あの小姓を、彼に恋した男のもとに

2016年05月03日 09:42

681 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/02(月) 19:56:28.34 ID:+xSS6T0o
福島左衛門大夫正則は、諸将の中でも、とりわけ物狂わしい人物であった。
猟より帰って口をすすがず、その後の食次の時に「食物の中に砂有り!」と言って
料理人を殺した事も度々あった。あまつさえ、その頸を脇差しで貫き、くるくると回して
興ぜし事もあったとか。
しかし、思いの外なる話もある。

ある日、正則の一門衆集まって酒宴の時、正則の愛する何某とかいう小姓が、懐から
菓子を3つ4つ落とした。
正則はこれを見て、小姓が盗んだのだと考え、激怒した。
彼は小姓を引き寄せると、左手で頭髪を掴み、右手で刀を抜き持って小姓の股を突き刺した。
血がおびただしく流れたが、小姓は少しも動ぜず、何事もなかったかのように再び
給仕をした。

座の人々は何れも、正則の気質を知っているので、この小姓が終には死罪に及ぶことを
惜しみ、片脇へと引かせて「何か申し分が有るのではないか?」と尋ねた。
しかし一言も言葉を発しないため、人々も苛立ち

「侍の子たる者が、どうしてあのような卑劣なことをしたのか?その身が
死罪となっても仕方がない。そして死んでも、父兄弟の面汚しであるぞ!」

小姓、これを聞くと
「申すべきことも有りますが、人の命まで取ってしまうことと成り、それは私の本意では
ありません。その人の生命を助けていただけるのなら、仔細を語ります。
私の命は、許されるべきではありませんが、一門の名折れと仰せられることの口惜しさに、
申すことが出来ないのです。」

人々は何れも誓った
「其方のことは力及ばぬ。しかしこの事について、外の人の命は、我々が命に変えて救おう!」

そこで、小姓は語った
「彼の人も、殿様の御家中である若者ですが、彼は私に恋い焦がれ、数十通の文を頂きました。
しかし私は殿様の御座をも汚す身ですから、それらは取り上げてさえ見ることはありませんでした。
しかし、それから三ヵ年、日々に文を送ってくるその心の切なさに愛おしさを感じ、ある時
彼の姿を見て、その志を感じ、図らずも返事をすると、かの者はいよいよ耐えかね、虚労のように
煩ってしまったと聞いたのです。

私のために人の命を失う事の笑止さに、どうにかして一度逢って見たいと思いましたが、
出仕すれば常に殿のお側に有り、下がっても寄合部屋にて、仲間の目も忍び難く、下部屋にて
なんとか逢おうと思い、かの男を番葛籠に入れさせ、昨日下部屋にその葛籠を取り寄せました。
然れども折り悪く、三日三晩の御酒宴となり、致し方ない状況な上に、かの男が飢えることの
痛わしさに、この菓子なりとも遣わそうと懐中にした所、運が盡き、御前において取り落としたのです。

願わくば、彼の入った葛籠を、何事も無く外に出してください。私は生命を惜しむことありません!」

一門の人々、これを聞いて正則に対し
「あの小姓の命乞いをしても、承知なされないことはわかっています。しかし、彼が菓子を盗んだのは
卑劣な行為ではありません。ですからせめて、死後の恥辱を救ってください。」
そう事の顛末を語ると、正則はたちまち機嫌が直り

「私が側に召し使うほどの者らしく、卑劣の業は成さなかったか。
恋する男に逢おうとするのは、自分の目を盲にするのと似ているが、年少の者にはよくあることだ、
深く咎めるべきではない。
その上、彼の今日の様子、さすがに私の目鏡に違いなしと見えた。よって、彼の死罪を免ずる。
また、彼に心を懸けた者も、私の気質は知っているのに、是非に逢おうというのは、
これも用に立つべき者であろう。
あの小姓を、彼に恋した男のもとに遣わせ!」

そう命じた。この時正則は、大方成らぬ機嫌であったという。
(新東鑑)



682 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/02(月) 20:24:41.78 ID:SWwwf+k1
ホモにはみんな優しい

686 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/04(水) 00:25:57.83 ID:tK/mOlVU
>>681
ミラクルやん「いいかい市松。人は刀で股を突き刺されたら出血多量で死ぬんだよ」

687 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/04(水) 07:14:42.33 ID:OvJrnKm4
あんたは太ももじゃろ
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コメント

  1. 名無しさん@ニュース2ch | URL | -

    三年も男から恋文届くのか・・・

  2. 人間七七四年 | URL | -

    七割ほど松が悪い話

  3. 人間七七四年 | URL | -

    高坂「私は、晴信さまから、お詫び状が送られました。」
    大内義隆「あれだけ、手をかけてやったのに・・・」

  4. 人間七七四年 | URL | -

    大出血の小姓がはたしてこの後
    生きて思いびとの元に行けたのかどうか気になる

  5. 人間七七四年 | URL | -

    市松の出自でも衆道嗜むんだ

  6. 8 | URL | -

    >福島左衛門大夫正則は、諸将の中でも、とりわけ物狂わしい人物であった。
    >猟より帰って口をすすがず、その後の食次の時に「食物の中に砂有り!」と言って
    >料理人を殺した事も度々あった。あまつさえ、その頸を脇差しで貫き、くるくると回して
    >興ぜし事もあったとか。
    逸話よりこの出だしが最高

  7. 人間七七四年 | URL | -

    股関節の大動脈やっちまってたら悠長に話出来てないだろうし、とりあえずの止血さえすれば小性アニキも生還出来たんじゃなかろうか。
    っていうか出だしの市松ひでぇな、おい。
    しかししょうもない理由が解説されてる辺り、やはり五人目レベルだな。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    そっか!
    「また」と読んではいけないんだ「もも」と読まなきゃ!
    いやぁ、迂闊だった!

  9. 人間七七四年 | URL | -

    狩猟をすると口の中に砂が入る物なのか…?

  10. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    アスファルトに覆われた都市じゃないし
    帰ってシャワー浴びる訳でもないだろうしね

    ある程度の人数で走り回れば、そりゃ盛大に
    砂埃も立つでしょう。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    口の中に砂があるとか普通もの食う前に気付くだろうに
    元々料理人が気に入らなくて難癖つけて殺すつもりだったのでは…

  12. 人間七七四年 | URL | -

    市松さんって、酒を飲んでなくても、性格が最悪で、酒を飲むと性格が、更に悪化するのでしょうか?
    真田丸の市松さんは「熱い仲間思いの男」でしたが。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ※12
    食事と酒は基本的にセットなので、呑んでやらかしたという要するにただの市松と思われます。

  14. 人間七七四年 | URL | -

    福島家の家臣達は市松に忠義を尽くしていたと云う記述が多いけど、
    一体この人物のどの辺りに惹かれていたのかな?
    各逸話の失敗談を読む限り、本気で疑問が沸く。

  15. 人間七七四年 | URL | -

    その点政宗は酒を飲んでも飲まなくても変わらないよなぁ

  16. 人間七七四年 | URL | -

    >彼の姿を見て、その志を感じ、図らずも返事をすると

    送ってきた方も美男子だったんやな

  17. 人間七七四年 | URL | -

    光泰「砂の食べ方を知らないからそうなる」

  18. 人間七七四年 | URL | -

    *14
    家臣一同「酒さえ呑まなきゃ、ほんとうに良い人なんですよ」

  19. 人間七七四年 | URL | -

    元就「だから、わしは酒より餅を食べるのじゃ」
    (´・ω・`)「酒より鮭を食べなさい。」
    光安「場が凍り付いてしまったようですな。帰りますよ。」

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