鬼切丸(髭切)悲話

2015年12月03日 07:29

724 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/03(木) 06:15:50.09 ID:gakzoNKC
鬼切丸(髭切)悲話

秀吉の天下ほど、大名間の交流が華やかであったとは言われるが

「オニギリ」異聞
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-5622.html

上記のものとは一転し、負のスパイラルの話

文祿年間、天下を我が手に収めた豊臣秀吉はその力を以って名物狩を行っていた

豪商は茶器や軸の献上を迫られ、各大名も重宝を要望され、応じる様に圧力を掛けられていた

出羽の一大名最上義光もその例外に漏れず
秀吉「最上家には源氏の至宝髭切(鬼切丸)があるそうじゃな。天下を束ねる今の儂の手元にあってこそ相応しいと思わぬか?」と譲渡を求められていた

義光「…鬼切丸はただの家宝にあらず。今天下人とは言え譲れぬものもある…」

義光は一計を案じ、刀の茎(なかご)の安綱の銘に鏨を入れさせ、銘を「國綱」と合切させた

義光「-使者さま御役目ご苦労様です
秀吉様から要望された『鬼切安綱』ではございますが、念のために献上の前に茎を確認したところ
やや、銘が『國綱』となっているのに気付きまいた
髭切は伝説の刀。呼び名が変わった話は有名ですが、当最上家に伝わっていたのは安綱でなく『國綱』でありました
國綱も名工ではありますが、紛い物を要望されたとあっては秀吉様の名に泥がつきます
偽物とはいえ國綱も名刀で伝家の宝なれば、こたびの献上の話はなかったことにして頂けます様お伝えくだされませ」

725 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/03(木) 07:01:24.29 ID:gakzoNKC
義光は拓を使者に渡し、刀の銘が「國綱」である事を確認させた

使者「…事が事だけにそれがしでは即答できませぬ
…なにかあるときは追ってお呼び立てがあるでしょう」

しばらくはなにもなく、鬼切丸は件はうやむやながらに安泰かと思われた、が…平穏は長くは続かず文祿4(1595)年7月15日、関白豊臣秀次が秀吉に謀叛を疑われ高野山で切腹

山形から秀次に輿入れのために入洛し、屋敷で休息を取っていた最上義光の愛娘駒姫も、謀叛人秀次の女房として囚われの身となった

義光「これはなにかの間違いじゃ!駒は京に着いたばかりで秀次卿に見(まみ)えもしておらぬではないか!?」

7月20日秀吉は大名たちへお拾(秀頼)への忠誠を誓わせる誓約書を書かせた

義光「天地神明の下お拾様に忠誠を誓います…」
義光は血判を押し、豊臣家に服従する姿勢を示した

義光「…血判を以って忠誠を誓ってもなお駒は幽閉の身…神仏よ…駒を扶け玉へ」

日に日に切迫する状況に義光は実力者の徳川家康を頼った

義光「太閤殿下に意見ができるのは家康様しかおりません
子の親として娘が囚われの身となっているのは断腸の思い
何卒何卒重ね重ね娘の助命にお力をお貸しください…」

義光は伝家の貞宗(笹切)を家康に誠意の表明として託した

…しかし時を置かずに義光には閉門の命が下され
文祿4(1595)年8月2日駒姫は処刑

自室に閉じ込もり遮二無二に法華経を唱えていた義光は娘の最期を聞くと
「過去の業こそ(私が罪深いばかりに、娘にその仕打ちがいってしまったのか…)」と呟き
肩をいからせ眼をひんむき「口惜しや、口惜しや」と唸る様に嗚咽し続けた

726 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/03(木) 07:17:18.40 ID:gakzoNKC
義光は三日も四日も食べ物も水も休息も取らず、乱れた髪と血走った眼と深いクマはさながら幽鬼の様であった

数日後閉門中の義光に代わり、内室の大崎夫人(としよ姫)に秀吉から「最上の秀次謀叛荷担の容疑を弁明せよ」との呼び出しがあった

処刑した駒姫の美貌を知った秀吉が母の大崎夫人に眼を付けたのだろうと京人たちの噂もあり
夫人の侍女である谷柏直家の娘を代わりに登城させたが、直家の娘は義光の年齢に見合わずうら若かったために秀吉の勘気に触れて斬り殺された

大崎夫人も心労のためか急死した
一説には世をはかなんで娘の駒姫の後追い自殺をしたと言われる

京童らは秀次に懇意だった最上家が転封か取り潰しになると口に戸を立てずに噂しあった

ちょっとどころかかなり悪い話

「北野天満宮傳」「尊祐手記」「出羽国風土記」「太閤記」「山形軍談」等

727 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/03(木) 07:27:11.71 ID:gakzoNKC
そして駒姫の助命嘆願の時にか閉門蟄居のときにか
今更銘を改竄した鬼切丸を差し出す訳にもいかなくなり、「反意無い証」として秀吉に献上されたのがかつて織田信長が足利義輝から譲られ最上家に伝わった光忠の太刀(最上光忠)という…




729 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/03(木) 13:40:25.00 ID:gakzoNKC
最上義光自身は禅宗(曹洞宗)に帰衣していたが駒姫のために法華経を唱えていたのは、日蓮が経を唱えて天の神助で処刑を免れた逸話に縋ろうとしてたのか、なんとも哀しくやり切れない

730 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/04(金) 04:09:14.58 ID:UJG6kRmd
>>724

最上家をめぐる人々#6【駒姫/こまひめ】
【駒姫/こまひめ】~悲劇の美少女~(最上義光歴史館)
ttp://mogamiyoshiaki.jp/?p=log&l=103062

秀次事件(駒姫処刑時に最上義光は京堀川屋敷で閉門蟄居中)
ニコニコ動画sm7194373
京都国立博物館で髭切(鬼切丸)と膝丸(薄緑)が期間限定公開決定
ttp://www.kyohaku.go.jp/jp/theme/floor1_1/f1_1_korekara/token_2015.html


秀吉が駒姫を鎌倉で尼にさせよと早馬を出して命じたというのは、遺体が最上家に返却されなかったので甚だ疑問が残る

731 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/12/04(金) 07:26:58.66 ID:UJG6kRmd
髭切
最上家伝来の宝刀「鬼切丸」の謎 !?
ttp://mogamiyoshiaki.jp/?p=log&l=38707


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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    秀吉の天下統一後に残った武将ってみんな情けないよな。全員百姓の奴隷

  2. 人間七七四年 | URL | -

    >米1
    九戸さんおつです

  3. 人間七七四年 | URL | -

    秀次事件関連は本当に悪い話かつ悲しい話ばかりなんだよなあ

    そして、さりげなくこの話でも「直家の娘さん」が殺されてる件

  4. 人間七七四年 | URL | -

    駒姫の処刑のときに浦山筑後さんの暴走エピソードもあるけど、
    義光「忠臣のおまえをそこまで追い込んでしまって済まなかった。…おまえまで失う訳にいかない」といった話もあるんだよね。

    鬼切丸(髭切)召し上げにの件に関わって「貞宗(亀甲貞宗・笹切)」「最上光忠」も最上義光の手元から離れる事になる…

  5. 人間七七四年 | URL | -

    鮭様の娘を殺しといて、「娘が美人だったから、その母親も美人に違いない」ってだけで、来させようとした秀吉って鬼畜だわ。
    女好きの秀吉だから、直家の娘を側室にしちゃうのかと思ったら、斬るなんて、あんまりだわ。秀吉を好きになれない

  6. 人間七七四年 | URL | -

    猿太閤の落書きに気付かなかった番所の兵を全員殺したり、秀次の妻子の処刑を身分の賎しい者にさせたり、晩年の秀吉は狂気に満ちている…

  7. 人間七七四年 | URL | -

    銘に細工をして逃れようとしたり、他人を送り込んだり
    小細工を弄するからかえってドツボにはまってるという面もあるのでは

  8. 人間七七四年 | URL | -

    >>米7
    同じ状況なら冷静な判断を求めるのは残酷だよ

  9. 人間七七四年 | URL | -

    大崎夫人に関しては秀吉の命で自害させられたという説もあるらしい
    秀次事件での最上家への対応は伊達・細川・浅野とかに比べて厳しかったしな

  10. 人間七七四年 | URL | Cnub/O7I

    秀吉「とりあえず※5と※6にも切腹申しつける」

  11. 人間七七四年 | URL | -

    これが秀吉を嫌いな理由だなあ
    晩節汚しすぎワロエナイ

  12. 人間七七四年 | URL | -

    秀吉「※5※6は舌と目を×り×いて×りつけ、親子五代まで×首、※11は××して市中引き回しの上××(にっこり)」

  13. 人間七七四年 | URL | -

    鮭様は、家康のお茶会に行ったり、家康と行動を共にしてた。
    秀吉にとっては、「鬼切丸」を理由をつけて渡さないで、他の刀に細工をして渡す。更に家康と親しくしてる鮭様に警戒心と「許せない気持ち」を抱いてた気がする。だがら、秀次と面識ない駒姫は、処刑をせずに済んだはずなのに、処刑を命したのかな。

    秀次の切腹も、秀吉は、幼い秀頼の後見人を秀次にしても、成人した秀頼に「関白」の座を明け渡すのか、或いは、幼い秀頼の代わりに、秀次が豊臣家を牛耳ってしまうのではと、不安と焦りがあって「芽を摘み取る」つもりで、秀次に切腹を命じて、遺恨が残らないように妻子も処刑をしたと思う。

  14. 人間七七四年 | URL | -

    >>13
    細工をしたのは鬼切丸(=髭切の別名)の茎(なかご)で最上光忠には細工をしてないよ。

  15. 人間七七四年 | URL | -

    >13
    そのくせ更に危険な芽である家康と、深甚なる恨みを持たれた義光に対しては減封すらできなかったけどね

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ※13だけど、鬼切丸に細工してたんだね。指摘してくれて、ありがとうございます。

    秀次事件がきっかけで、豊臣家滅亡が加速していたことは、間違いないね。

  17. 人間七七四年 | URL | -

    ※1「全員百姓の奴隷」
    三成「と、※1が申しております」
    秀吉「一族郎党全員ひっ捕らえよ」

  18. 人間七七四年 | URL | -

    実際の秀吉って晩年じゃなくてもエグい事やってるけどなぁ

  19. 人間七七四年 | URL | -

    結論 秀吉はもともとエグイ性格ということで

  20. 人間七七四年 | URL | -

    義光のやる夫スレでこの話を読んだとき、泣きそうになったことを覚えています。

  21. 人間七七四年 | URL | -

    マキャベリ先生曰く「君主は一見ぐう聖に見える畜生がベスト」らしいから
    ラスボスの前半生はマキャベリスト感涙やろなあ

  22. 人間七七四年 | URL | -

    これがもし義光を豊臣方の味方にできてれば、上杉は後顧の憂いなく南下できたし、伊達は日和るし、他の小大名は大勢に付く。
    十分に家康を牽制できたのにな。

    最上家を骨の髄まで反豊臣にさせた代償は、それこそ豊臣の家を滅ぼすことに繋がった。

  23. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    奴隷はお前だろ

    「○○××とか(するかよ)」

    徳川はあれだけの巨大勢力なんだから取り潰しとか不可能。その庇護を受けてる最上も同様。徳川には警戒もしてるが信頼もしてた

  24. 人間七七四年 | URL | -

    >義光は伝家の貞宗(笹切)を家康に誠意の表明として託した

    駒姫助命のために動いてくれる家康に、閉門蟄居で動けない義光が感謝の念を込めて渡したものの、家康は秀吉の勘気を鎮めるまでには至らず、駒姫も助けられず…

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