580 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/20(金) 20:40:33.15 ID:VayAq84e
土佐の山内忠義は剛気英邁の人であったが、彼には秘蔵の刀で、常に身から離さず帯びていた名刀があった。
関の孫六兼元の作で、二尺三寸五分。仮名で「かねもと」と銘がある。
非常な大業物で、これで度々家来を手打ちにした。役人などが前に出てなにか気に入らないことを言うと
ハタと睨んで「身が孫六をまいるぞ!」と大声で叱りつける。この剣幕に恐れて、皆唯々諾々として
平伏した。もしこの一言を聞いてなお、反抗しようものなら、抜き打ちに殺されるのである。
ある時、高知城より一里ばかりある荒倉山で、猪狩りが催された。
忠義自ら出馬し、大勢の勢子を配置して、猪を追い出す大網を貼り、一番、二番、三番と勢子を立て、
打ち手は鉄砲を持って要所に控えていた。
忠義も手づから鉄砲を持ち猪を待ち伏せた。
ただし、猪が手負いに成ってかかってくる場合、万一殿様に過失があってはならぬので、忠義が
待ち伏せている背後には、家老たちによって老練の猟師が隠し置かれ、
「危急の場合には撃ち留めよ。必ず殿にお怪我のないようにせよ。」と密かに申し付けてあった。
そうしているうちに狩りが始まり、やがて一匹の大猪が手負いと成って荒れに荒れ、忠義の居る方に
飛ぶように駆けてきた。
元より剛毅な人であったから、忠義は大猪を近くまで引き寄せて撃ち留めようと鉄砲の照準を定めた。
その間に猪が間近くまで来た。その時、傍の藪陰より一発の銃声が鳴ったかと思うと、
その猪は撃ち倒された。
これに忠義は激怒した。「何者が我が当の敵を横合いより撃ったのか!?」
すると、一人の年老いた猟師が這い出てきて頭を地につけ平伏した。これを見ると
「おのれ憎き奴!我が孫六をまいるぞ!」と怒鳴って刀の柄に手をかけた。
が、その老人は、「忝く思います。頂戴いたします。」と両手を出した。
その言葉通り、与えられるのだと思ってしまったのである。
忠義もこの意外な体に少し拍子抜けして刀を抜けず戸惑っていた、
そこに、家老たちが慌てて駆けつけ、「この者は我々より予て申し付け置いたもので、万一危急の場合には
殿に変わって撃ち留めよと申し付けました次第です。」と、詳しく申し上げると、
忠義これを聞いて
「その方らの申し付けとあっては、この者の落ち度ではない。
ただし『孫六をまいるぞ』ともうした時、両手を出したのは妙なやつだ。
さりとて、この秘蔵の刀を遣わすことは相成らぬ。差し替えの刀をあやつに遣わせ。」
そう、その場で別の刀が拝領された。しかしこれは不調法のご褒美というものであろう。
(刀剣談)
581 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/20(金) 20:42:19.86 ID:ExqvmYzk
良い話だ
582 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/21(土) 01:30:52.16 ID:UV/uEQOC
良い話かあ?
583 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/21(土) 10:07:24.53 ID:ceRcJez6
高虎さんが両手を出しております
土佐の山内忠義は剛気英邁の人であったが、彼には秘蔵の刀で、常に身から離さず帯びていた名刀があった。
関の孫六兼元の作で、二尺三寸五分。仮名で「かねもと」と銘がある。
非常な大業物で、これで度々家来を手打ちにした。役人などが前に出てなにか気に入らないことを言うと
ハタと睨んで「身が孫六をまいるぞ!」と大声で叱りつける。この剣幕に恐れて、皆唯々諾々として
平伏した。もしこの一言を聞いてなお、反抗しようものなら、抜き打ちに殺されるのである。
ある時、高知城より一里ばかりある荒倉山で、猪狩りが催された。
忠義自ら出馬し、大勢の勢子を配置して、猪を追い出す大網を貼り、一番、二番、三番と勢子を立て、
打ち手は鉄砲を持って要所に控えていた。
忠義も手づから鉄砲を持ち猪を待ち伏せた。
ただし、猪が手負いに成ってかかってくる場合、万一殿様に過失があってはならぬので、忠義が
待ち伏せている背後には、家老たちによって老練の猟師が隠し置かれ、
「危急の場合には撃ち留めよ。必ず殿にお怪我のないようにせよ。」と密かに申し付けてあった。
そうしているうちに狩りが始まり、やがて一匹の大猪が手負いと成って荒れに荒れ、忠義の居る方に
飛ぶように駆けてきた。
元より剛毅な人であったから、忠義は大猪を近くまで引き寄せて撃ち留めようと鉄砲の照準を定めた。
その間に猪が間近くまで来た。その時、傍の藪陰より一発の銃声が鳴ったかと思うと、
その猪は撃ち倒された。
これに忠義は激怒した。「何者が我が当の敵を横合いより撃ったのか!?」
すると、一人の年老いた猟師が這い出てきて頭を地につけ平伏した。これを見ると
「おのれ憎き奴!我が孫六をまいるぞ!」と怒鳴って刀の柄に手をかけた。
が、その老人は、「忝く思います。頂戴いたします。」と両手を出した。
その言葉通り、与えられるのだと思ってしまったのである。
忠義もこの意外な体に少し拍子抜けして刀を抜けず戸惑っていた、
そこに、家老たちが慌てて駆けつけ、「この者は我々より予て申し付け置いたもので、万一危急の場合には
殿に変わって撃ち留めよと申し付けました次第です。」と、詳しく申し上げると、
忠義これを聞いて
「その方らの申し付けとあっては、この者の落ち度ではない。
ただし『孫六をまいるぞ』ともうした時、両手を出したのは妙なやつだ。
さりとて、この秘蔵の刀を遣わすことは相成らぬ。差し替えの刀をあやつに遣わせ。」
そう、その場で別の刀が拝領された。しかしこれは不調法のご褒美というものであろう。
(刀剣談)
581 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/20(金) 20:42:19.86 ID:ExqvmYzk
良い話だ
582 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/21(土) 01:30:52.16 ID:UV/uEQOC
良い話かあ?
583 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/21(土) 10:07:24.53 ID:ceRcJez6
高虎さんが両手を出しております
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コメント
人間七七四年 | URL | -
山内家って代々ケチ臭い印象があるのだが
( 2015年03月21日 17:19 )
人間七七四年 | URL | -
なんと孫六
( 2015年03月21日 17:22 )
人間七七四年 | URL | -
小物界の大物みたい感じだよね>山内家
( 2015年03月21日 19:06 )
人間七七四年 | URL | -
>これで度々家来を手打ちにした
うーん、いい…話……?
( 2015年03月21日 19:08 )
人間七七四年 | URL | -
今度は吝四天王とか出してこないかな。確実に5人以上出てきそうなので
( 2015年03月21日 20:15 )
人間七七四年 | URL | -
忠義ってこんな人柄だったか?逸話とは云え結構違和感ある。
( 2015年03月21日 21:21 )
人間七七四年 | URL | -
白刃取りではないのか
( 2015年03月21日 21:43 )
人間七七四年 | URL | -
※6
ホモ絡みエピソード以外も欲しかったから
まあいいじゃん
( 2015年03月21日 22:24 )
人間七七四年 | URL | -
渡さないのかよw
( 2015年03月21日 22:31 )
人間七七四年 | URL | -
さすが山内家、きたない
( 2015年03月22日 00:45 )
人間七七四年 | URL | -
ここまできたら渡しちゃうのがよくある流れだよねえ
( 2015年03月22日 02:51 )
人間七七四年 | URL | -
>>山内忠義は剛気英邁の人
本当に英邁なら手打ちにしないで法に照らして処分すんじゃね
本当に剛毅なら命令に従っただけの猟師に褒美とし孫六あげちゃうんじゃね
( 2015年03月22日 04:03 )
人間七七四年 | URL | -
その後、山内家では
忠義「予が孫六がまいるぞ」
家臣「ありがたく頂戴いたしまする」
が流行った土佐ってならないんかな?
( 2015年03月22日 11:43 )
人間七七四年 | URL | -
孫二「孫六は取られぬようだな…」
孫三「ふん、あれは小物にすぎぬ」
孫四「あのような輩に与えるなど」
孫五「一族の面汚しも甚だしいわ」
孫一「…?」
( 2015年03月23日 11:32 )
人間七七四年 | URL | -
※14
何そのGショックのパクリ対策みたいなのw
( 2015年03月23日 13:08 )
人間七七四年 | URL | -
忠義「我が孫六をまいるぞ!」
勝永「アッー!」
( 2015年03月23日 18:54 )
人間七七四年 | URL | -
この爺さん実は名前が孫六さんだったりして
( 2015年03月24日 19:25 )
人間七七四年 | URL | -
包丁の立派なのしか想像できんw
( 2015年04月05日 12:58 )
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