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合戦において容赦の道は

2015年09月01日 16:19

640 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/01(火) 00:10:18.75 ID:z/7p6W1K
天正3年、佐竹義重が白河結城義親の領地である陸奥国白河郡棚倉を攻め取ると、
翌4年4月27日、白河勢は小峰城にて逆襲の軍議を開き、棚倉を夜討ちすると決議した。
そして此の作戦が功を奏し、棚倉の佐竹勢は壊乱、主将の渋江内膳は逃亡した。

さて、白河勢が棚倉城内に突入し、佐竹勢を生け捕ること無く一人残らず討ち取っている中、
白河勢の斑目織部少輔、斑目能登守兄弟は、渋江内膳が置き残した2歳の女児を発見した。
兄弟はこれを見て思った

「侍の身として、この2,3歳の女児を敵だからといって、刺し殺さなければ
勝つべき戦が負ける、などということもあるまい。此のような少女を殺すのはあまりに情けない
振る舞いではないか。」

そういって、小貫五郎左衛門という者に兄弟は口上を言い含め、女児とともに渋江方へと送った。

斑目兄弟の使者は常陸太田に着くと渋江の館に入り、斑目の書礼、並びに2歳の女児を渡した。
渋江内膳はこれに大いに感動した

「さてさて、斑目兄弟は聞きしに勝る勇士である。これを送って来られたこと、その志忘れがたい。
この事は我らの大将に申し上げその上で返答を申す!」

そう言って佐竹義重に申し上げると、義重も
「敵ではあるが心優しい者である。直ちに返礼を遣わさねばならない。」と、書礼を認め渡した。
渋江は急ぎ館に帰るとかの使者にこれを渡した。

その後、天正4年7月3日、佐竹義重は再び大軍を発し白河へと攻め入った。
この陣には農民を集め、全員に手に鎌をもたせ
「青田を刈り取るのだ!白河の慶民を困窮に及ばせ、その飢饉の惨状に乗じて以後の戦いの利を得るべし!」
この青田刈りの奉行には、渋江内膳が任命された。

渋江は様々に思案した
「この4月、棚倉が夜討された時、私の2歳の娘を返した、東館の住人、斑目の志忘れがたい。
今度の合戦、彼の領地の青田は刈ることから除こう。」

そう思いたち、斑目のもとに使者を立てた
「あなたの領地の青田には、何でも良いので目印を立ててほしい。そうすればその場所は
刈ることはありません。」

斑目はこれを聞くと言った
「勇士たるもの、合戦において容赦の道はない!我ら斑目兄弟は不肖ではあるが、佐竹を頼るのは
道に非ず!2歳の女児を返したその縁で、今度の合戦に容赦を得るなど何たることか!
ただ運を天に任せるだけだ。返礼にも及ばぬ!」
そう激怒し、寄せてくる敵を待ち受けた。

佐竹勢は小野崎、大縄を先手として棚倉に攻め入った。大軍であったため白河勢の要害も
歯牙にも懸けず攻め入ったため、白河勢は防ぐ手段無く釜子まで侵入された。
渋江、刎石勢が青田を刈って通って行くのは情けない限りであった。
しかし彼らは、斑目兄弟の領地だけは、青田を刈らず通り過ぎた。
そして佐竹勢は常州へと引き上げた。

(白河関物譚)

647 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/01(火) 17:03:46.91 ID:z/7p6W1K
>>640の続き

その後、佐竹の大軍が釜の子まで攻め入ったが、白河方は棚倉の保住大学を始めとして所々で防ぎ戦った。
しかし敵は大軍、味方は少勢であり完全に不利であり、さらに青田が刈り取られたことで大規模な飢饉も
起ころうとしていた。

所がそんな中、斑目の領分だけは青田が不思議と残されているとの注進が入った。
結城義親はこれを聞くと、「斑目兄弟は佐竹との境を守る者だが、定めて心変わりをしたのだろう。
かの兄弟を呼び寄せて討って捨てるべし!」そう考えて斑目兄弟を小峰城に呼び寄せた。

小峰城では、石井弥源太、箭内内蔵之介という、身分は軽いが心剛にして日頃より度々手柄を表した者達に
30人ほど兵を付けて待ち構えていた。

義親からの内輪の話だからと、斑目兄弟は密かに座敷に入れられた。と、ここで遣いの者が戸の側で
飛びかかった。斑目兄弟は「何事か!?」と刀を抜いて走り回ったが、そこに大勢が喚きながら掛かり
ついに両人は殺された。

こうして斑目兄弟が結城義親によって滅ぼされたため、棚倉に居住する者達は佐竹に追い詰められ、
度々戦い知略をめぐらしたものの、ついに棚倉、赤館まで佐竹の手に入った。

(白河関物譚)



648 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/01(火) 17:37:16.93 ID:eyPy9V51
>>640>>647
これっていい話なの?なんか渋江の内部分裂作戦がうまくいった風にも受け取れるけど?

649 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/01(火) 18:40:48.10 ID:UiaD4USc
たぶん斑目兄弟の遺児が加賀藩に召し抱えられて、その子孫が猫侍になるなんて後日談があるんじゃ…

650 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/01(火) 23:48:35.17 ID:/1TGz7gC
白河の斑目さんも弱い物は殺せないんやねw

651 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/02(水) 09:45:32.99 ID:EayWawI5
>>648
良かれと思ってやった事がひどい結末になりましたってことでしかないのでは
いい話といえるかどうかは疑問だが

652 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/02(水) 09:54:49.73 ID:Ic3r2CMl
青田刈りを免れた時点で裏切りを考えないからこうなる

653 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/09/02(水) 11:25:48.00 ID:iTV8Jiyu
青田をば
刈られず己の
首刈られ

~斑目織部、心の俳句

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    斑目は女々しい女に似た武士だな。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    侍だって人の子なのだから、流石に心が動かされたのだと思う。

    だけど、お礼のつもりが結果的に死に至らしめたのは残念だけど、状況から見れば
    「何故あそこの領地だけ無事なのか?」と思われるでしょ。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    女々しくないと思うぞ。
    斑目さんは「善いことしたのに報われない・・」なんて一言もいってないし。
    自分の判断で女児助けた因が巡りめぐって味方に裏切りを疑われて殺されただけ。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    つーか2歳の娘残して逃げたの?現代なら自殺するまで2chに追い込まれるレベルだろ

  5. 人間七七四年 | URL | -

    当時の価値観では二歳児なんて人の数に入らない。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    >4
    劉邦「全くだ。わが子を見捨てて逃げ出すなど鬼畜そのもの、この世を生きる資格などない」

  7. 人間七七四年 | URL | -

    ほう、俺の地元にこんな人いたのか>斑目さん
    しかし、今の県境あたりはどこも狭隘で防ぎやすそうに思えるが、そうでも無いんか。

  8. 人間七七四年 | URL | 6m5BDBwc

    それよりも渋江政光の年齢は正しいのか?

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ※8
    この話の渋江内膳と渋江政光は別人。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    >>648と同じ意見だな。
    善意だとしたらちょっとうかつだったと思う。
    恩にかこつけた策略ならお見事。

  11. 人間七七四年 | URL | 6m5BDBwc

    ※9 別人なんだ。勉強になったわ。ども。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    結果的に二歳の娘を殺さなかったために
    勝つべき戦に敗けてしまったという話でいいんでしょうかね?

  13. 人間七七四年 | URL | -

    酒の一樽も届けて、「先の行いには感謝するがそれはそれとして心置きなく戦おう」とか口上しときゃ、良い話で終わったんだろうけどねぇ。

  14. 人間七七四年 | URL | -

    前半はいい話だったのに、佐竹はやっぱり鬼ですわ

  15. 人間七七四年 | URL | -

    戦国の世に仏は居らぬ

  16. 人間七七四年 | URL | -

    この娘を救ったからといって勝つべき戦に負けるということもあるまいの時点で死亡フラグだったか

  17. 人間七七四年 | URL | -

    情けは不要だな。
    特に「中にはいい人も~」「かわいそう」とかのたまうブサヨはこの逸話をよく頭に叩き込んでおけよ。

  18. 人間七七四年 | URL | -

    戦国時代の逸話にブサヨとか言われてモナー

  19. 人間七七四年 | URL | -

    ※17
    自分のことをリアリストだと思い込んでいた痛い記憶が蘇る。

    やめてくれ、そのコメは俺に効く。

  20. 人間七七四年 | URL | -

    ※16
    こやつに情けをかけたところで~って奴だな
    確かに分かり易い負けフラグ

  21. 人間七七四年 | URL | -

    ※19
    劣化していないか……?

  22. 人間七七四年 | URL | -

    ※17
    俺、今でもブサヨだけどそんなこと思わなかったなあ。

  23. 人間七七四年 | URL | -

    >>17
    敵を殺すも生かすもアンタ個人の判断でどうぞ。
    結局それだけ。
    先のことは誰にもわからない

  24. 人間七七四年 | URL | -

    いやその前にブサヨは日本から出ていけよ

  25. 人間七七四年 | URL | -

    別に言ってもいいだろ。リアリストぶるも何も事実だろ。そうやって痛い認定しててアイタタタイタイヨイタイヨー
    思ってんだろ何開き直ってんだよブサヨごときがよ。だからブサヨなんだよw
    アンタノハンダン(笑)逃げんなよ。先のこと分からないとかさっきから開き直ってるだけじゃねぇかよwwww
    先のこと分からねぇなら無責任にあんたの判断でやれとかほざくなよw知った風な口叩くな。

  26. 人間七七四年 | URL | -

    別に女々しくもねぇだろ。女々しいとかてめぇらとか。結果論でしかない。
    人の内に数えるだろ。てめぇらとかがそう思っているだけだろ。
    「当てはまらないし
    シナなんぞ出しても価値観とか違うから意味なし。」
    となる。だな。

  27. 人間七七四年 | URL | -

    >>25
    結局はアンタに覚悟がないんじゃないの?
    だから「シナ朝鮮を信用するな!」を不特定多数で意見を共有したくなるのでは?
    アンタこそなんでも「差別」で片付けるシバき隊みたいだね

  28. 人間七七四年 | URL | -

    >>25
    たぶんそいつ
    時たま来る、日本語崩壊してる痛いお客さんだから
    マジで相手しない方が・・・

  29. ※28 | URL | -

    アンカ間違い
    >>27

  30. 人間七七四年 | URL | -

    斑目広綱・広基兄弟のことか。

    広基は創造PKで登録武将として作ってたけど、75/83/66/58で作っておいたよかった。
    ええ人やな。

  31. 人間七七四年 | URL | -

    こんだけコメントついてるのに、邪推から味方を殺しちゃった小峰義親が何も言われてないのは意外。人徳か?

  32. 人間七七四年 | URL | TnOpz0W2

    佐竹に散々攻め入られた上に、青田刈りで飢饉の憂いもあって
    二進も三進もいかない状況だったから
    疑心暗鬼に陥ってても仕方ないとは思う>義親

  33. 人間七七四年 | URL | -

    まあどうせ完全必殺シーン作ったんだから申し開きくらいは聞いてもいいよな。

  34. 人間七七四年 | URL | -

    地元この辺だけどこの話続きあるよ
    斑目兄弟が最後逃げのびる絵本読んだことある
    事実かは知らんが、東館の近くの石井って地名のとこに斑目さんって家があった

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