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小身の益、大身の損

2016年05月09日 21:04

706 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/08(日) 22:18:00.14 ID:42bWAfDU
徳川家康が遠州浜松に在陣していた時、或る夜、本多正信、並びに外様の者三人、御用の事あって
御前に召し出され、御用済み、三人は退出しようとしたが、その内の一人が御前において、鼻紙袋から
書き付けた物を一通取り出し、家康にそれを差し上げようとした。

家康は尋ねた「これは何か?」
この者答えた「日頃、私の存じ寄りたることを書き付けて置きました。憚りながら、万に一つも御心得にも
成るかと思い、ご覧に入れ奉るのです。」

「それは奇特な心入である。」家康は感心し、「佐渡守(正信)は聞いても苦しからず。
そこにて読んで聞かせよ。」

そこでその者は、数箇条あるものを一つ一つ読みあげた。家康は彼が一箇条読むごとに、「尤もなる事」と
返事をし、「その書き付けたものをここに」と取り寄せ

「これに限らず、今後も思ったことが有れば、少しも遠慮なく申し聞かせよ。」と言うと、この者
「お聞き届け遊ばし、有り難く存じ候!」と感動して御前を下がった。

その後には本多正信一人残ったが、彼は家康に言った
「さてさて、彼の者は卒爾な者です。彼の言ったことの内、一箇条も御用に立つと思えるものは
有りませんでした。」

しかし家康、手をふって
「いやいや、さして用の立つほどのことはないけれども、その身相応の思案を尽くし、内々に書付け
私に見せようと言う志は、何よりも奇特なることである。その言葉が用に立たぬのなら、用いねば
いいだけの話であり、卒爾などという事ではない。

総じて、身分の上の者も下の者も、我が身の過ちは知らぬものである。されど小身なる者は、心安き
友達傍輩などがあり、互いに身の上の悪事を言って、吟味もするほどに、気がついて改める事も多い。
これは小身の益である。

一方、大身なる者は、そういった事もなく、家臣たちは追従するばかりで、大方のことは尤もとしか
言わないため、我が身の過ちを知るすべがない。これは大身の損というべきであろう。

古より富貴なる者で、国を失い家を滅ぼすのは、大抵は自分の過ちを申し聞かせる者がなく、自身のことを
宜しきとばかり思う故である。
であれば、自身の悪を言い聞かせるものは、大切に想うべきではないか?」

正信はこの時家康から聞いたことを、後日、嫡子上総介(正純)に聞かせ、上がご思慮の深きに加え、
御仁厚成ることを申し、落涙に及ぶのを、上総介は聞いて

「で、その人は誰で、申し上げた内容はどんな物だったのでしょうか?」と聞いた。

佐渡守は怒り叱りつけた
「この話はな、ただ上の思し召しの厚さを承るのだ!その他のことをお前が聞いてどうするというのか!?」
そう言って言った人物や内容は、遂に言わなかった。
これは、上総介が若年故に、その人を侮る心があるのを佐渡守が察し、それを抑えようとしたのである。

(新東鑑)



707 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/08(日) 23:04:02.90 ID:0CFR/PL/
無能な働き者って言葉が浮かんだんだけど

708 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/08(日) 23:39:50.85 ID:SIIba21c
家康の言葉が見えてますか?

709 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/09(月) 02:10:47.14 ID:saQw9OQd
この話は前にも出てたけど、これが一番まとまってるな

710 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/09(月) 02:17:21.93 ID:vl+MZ50d
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正純といえばその話、ていう定番逸話だと思ってた

711 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/09(月) 10:04:02.61 ID:6/81B7mK
この人でいい話あるん?悪口ばっかやん
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    外様でも意見できる家康に対して、秀吉には秀長ぐらいしか意見出来なかったのだろうか

  2. 人間七七四年 | URL | -

    さすが安定と信頼の正純

  3. 人間七七四年 | URL | -

    正純はちょっと置いといて、上野介と上総介の入れ替わりは
    結構あるあるだよな

  4. 人間七七四年 | URL | -

    まあ、親の正信以外は意見できないぐらいには頭のキレが抜群に’良かった’からこそ残った逸話だと思えば…

  5. 人間七七四年 | URL | -

    この「誰~」の部分はよく正純の悪い話として伝わる事が多いですが、個人的には若者らしい
    部分だと感じます。父親同様に頭がキレるけれど、やはり若者らしい思慮が欠けてしまった。
    それがこの一言だったと思います。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    伝えたい事を受け止められると思ったんだから正信も話したんだろうけど、正純はてんで別の事を考えて聞いていたんだろうね。
    『誰が誰の行動に何を思うのか』ではなく『誰が誰の行動に何をしてほしかったのか』へ視点を置いてるように感じる。
    実益にしか目が向いてない。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    鼻紙袋って今でいうポケットティッシュ?
    そんな紙に書いたメモを家康に見せたのか

  8. 人間七七四年 | URL | -

    「憚りながら」って言ってるでしょ
    仰々しい書面にしちゃったらいろいろ差支えがあるだろう

  9. 人間七七四年 | URL | -

    当時紙はまだまだ貴重だったのだのと、今みたいなフワフワな紙じゃないから
    ちょっとした事を書き止めるぐらいは可能。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    こんなんで怒られてたら性格歪むわ

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