID:P9TUOMNt
大友って盟主的な扱いだから義鎮本人の能力が分かりづらい
直接指揮した合戦もなさそうだし今川氏真と大差無さそう
あるいは一条兼定なみか

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    二次資料かどうか知らんがこういう話が残ってるから
    そーりんはキリシタン以外から評判悪いんだよーもー何やってんですかー

  2. 人間七七四年 | URL | ZPZR469g

    宣教師に説教してもらえ。
    あいつらは日本でどうやったら一夫一婦制広められるか悩んでたんだぞ。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    やはりベッキーは、大友(特にそーりん)にとって必要不可欠な存在だったんだな……

    つくづくベッキーの早死にが惜しまれる…

  4. 人間七七四年 | URL | -

    たしか宗麟は大坂城で西洋には金髪女性がいるって話でラスボスと盛り上がったんじゃなかったっけ。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    若い頃から優秀だったのか
    橋にも棒にもかからん悪童だったのか
    どうやら二説あるみたいだな

  6. 人間七七四年 | URL | -

    道雪に限らず、「鑑」の偏諱を持つ同紋衆は宗麟に対しある程度厳しいことを言える立場のように見える。
    名前に「鎮」の入った同紋衆は宗麟にはそれほどでもないが、義統に対しては結構厳しい。

    家臣の世代交代によって、家中の権威勾配が崩れていたんだろうなと思う。
    義統に家督相続したのはその対策だったのかもね。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    大友の同紋衆は要は分家だからな
    大友家は鎌倉時代から地元豊後の在地勢力を押さえつける為に分家を扶植し続けたけど
    そのおかげで同紋集の協力無しでは統治能力を一気に喪失してしまう

    あとめんどくさいのが地味に優秀な人物が多いんだよな、同紋衆

    *5
    優秀な家臣に恵まれたのもあるだろうけど、宗麟の能力は本物だと思うね
    この逸話では若い頃はまともだったとあるけど後の素行面を考えるとね

    だから若い頃から優秀な悪童(というか精神面が弱い)ってところかな

  8. 人間七七四年 | URL | -

    *6
    「鑑」は親父の義鑑から偏諱された、いわば古参幹部。
    二階崩れの後にあった(と思われる)家中内勢力争いの後も大友中枢に残ってるって事は、宗麟が一目も二目も置いてる実力者ってこと。

    「鎮」は宗麟から偏諱受けてる世代だから、若君の方に辛辣になるのは大なり小なり何処もあるんじゃないのか。
    黒田さんちなんかは(以下自粛)
    まぁ それを差し引いても、義統の事が見てて危なっかしくて仕方ないって気持ちは無理ないかと・・


    宗麟が家督を譲ったのは、大病したからって書いてるサイトを見かけたがソース不明。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    若い頃のそーりんと言えば、
    守役の入田は、なんでそーりんを廃そうとしたんだろ
    父親からも愛されず、守役からも裏切られるのって正直キッツいわー

  10. 人間七七四年 | URL | -

    まあ必ずしも若君とじいやのそりが合うかってえとね
    そーりんが悪ガキだったとしたら特にね
    父親の寵臣から選ばれてる以上、親父側につくことだってあるでしょう

  11. 人間七七四年 | URL | -

    秋月や筑紫、立花あたりの大友ゆかりの大名たちが自分たちの正当性を訴えるために作った話なんじゃないかってくらい宗麟の乱行はエグい
    ネロとかカリグラの逸話じゃないんだから
    「元は聡明な名君だったんですよー」ってフォローが入るパターンがあるのもまた…

  12. 人間七七四年 | URL | EybeWf1w

    毛利側の記録になるとさらに露骨になるわけじゃん

  13. 人間七七四年 | URL | -

    米8
    武田さんちや毛利さんちもその辺色々あるよね

  14. 人間七七四年 | URL | -

    *13
    武田さんちは信玄の時には、板垣、飯富、甘利、小山田が早期に戦死したりして
    (小山田さんは死んでないけど)
    中央集権というかリーダーシップを執りやすくなったのが吉に出た例かな

  15. 人間七七四年 | URL | -

    忠臣の鑑みたいに言われる立花道雪も
    ・宗麟からの家督相続への介入を阻止する為に誾千代を跡目にしたり
    ・宗像家と勝手に戦争始めたり
    と宗麟の言う事に素直に従う訳じゃないという・・・

    *8
    吉岡長増なんて更に先代からの偏諱
    頭上がらんかったろうな

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ※11
    まぁ立花はあるかも知れんが、秋月はないだろうな。
    自身の正統性示すんなら、まともな史書が『秋月家譜』と『本藩実録』しか存在しない上、江戸時代以前の記録が殆ど無いという状況にはなるまいし。

  17. 人間七七四年 | URL | -

    ※15
    立花らは家中じゃなくて大友に縁ある国衆というポジションだから
    それらの振る舞いが不忠になるかと言うとそうでもなかったり…

  18. 人間七七四年 | URL | -

    >きっと私への馳走のつもりなのだろう。見物したい
    凄いポジティブだねw
    奥さんが機嫌損ねて城に入れず、ショボくれてた逸話の持ち主と
    同じ人とは思えないw

  19. 人間七七四年 | URL | -

    ※15殿
    >・宗麟からの家督相続への介入を阻止する為に誾千代を跡目にしたり
    >・宗像家と勝手に戦争始めたり
    宗麟の言う事に素直に従ったらそれこそ後で大変なことになりそうじゃないですか。
    17殿が言うとおりこれで不忠になるわけじゃないし。

  20. 人間七七四年 | URL | 3aXRcdxk

    昔は宗麟も聡明やったんやなあ・・・
    文中では諫言をあっさり容れてるから、まだ聡明さが感じられるけど
    なぜ晩年辺りはああなってしまったのか

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