一刀流の祖・伊藤一刀斎景久は

2015年12月02日 12:36

720 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/02(水) 02:31:32.97 ID:/f+gQegS
一刀流の祖・伊藤一刀斎景久は、世に並ぶ者のいない剣術の達人である。
諸国を武者修行して名の有る者と勝負したが、一度も負けたことはなかった。

ある時、京都で1人勝負を望んで来る者がいた。その者はたちまち一刀斎に
打ち負けて、その弟子となった。この者は深く憤ったのか、徒党4,5人で
相談し、その一味も同じく門人となって一刀斎の術を学んだ。

ある夜、悪党らは酒肴用の物を携えて一刀斎のもとに来たり、これを勧めた。
一刀斎は興に入り、酔い伏したため、悪党らは帰っていった。

ところでかねてより一刀斎には1人の愛妾がいた。一刀斎は彼女には何事も
心を許していた。その妾を悪党どもは様々に欺き騙して、謀を合わせた。

まず彼女に一刀斎の大小を奪わせた。これで安心だと、悪党らは夜半過ぎ頃、
一同に一刀斎のところへ入って来た。入り口の戸は妾が開けておいたので、
悪党らはただちに一刀斎の寝所へと仕掛けていった。

折りしも夏のことなので蚊帳が吊ってあったのを、悪党らは入りざまに四つ乳を
切って落とした。その時、驚き目覚めた一刀斎は枕元をさぐるも両刀はない。

早くも前後左右から切り掛かってくるのを、一刀斎はあちらにくぐり、
こちらにひそみ、ようやく蚊帳から這い出した。

その時、宵の酒肴の器が手に触れたので、一刀斎は手に当たるに任せて
向かう者へ続けざまにそれらを投げつけた。そして飛び掛かって敵の持つ
一刀を奪い取った。

今まで無手でさえ討たれざる一刀斎、刀を得たとなれば虎に翼を添えるが如し。
一刀斎は当たるを幸いに切りまくった。これには何をもって持ち堪えられようか、
しばしのうちに深手浅手数多となり、これは叶わないと、各々手負いを助けて
逃げ去った。かの妾も同じく行方がわからなくなった。

こうして一刀斎は比類のない働きをしたが、女に心を許したことを恥ずかしく
思ったのであろうか、その日に京都を出て、東国に赴いたという。

――『撃剣叢談』



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    「四つ乳を・・・」に思わず顔を赤らめてしまったじゃん(///ω///)

  2. 人間七七四年 | URL | -

    なんであの部分を乳とつけたんかな。
    確かにわかると言えばわかるが‥

  3. 人間七七四年 | URL | -

    一刀斎も乱定剣使うんだ

  4. 人間七七四年 | URL | sO.jHPec

    八犬伝にありそうなエピソードだなあ(撃剣叢談の方が後だと思うけど)

  5. 人間七七四年 | URL | -

    >4
    それより三国志演義の典葦のエピソードによく似ているよ

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