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精進刀

2015年04月04日 16:12

635 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/03(金) 21:03:20.65 ID:0dA0hrZy
大久保彦左衛門がある時、坂部三十郎と雑談をしている時、坂部は
「座敷にて人を斬るのは二尺(約60センチ)以下の刀が良い。それ以上だと座敷での働きは自由に成らない。」
と言うと、彦左衛門

「昔、堀監物が家中の朋友に意趣を含んで、必ず討ち果たすと結審した時、一尺五寸の脇差を八、九寸にまで
磨上て首尾よく敵を討ち果たしたと、後に監物が話していた。これは突き抜いて仕留める心得である。
見事に切り放そうとすれな多くは仕損ずる。突く心得が有れば仕損じはない。足下が二尺以下というのも
放し討ちの心得というものだろう。

放し討ちというの至極難しいものだ。かつて池田勝入は、大事の敵を仕留めるのは組み留めておいて
突き刺せば、十中八九過ちはないと言われたものだ。
あの朝比奈弥太郎(後の水戸家老臣)は、常に三尺(約90センチ)の大刀を差して歩いているが、
外見は良いがあれでは働きは出来まい。人を斬らぬ刀なら、精進刀というものだ。」
そう笑って話した。

ところが、後で坂部三十郎がこの事を朝比奈に話してしまい、朝比奈は激怒。直に彦左衛門の家に押しかけ

「足下は我が刀を精進刀と言われたそうだ。精進か生物か、一つ試してご覧あるべし!」
そう凄んで大刀の鯉口を広げ、返答次第で抜打ちにするとの剣幕であった。

しかし彦左衛門は少しも騒がず
「成る程、足下の御刀は至極の切れ物と云う評判を聞いたゆえに、そこで精進刀と言ったのである。」

「それはいかなる訳か!?」

「されば、精進というものは仏の命日にするものであるが、これは直ぐ落ちる。精進落ちと言って魚を食う。
それで世俗で精進を落ちるというが、足下の刀に逢っては直ぐ落ちる。首も胴も落ちる。
であるから精進刀といった訳だ。」

そう弁解すると、朝比奈も「それで良く解った。」と機嫌を直した。

すると彦左衛門さらに
「足下が長篠合戦の時、甲州の中備の大将、内藤修理亮(昌豊)を討ち取ってお手柄をなされたが、
あの刀は、只今のお差料であろうか?」

「いかにも。この刀は一刻も身を離さず、少し寸が伸びたが度々手柄を現した道具ゆえ、
磨上もせずこのように常に帯びている。」
そう言って抜いて見せたのは、備前国長一の刀、二尺八寸二分。
そこで彦左衛門は聞いた

「足下は、あなたが討った内藤修理亮殿の命日には精進をしていると聞いたが、そうであろうか?」

「いかにも。修理亮殿の命日には、精進をいたし念仏を唱える。」

彦左衛門、我が意を得たりとばかり
「それではやはり精進刀ではないか!精進をするほどの大将を斬った刀なればこそ、足下の武名
天下に聞こえたのである。精進刀と言われて何故に立腹するのか?」

そう口に任せて説立てられると、朝比奈も大いに喜んで帰っていったと、「春村筆話」にある。

(刀剣談)




636 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/03(金) 21:08:32.71 ID:qxruWlrD
どっかのガイキチな浅野さんは切ったから爺殺すのに失敗したわけだな。袴踏んで転ばしてからブスリとやればいいと
しかし三河武士は面倒くさいなw

637 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/04(土) 09:51:08.32 ID:d0LMNVy2
弥太郎が単純なのか、彦左の口が達者なのか

638 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/04(土) 09:51:23.02 ID:tV78Te7F
弥八郎並みの口八丁じゃないですかやだー

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    彦左口八丁すぎんだろwwww
    でもその弁解部分だけ聞くと
    ちゃんと褒められてるようでそう悪い気はしないな

  2. 人間七七四年 | URL | -

    まあ、そりゃそーでしょ。内藤討った大手柄は否定しようがないモン

  3. 名無しの日本人 | URL | -

    大手柄立てた戦場刀を常に持ち歩いてたのか。
    座敷じゃ役に立たないって指摘も一理あるのかな。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    放し討ちって騙し討ちって意味?
    「放し」の意味がよくわからない

  5. 人間七七四年 | URL | wZ.hFnaU

    ※4
    簡単に言うと、相手が捕らえられていない自由な状態で打ち取ること。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    >事に切り放そうとすれな多くは仕損ずる。突く心得が有れば仕損じはない。

    新選組・三段突きは儂が育てた

  7. 人間七七四年 | URL | -

    あー言えば、こう言う的な口ぶりだな。
    でもこう言う機転が利かないとやっていけない世界って事かな?

  8. 人間七七四年 | URL | -

    彦左衛門も江戸城で長い刀持ち歩く系だから、これはうっかり口を滑らせてしまったな
    その後いいように取り繕ってるように見えるw

  9. 人間七七四年 | URL | -

    浅学なので間違っていたら訂正を願いたい。

    「放し討ち」とは、何らかの理由によって討ち果たすことになった武士に対して、相手が自由な状態(武器も所持)で同数にて堂々と討ち果たすことだったかと。
    (相手に反撃の機会を与える、武士らしく討ち果たそうという行為。武士らしく戦闘で散らせようという、武士の名誉を重んじた討伐方法。むろん、討ち手が倒される可能性もじゅうぶんある)

    たぶん合ってると思うのですが・・・間違ってたらどこぞの橋の番人に立候補しますゆえ指摘よろしくお願いします。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    むかつくアイツの差料が、気になるけど、素直に聞くのは俺の沽券に関わるぜ!

  11. 人間七七四年 | URL | -

    彦左が話の収拾をつける側だと…(そもそもが彦左の失言がきっかけだが)

  12. 人間七七四年 | URL | -

    収拾させたというより、逃げ切った感じ。

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