酒井忠勝、丸め込む

2015年05月30日 14:15

849 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/29(金) 19:59:52.97 ID:Ltjm8IJj
徳川家光の時代のこと。

ある年の正月、具足餅の祝の時、大久保彦左衛門忠教、今村九兵衛の両人は未明から出仕したが、
山吹の間に用があってそこに出ている間、本席に両人の姿が見えず、このため両人は遅参したと思われた。

既に御祝いの儀式が始まった中、目付け衆は席を見廻り両人を見つけ、「御祝いはもう始まっています。
早々に御着座して下さい。」と言った。

当然彦左衛門は激怒した
「我々は今朝未明よりこちらに詰めていたのに、何の御沙汰もなく御祝いが始まっているとは意味がわからぬ!
神君の御代より、こういう事に御失念は無かったのに、今日忘れられたということが、我々が年老い、
もはや御用に立たずとの思し召しであるなら、もはや退出すべし!」

この大騒ぎで御祝いの進行が止まり、老中始め役人たちは大いに当惑した。それでも
『大久保彦左衛門は神君よりの旧臣にて今日の御祝いでも第一の人だから。』と役人たちが様々に挨拶し
機嫌を直してもらおうとしたが聞き入れず、ついに老中松平伊豆守信綱が出てきて
「完全にこちらの失念であったからこそ、役人たちも言葉を尽くしているのです。早く席について下さい。」
と説得した

しかし彦左衛門
「我々は御旗本頭である!であれば軍礼に、御旗本失念ということが有るだろうか!?
もはや一番座も済んだようだ。我々は洗い膳にて食うようなことはしない!
まったく長生きすれば、珍しきことを聞くものかな。」
そう嘲った。

これには伊豆守もさすがに腹を立て「彦左衛門殿、舌の和らぐまま言いたい放題にも程がありますぞ!
将軍家の御祝いに洗い膳などと言うことはありえない!」

彦左衛門からからと笑い
「伊豆守はずっと畳の上で、戦場は見たことも無い故に軍の言葉を知らぬと見えた。
二番座に出るのを洗い膳と言って、まことの武士は嫌うことなのだ。よく聞いて置かれよ!」

伊豆守、心中さらに怒りが増したが、これ以上言い返す事もせず、周りは伊豆守を甚だ気の毒に見ていた。

この時、酒井忠勝がふらりと出てきて、彦左衛門の手を取ると
「老人のお言葉、尤もです。ですが今日は格別の御祝いの事ですから、あまり時間が過ぎてしまうのは
いかがでしょうか?さあ、席に付きましょう。この忠勝が相伴いたします。」

すると彦左衛門も
「さてさて、讃岐守殿は天下の老中であるのに相伴するとは忝い。ならばいただき申そう。」

コロリと機嫌も直り着座した。こうして御祝いは滞り無く相済んだ。

(明良洪範)

伊達政宗さえ丸め込める酒井忠勝にとっては、大久保彦左衛門もこのとおりなのである。




850 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/29(金) 22:33:36.74 ID:Bt6VT78J
>周りは伊豆守を甚だ気の毒に見ていた。
この件で笑った

851 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 00:53:26.19 ID:W2vUN1nO
これならいい話ではござりませぬか

852 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 04:20:58.49 ID:3+oxdFGQ
一体両者の対応のどこに差異があったのか

853 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 04:31:28.55 ID:hAvvsUPh
>>852
知恵伊豆は知恵伊豆ってだけで叩かれる

854 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 05:37:41.51 ID:2wUbbVLP
三河者相手に真っ向からぶつかるのはよくない

855 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 10:04:48.21 ID:Hn2rc8Nn
最後の、そして最も面倒くさい人物だな

856 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 10:44:24.64 ID:JyBUmMSN
>>855
まあ、彦左衛門なんて大した武勲もない、ただ理不尽でうるさいだけのジジイだけどね。
でも、この時期になるとモノホンの武勲のある武功派はほぼいなくなっているからなぁ

857 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 15:58:22.86 ID:RileblEf
二大DQNがいるじゃないか

858 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/30(土) 18:00:56.86 ID:1OZzOB6C
>>856
岡部元信を打ち取った武功があるだろ

859 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/31(日) 19:53:34.38 ID:4LSw/tvs
酒井忠勝がかっこいい話

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | ZPZR469g

    この時代ってまだ安藤直次が生きてるんだよなぁ…
    この場に安藤直次がいたらどんな反応をしていたんだろうなぁ、と思う。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    知恵伊豆は陳平っぽいな。彦左衛門みたいな相手に理を以て臨んでも徒労、というわかりやすい話。こういう人には困った顔してお願いしますよーが結局一番だったりするな。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    知恵伊豆カワイソス
    こういうお爺ちゃんにはいいから一緒にご飯食べようよ!ってのが一番いいのかなあ…

  4. 人間七七四年 | URL | -

    将軍家の御祝いに洗膳などない。
    って直球の回答にウケたw彦左 相手にそれはー

  5. 人間七七四年 | URL | -

    あんまり連呼するのは良くないと解ってはいるけど、それでも
    「彦左めんどくせぇ…」
    と思ってしまった

    そして冷静に考えたら、酒井忠勝もなかなかの猛獣使いなんだな

  6. 人間七七四年 | URL | -

    こういうタイプのクレームは、対応者の見た目の若さも重要なんだよな。
    言ってる事は一緒でも、若社長が言うより年かさの工場長が言うほうが不思議と収まったりするのよ。

    忠勝と信綱のキャラの違いもあるけど、9歳の年齢差は結構馬鹿にできない。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    ※6
    年かさの工場長=年かさの蒲生氏郷と一瞬読んでしまった自分はもう駄目ぽ

  8. 人間七七四年 | URL | -

    これはご相伴がきいてるんじゃないかなあ。
    老中、大名の酒井忠勝と同格扱いということで。
    江戸時代に大岡忠相が、大名になった後に、誤って旗本の部屋にお膳が運ばれたことがあって、激怒してやり直させたというのがある。
    鎌倉時代以来、こういう席順はすげえうるさいから。

  9. 人間七七四年 | URL | 05upO3oo

    大久保彦左衛門、正月の具足もちの祝いで忘れられ
    ttp://opcoa.st/H188l

  10. 人間七七四年 | URL | -

    彦左衛門はメンドくさいっつうか人間が小さい印象しかねぇな。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    どうせ作り話だろうからキニシナイ

  12. 人間七七四年 | URL | mQop/nM.

    彦左衛門掴まえて大した武功がないってのも酷いなww
    高天神城では岡部元信討ってるし、戦歴も長いんだけど。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ※12
    爺ちゃんは岡部討ってないよ。
    雑兵だと思って捨て置いて部下に任せたら、後で岡部だとしって悔しがったって三河物語に書いたくらい。
    まあ、家臣の手柄は主の手柄でもあるけど。

  14. 人間七七四年 | URL | -

     大して武功の無い人間が槍奉行を務めたり、ましてや連座して改易された後に千石の旗本で召し出されたりするかねえ?大将首には恵まれなくても、戦歴に応じて手柄は立てたと思うんだけど。

     
     

  15. 人間七七四年 | URL | -

    来ては居たけど何かの用事があって席を離れざるを得なかった相手に、知らない
    間に始まってるんだから早く席に着けといわれれば、誰だって多少の不機嫌には
    なるでしょうよ。怒り過ぎだとは思うけどねw

    >たいした武勲じゃない
    そもそも何を持って「凄い武勲」なのかが分かりませんねぇ。

  16. 人間七七四年 | URL | -

    彦左は十六神将には入ってないが二十八神将には入ってる。
    このポジションは雲台二十八将だと馬成~劉植に相当するんだが…

    あなたは凄いと思いますか?それとも大したことないと思いますか?

  17. 人間七七四年 | URL | -

    ナポレオンにエジプトでスイカを献上したことを一番の誇りにしてた老兵士
    (イタリア以降ナポレオンが皇帝になるまでほぼすべての戦闘に参加してた古強者)が
    レジオンドヌールを貰った話が有るから
    やっぱり継続して参戦してた人は評価すべきなのでは

  18. 人間七七四年 | URL | ZPZR469g

    彦左が評価されないのって、忠義だとかのためには目上でも関係なしっていう
    清々しさがないからだと思う。今回のだって、ただ自分の扱いが悪くて怒っただけで
    そこに主君や家を思う気持ちもないし、若者を育ててやろうという気持ちもない。
    それを家康以来の古参だぞ?っていう態度でやるから印象が悪いんだと思う。

    逆に同じ面倒くさい奴らでも作左は大政所のエピソードで家康のことを
    心底思ってたってわかるし、安藤直次なんかは紀伊頼宣育て上げてるからね…

  19. 人間七七四年 | URL | -

    池田の父ちゃん討っても5000石でその子に嘆かれるくらいだから、徳川家は単に首級による武功だけでは評価しなかったのかもね。
    実際、兵を鼓舞できるとはいえ、指揮官に求められるのは個人の武勇ではなく指揮能力だし。

  20. 人間七七四年 | URL | -

    >単に首級による武功だけでは評価しなかった

    加藤清正と森本儀太夫&庄林隼人でまさにそんな話が名将言行録にあるな
    清正「スタンドプレーで首級二つ獲って来た儀太夫より
       首は獲らなかったけど俺をアシストして全体勝利に貢献した隼人が今回の戦功上な」ってやつ

  21. 人間七七四年 | URL | -

    丸め込むって言うと、酒井忠勝に失礼だと思う。これは思慮と言うべきだろう。
    面子大事の武士という商売で、祭事の席で蔑ろにされるなんてとんでもない事。それを、一番席が無いなら、将軍の代理人が饗応するという「特等席」を作ってあげるあたり、忠勝は武士の面子を良く理解している。というか、そうでもしなければ彦左衛門たちの面子が立たんよね。

    そういえば、秀忠の時代には彦左衛門のこういう逸話は少ない気がするけど、どうだろう?まあ、そもそも彼の頃には、こんな失態は起きなかったと思うけど。

  22. 人間七七四年 | URL | -

    ※21さん
    凄く分かり易い発言感謝。私も面子を重んじる武士(挙句に三河者と来てる)に対して、
    単に面倒臭いで片付ける人達は個人的に残念に感じました。
    (逸話をどう感じるかは個人の感想なので非難では在りません)

    ※20さん
    仰る通りだと思います。一武士としての能力と部隊指揮官としての能力は別物だと
    思います。典型的なのが天庵様・氏真さん・秀忠公だと思う。
    (個人としては優秀でも全体の指揮官としてはケチが付いた<当然異論在りでしょう)

  23. 人間七七四年 | URL | -

    ※21
    ミスター思慮というべき土井さんならば、クレームが発生する前にクレーム処理を済ませることも朝飯前だったかもしれない。

  24. 人間七七四年 | URL | -

    >配慮
    直家「まぁお茶でも飲んで心を落ち着かせて下され つ=旦」
    悪久「なんでしたら隣の間でお休み下さい。東郷、お連れせよ」

  25. 人間七七四年 | URL | -

    ※24
    クレームを二度と付けさせない為の配慮ですね分かります

  26. 人間七七四年 | URL | -

    ※25
    鬼武蔵「俺はクレーム付ける側だけど、同じ相手に二度はありえないな」

  27. 人間七七四年 | URL | -

    ※25
    相手を「この世から」消してるからだろうがw

  28. 人間七七四年 | URL | -

    はいはいおじいちゃん、もうご飯食べたでしょ

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