伊藤次郎兵衛への手形

2015年10月11日 19:24

818 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/10(土) 19:37:58.31 ID:BHa9ax9z
黒田家家臣の伊藤次郎兵衛と言う人は、若いころ新参の無足人であったが、根強く奉公を心がけ、
日夜油断なく勤めていたのを黒田如水に認められ、3年目に知行二百石が与えられた。
もとより人に越えた気根の強い若者であったので、知行を与えられたことを忝なく思い、
その後も前にもまして少しもたゆまず働いた。

ある時、この伊藤がお目見え仕った時、如水はこんなことを聞いた
「次郎兵衛、お前は気分でも悪いのではないか?」

「いや、そんな事は有りませんが…」
伊藤はすぐにそれを否定し、如水の御伽衆たちも

「彼は殊の外、無病と聞こえています。この御家に参ってはや25年となりましたが、一時も
心の重いということは有りませんでした。」

実は黒田如水は、家中の者達が、気分が悪い、喉が痛む、物が食われぬなど、病がましいことを言うのを
常に嫌っていたため、御伽衆の者達も、ことさらに無病であることを申し上げたのである。
しかし如水

「あいつは段々疲れが見えて見苦しくなっている。さては食米が不足して、ひだるさに疲れているのだろう。
よし、食米を取らせる!」

そう言うと自筆で手形を書き、

「これにて飯を炊かせ、食いたいほど食うが良い」

と、伊藤の方に投げた。罷り出て戴き、次の間でその手形を見ると、なんとそれが五十石加増の手形であった。
実は伊藤はこう思っていた。
『如水様が食米と言っている以上、せいぜい五俵から十俵程の手形であろう。しかし何ほどであっても、
いままで奉公に精を入れていた所を見ていて下さっていたのだ。』
そう嬉しく思っていたのだが、五十石の手形を見て、肝をつぶしたという事である。

(古郷物語)



819 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/10(土) 23:18:15.57 ID:JIT+3Gex
社長表彰の副賞が寸志程度だと思ってたら、とんでもない額だったみたいなオチか

820 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/11(日) 09:00:52.38 ID:QYWKA/Qj
一石で成人一人が一年間に食べる量だっけ?
どんだけ食わせる気だw

821 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/11(日) 09:20:45.27 ID:mQLzoH1z
最近思うんだけど、人間、頑張っても他人の倍までが仕事できる限界だよね。
3人分は回んないわ。
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    仕事なら他人に100倍でも1000倍でも可能では?誰が個人の能力のみに依存した仕事を比較評価などするものか(人事評定担当)

  2. 人間七七四年 | URL | -

    >如水様が食米と言っている以上、せいぜい五俵から十俵程の手形であろう。

    やっぱりケチだと思われてたんだなあ。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    コレ見ると知行はやっぱ、一代限りでないとなぁ
    伊藤次郎兵衛の働きは計250石に相応しいものだろうが、代を重ねたら病がましいことを言うのも出て来るだろうし。
    なんかベテラン選手の高額複数年契約みたいだな

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ※3
    それは知行と給与をごっちゃにした現代人の感覚ですがな
    知行を貰ったからには果たすべき義務があり、それを怠れば没収される。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    ※3※4
    知行はイエに対して宛がわれるという側面もあるからなあ。
    その家系に属する人物が過去残した貢献に対する報酬と、
    その家系から将来出るであろう人物への投資を兼ねている。

    特に後半の要素が財政上の癌で、譜代は単に無能だからという理由では切りにくい。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    加増50石が丸々次郎兵衛の懐に入る訳でもないだろうしね。
    上がった分だけ結局は責務にも繋がるし。

  7. 人間七七四年 | URL | JalddpaA

    コメントで言われてるように禄に見合った責任も生じるけど、
    ここは素直に苦労が報われたいい話って事で良いかと

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