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鷹羽の心根

2016年03月08日 13:11

438 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/03/07(月) 22:17:29.27 ID:iMfW4Wz6
(大内)義隆公は、ことのほか芸能や美しいものを愛し、講西寺に立ち寄った際に
その境内で演奏をしていた流浪の芸人の笛吹きを召し抱え、さらにはその者の子供が
美童であり鼓に秀でていたため小姓として、鷹羽と名乗らせた。
陶(隆房)殿が兵を挙げると、義隆公は吉見(正頼)殿を頼って長門の大寧寺まで
落ち延びたが、そこで塀に囲まれ自害することとなった。
鷹羽も義隆公に従っていたので同地で殉死するか戦って死んだと思われたが、ある日、
山口の地でこれを見かけた者があった。
「義隆公のお伴をしたのではなかったのか」と問うと、「我が死んだごときではご主君への
恩は返せぬ。かと言って戦う力もないので、私のような者でもご主君の敵を討つことができる
機会を探しているのです」と語った。
それを聞いた相手は、他の者に「命を惜しんであのような嘘をつくとは、生まれが賤しい者は
心情も賤しい」と語り、それを聞いた者たちも鷹羽を臆病者・恩知らずと罵り嘲った。
半年後、陶殿を毒殺せんという企みが発覚し、その下手人として台所に紛れ込んでいた
鷹羽が捕えられた。
陶殿は豪気なおかただったので、主君のために尽くそうとした鷹羽に感心し、右腕の肘から
先を切り落とすだけで、鷹羽の命を許した。
鷹羽が臆病者であるという悪評はおさまったが、片腕となった鷹羽は得意の鼓で稼ぐことも
できず、乞食などして糊口を凌いでいたので、口が悪い人は「身の程知らずのことを企んだ
罰である。元の身分に戻っただけのことよ」と笑いあった。
そうこうするうちに、鷹羽の姿は山口から消え、誰もそのことを忘れてしまった。
弘治元年、陶殿は大軍を率いて安芸厳島に上陸したが、そこで毛利軍に敗れ自害なされた。
厳島から引き揚げの際、毛利軍は自軍の中に見慣れぬ怪しげ者が紛れ込んでいるのを見つけ、
大内方の兵が毛利軍の振りをして逃げ延びようとしているのだと思い、これを殺した。
殺された者は右腕が無く、素性を問われて「義隆公の恩に預かった鷹羽という者である」
とだけ名乗り、後は経文を唱えるだけで何も語らなかったという。
これを伝え聞いた(鷹羽親子が召し抱えられた場となった)講西寺の和尚は、鷹羽の心根を
哀れに思い、小さな墓を建て祭ったということである。
(防長古老説話集)

非力な美少年が、何としてもご主人様の仇を獲ろうとして果たせなかった(あるいは
果たせた?)哀しくも美しい話



439 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/03/07(月) 22:49:39.00 ID:ZeNQm+KB
史記の刺客列伝か侠客列伝に出てくるような剛の者だな。
結果、名が高く残ったいい話だと受けとりたい
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    「僕の志は知る人ぞ知る」といったところか。
    鷹羽と近衛じゃ状況も結果も違うけれど

  2. 人間七七四年 | URL | -

    隆元も慕ってた気するし晴賢もまぁ愛憎の末感もなくはなさそうだし、なんだかんだ義隆は優しい人だったんだろうなと思った。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    自分の生きていく道を絶たれても、主君の恩義の為に挑み続けたって事ですね。
    しかし、やるせない話しです。

  4. 人間七七四年 | URL | TQl5Jic2

    >陶殿は豪気なおかただったので、主君のために尽くそうとした鷹羽に感心し、右腕の肘から先を切り落とすだけで、鷹羽の命を許した。
    こんな肉刑をするのは豪気じゃなくただの野蛮ではなかろうか

  5. 人間七七四年 | URL | -

    これはある意味古典的な一種の定型だとは思うけれど、
    一途な心根が切ない話だ。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    創作ものでは大抵この人、ノブヤボ創造みてえな
    「ほっほ、よいではないかよいではないか 一緒に楽しもうでおじゃる」な
    脂ぎったボンクラバカ殿にしか描かれてなくて、
    ぶっちゃけキャラとしても魅力ゼロなんだが、
    美少年好きも含めて、人となりの虚実が凄く気になる人ではある。
    たしかに色々お花畑かも知れんが、ホモのバカ殿ってのはちょっと違うんじゃないか?

  7. 人間七七四年 | URL | -

    ※6
    ホモ馬鹿レッテルだけに終わらずもうちょっと踏み込んで考えれば
    後年の戦嫌いも合わせて魅力的にできそうなのにね勿体無い

  8. 人間七七四年 | URL | -

    室町っぽい滅びの美学が感じられる戦国武将って書くとなんかかっこよさげ


    しかしそのくくりなら
    三好長慶あたりのほうがずっとヒロイックで絵になるしなあ

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ※6、7
    結局、創作の世界じゃ毛利の引き立て役とするために下げしめられてるのでしょうかね、尼子共々

  10. 人間七七四年 | URL | -

    ※6
    前半生は文武両道
    後半生は男女両刀

  11. 人間七七四年 | URL | -

    バンプオブチキンの『K』を思い出した

  12. 人間七七四年 | URL | -

    三好は本領が阿波って時点で魅力がないのでアウト

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ※12
    貴様さてはうどん県民だな

  14. 人間七七四年 | URL | -

    ※8
    どちらかと言うと尼子は近年評価されてきてないか

  15. 人間七七四年 | URL | -

    美童「ぼく前世は予譲」

  16. 人間七七四年 | URL | -

    伝説ではあるのだろうが誰の理解も賞賛も受けられずに死んだ無数の命が背景にはあるのだろう

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