木村重成の首

2015年03月29日 15:36

795 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/03/28(土) 18:45:15.56 ID:r6orwAxz
大阪夏の陣、井伊直孝の部隊の先鋒であった庵原助右衛門は木村長門守重成の部隊と戦い、
乱軍と成って重成が馬を乗り放ちにし鑓を持って進んできたのを、庵原は二間(訳3.6メートル)ほどの
足元の沼を隔てて鑓を合わせた。

庵原はその十文字鑓を重成の母衣に突き込み、前に引き倒そうとした。
重成は自身の鑓を庵原が立っている岸に突き立て、引き倒されまいと争った。
しかし庵原が強く引くと、重成は遂に沼にうつ伏せに引き倒された。
その時、庵原の家来たちが飛びかかり重成を取り押さえて首を取った。

と、ここに安藤長三郎が走りきて庵原に声をかけた
「私は未だ首一つも取っていません。その首を頂けないでしょうか!?」

庵原はこれを聞いて
「若者にしては奇特な心掛けである。ではこの首は進上いたそう。
この敵、木村長門守と名乗ったが、長門ではないかもしれず、たとえ本物の長門の首であっても、
私はこの首一つにて名を揚げるつもりもない。

大阪も、今日明日で落着しよう。であれば貴殿も、これほどの首を再び取り当たることは
無いだろう。急ぎ大御所の御実検に供えられよ。」

安藤は大いに喜び、首を持って行こうとしたが、ここで庵原は彼を呼び返して
「大御所は至って御吟味の強き大将である。母衣武者の首を取って母衣を首に添えない時は
御非難を受けるぞ!この母衣絹、太刀、脇差まで共々持って行くべし」
そう言って皆取り束ねて渡したが、庵原の家来たちは「せめてこれだけはこの方に残したい」と、
白熊( 白熊(はぐま)の毛で作った払子)のついた金の捻り竹の指物は、押さえて渡さなかった。
この一品は、後に庵原の家の什物となったという。

安藤長三郎は重成の首を本陣に持って行き家康の実検に備えると、正しく長門守の首であり、
若き者の天晴な功名であると、戦い終わった後、安藤を伏見城に召して五代青江の刀を与えたという。

(刀剣談)



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | Cnub/O7I

    青江の刀をもらってニッカリしたと。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    首を取る、鼻耳を削ぐなどあったけど、そういえば討ち取った敵将の指物についての話は出てなかったな。本来一番に身分証明になりそうなモノなので持って行かないのは珍しかったのか、作法として当然だったのかな?

  3. 人間七七四年 | URL | -

    母衣は幅広の布だから首を包んで持ち運ぶのに使えるけど(所謂「母衣首」)
    指物はちょっと嵩張るし旗も幅が狭い布だから包むのに工夫が要って不便だったのかな?

    …ってか逸話的には旗を奪うと負けフラグな気がする
    立花宗茂とか島津豊久(の友軍)とかがハッスルしちゃう

  4. 人間七七四年 | URL | -

    >母衣を首に添えて持ち帰る
    逆に当然の事だからこそ記録に残らなかった可能性もあるのでは?
    それを知らない若者だからベテランが作法を教えたとかですかね?
    何にしても、確かに証拠であるのは間違いありませんね。

    個人的には正直に首の経緯を話してくれたらもっと良い話でした。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    命かけて戦ったのにタダでくれてやるとかよくわからんな

  6. 人間七七四年 | URL | Nlkrq6PA

    功名にさほど重きを置かなかったんだろうけど
    当時としては庵原朝昌は相当の変人だよな

    井伊家を一度飛び出てから入り込んだのが
    当時禄高が千石だった水野勝成のところ、
    しかも門番として、って意図がまったく判らんし

  7. 人間七七四年 | URL | -

    いやしかし、長門さんは結構な大物ってイメージだったんだが、、、
    しかも、本人も言ってる通り、コレ終わったら当面合戦のアテもなさそうな戦なのに、あっさり譲っちゃうんだ。
    これだけ手柄に淡泊な武士ってのも珍しいな。

    断ったら「ころしてでもうばいとる」になって面倒くさいと思ったのかな。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    そいや家康は木村重成と面識あったんだよな。
    記憶力も尋常じゃないから一目見ただけで本物だって見分けられたカモ知れん

  9. 人間七七四年 | URL | yl2HcnkM

    安藤重勝が怒られる話あったよね。それ読むと納得。

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